元請の値引き交渉フロー|購買・工事部・現場担当者で利益が削られる流れ

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閑話休題

 

この時期って見積もり依頼多いですよね~

しかし見積って、出したら終わりじゃないですよね。

特に大手の元請相手だと、最初に工事担当者や営業担当者から

「この現場、見積お願いします」と声が掛かります。

こちらは人工、機械、材料、運搬、経費、そして自社の利益を見ながら見積を作るわけです。

取りたい。

けど、赤字では意味がない。

この間で悩みながら出すのが、我々施工会社の見積なんですよねw

ところが、見積を提出してからが本番だったりします。

元請への見積提出

まず購買部で1回目の値引き交渉が始まる

大手だと、購買部という部署がある場合があります。

もちろん全ての会社にあるわけではありませんが、購買がある会社だと、まず購買の人と話すことになります。

そこで出てくるのが、こんな話です。

「弊社の全国平均ではこのくらいでして」
「この地域の価格帯だと、もう少し下げられませんか?」
「この現場、利益が厳しくてですね」

まぁ言い方はいろいろですw

中には、「僕の仕事はここで少しでも下げてもらわないと本当にマズいんです。申し訳ないけど、なんとかお願いします」という泣き落としバージョンもあります。

逆に、「この単価だと今後の取引が厳しいです」という強気バージョンもあります。

ここで1%〜5%くらい下がることは、体感としては普通にあります。

ただし、これは統計ではなく、あくまで我々が体験してきた大手や元請交渉でよくある事です。

ここで一切まけられない!と強い意志で行けるなら、それはそれで良いと思います。

ただ、実際にはここで完全決裂することは少なく、購買がある程度納得する金額になったら、次の段階に行くことが多いです。

購買部の価格交渉

次に工事部で、さらに単価と経費を見られる

購買が終わったら、次は工事部長や工事担当者との打合せです。

ここで工事の内容を詰めるのかと思いきや、また価格交渉になることがあります。

「経費の部分、もう少しなんとかならない?」
「ここは自社のトラックで運ぶんでしょ?」
「一気に施工できるなら、この単価は下がるよね?」

こんな感じですね。

施工する側からすると、確かに一気に施工できれば効率は上がる場合があります。

自社便で運ぶなら外注運搬より安くなる場合もあります。

ただし、それは条件がきれいに揃った場合の話です。

そしてなによりも企業努力なんです!

だらだら仕事したらそれで良いのか?ってなりますよねw

実際の現場は、天気、搬入路、仮設、近隣、待機、他業者との絡みで、予定通りに進まないことも普通にあります。

だから「自社でやるんだから安いよね?」だけで削られると、後から施工会社側が全部かぶることになります。

ここは本当に注意した方がイイです。

工事部との再交渉

最後に現場担当者からもう一段くる

そして最後の最後に、現場担当者からこう言われることがあります。

「今回、結構儲かったやろ?」
「うちもこの現場厳しいねん」
「この分だけ、なんとか引かせてほしい」

ありますよねw

これ、施工会社側からすると結構しんどいです。

と言うかそれあかんやろ?ってやつです。

なぜなら、購買で下げて、工事部で下げて、最後に現場でも下げる。

つまり、1つの見積に対して何回も利益を削られているわけです。

もちろん元請にも事情はあります。

受注金額、発注者との関係、現場予算、会社の利益。いろいろあるでしょう。

ただ、下請側にも社員がいます。

機械もあります。

材料も買います。

社会保険も払います。

給料も上げたい。

去年より今年、今年より来年、少しでも良い暮らしをさせたい。

そのためには利益が必要なんです。

 

国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインも、元請負人と下請負人の関係について整理されています。

要は、現場の品質や出来形や工程は厳しくて当然ですが、お金の部分まで一方的に押し込むと、協力会社が持たなくなるということです。

大手が利益を出す一方で、中小零細は倒れている

ここで一回、建設業全体の数字をw

帝国データバンクの「倒産集計 2025年度報」では、2025年度の倒産件数は1万425件。

2年連続で1万件を超えたとされています。

その中で建設業は、前年度1,932件から2,041件へ増加。5.6%増で、過去10年で最多です。

さらに見ておきたいのが、規模の部分です。

同じ資料では、負債額5,000万円未満の倒産が6,475件で、比較可能な2000年度以降で最多。

資本金で見ても、「個人+1,000万円未満」の倒産が7,580件で、これも2000年度以降で最多!

つまり、大型倒産がドンと出ているというより、中小零細の会社がじわじわ倒れている構図に見えるんですよね。

この数字を見ると、現場で我々が感じている「忙しいのに儲からない」「仕事はあるのに資金が残らない」という感覚と、かなり近い気がします。

一方で、大手ゼネコン側は大型工事、都市再開発、海外工事、不動産開発なども含めて、高水準の売上や利益を出している会社があります。

もちろん会社ごとに事情は違いますし、全ての大手が同じとは言いません。

ただ、下請の現場感としては、「上は利益を出しているのに、下は値引き交渉で削られている」という見え方になりやすいんです。

ここが一番の問題だと思っています。

大手ゼネコン 過去最高決算」と中小 倒産2041件

元請が利益を出すこと自体は悪いことではありません。

会社ですから利益は必要です。

大手も社員を抱え、株主もいて、社会的責任もあります。

ただ、その利益の作り方が、下請の企業努力を削る形になっていないか?という話です。

仮に10日掛かる現場を7日で終わらせた。

これは、たまたま3日浮いたわけではありません。

段取り、職人の腕、機械手配、材料搬入、現場判断。全部を詰めて作った3日です。

それを「3日分儲かったんだから、1日分削ってよ」と言われたら、企業努力の果実を値引きの原資にされているようなものです。

それを続けたら、何が残るんでしょうか。

そして最初に決めた金額をまた削るってなると最初の契約はなんだったんだ??ってなりますよねw

早く終わったり、原価を抑えたのは下請の企業努力。

努力を削ると何が残るのか?

疲弊ですよ!!

頑張って早く終わらせた会社が損をするなら、次から誰も工夫しなくなります。

段取りを詰める意味も、職人を育てる意味も、機械を良くする意味も薄くなります。

元請が本当に欲しいのは、安いだけの会社ではなく、ちゃんと施工して、ちゃんと速く現場を納めてくれる会社のはず。

それなら、下請が生き残れる利益を残すことも、元請の現場運営の一部だと思うんですよね。

 

だからこそ、今の値引き交渉は、ただの金額交渉ではなく、建設業の下支えを残すか削るかの話だと思っています。

安くすることだけが正義ではありません。

そこまで含めて、現場の単価だと思います。

元請も下請も、どちらか片方だけが儲かる形では長く続きません。

上が潤って、下が枯れる。

そんな構造では、いずれ現場そのものが回らなくなると思います。

大手の値引きフロー

利益が残らない仕事は、、、、

ハッキリ言って、毎回毎回、何段階も値引きしてくる会社とは付き合い方を考えた方がイイです。

ただ、大手は仕事を持っています。

営業力もあります。

現場数もあります。

だから簡単に「やめます」と言えないのも現実です。

でも、ここで大事なのは、自社の利益を削ってまでやる仕事なのか?という判断です。

受注した瞬間は売上になります。

けど、利益が残らなければ、社員の給料も上げられません。

機械の更新もできません。

安全対策にもお金を掛けにくくなります。

結果として、現場の品質にも、工程にも、人材にも影響します。

元請も今後は、ただ安く叩くのではなく、施工会社が継続できる金額を考えないと厳しくなると思います。

 

受注したけど施工する会社がいない。

そんな状態になってから単価を上げても、すでに職人も会社も消えているかもしれません。

すでに一部で起き始めているように感じます。

やはり優しい元請が良いですよね~^^

優しい元請というのは、何でも甘い元請という意味ではありません。

品質、出来形、工程、安全。

ここは厳しくてイイんです。むしろ厳しくないとダメです。

ただ、お金に対してだけは、協力会社がご飯を食べられる金額を考えてくれる元請じゃないと、長くは続きません。

誰だって、ご飯を食べさせてくれる人のためには頑張ろうと思いますよね。

逆に、いつもギリギリまで削ってくる相手に、ずっと付いていきたいか?と言われると、まぁそういう事ですよねw

これからは、安く使える会社を探す元請よりも、ちゃんと利益を残して、ちゃんと施工してくれる会社と組める元請が強くなると思います。

下請施工会社側も、取る仕事と断る仕事を見極める時代です。

売上より利益。

単価より継続。

目先の受注より、社員と会社を守れる仕事。

ここを間違えると、いくら忙しくても会社は弱っていきます。

見積はただの数字ではなく、その会社が生き残るための意思表示です。

 

それではまた。

元請と下請で見えている景色の違い ― 請負金額の交渉に潜む背景 ―

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