日本の「○○屋」全部書き出してみた|法面屋・鉄筋屋から見る海外との細分化の違い

皆さんこんにちは。

エンタです。

前回、「○○屋」の話を軽く紹介した記事を出したんですが、「もっと全部知りたい」「海外の分も端折るな」というお声を頂きました。

ごもっともです。中途半端に一部だけ抜き出すと、逆に「これは載ってるのに、あれは何で載ってないんだ」ってなりますよねw

閑話休題

という事で今回は、前回調べた範囲を一切端折らず、日本の「○○屋」を分野ごとに全部書き出します。

海外との比較表もフルで載せます。かなり長い記事になりますが、豆知識的に思って下さいw

まず判定基準について(●○△の意味)

大量に「○○屋」を並べる前に、判定の基準を説明しておきます。

「○○屋」は法律上の正式名称ではなく現場の通称なので、全部を同じ確度で「これが正式名です」とは言えません。

そこで今回は次の3段階で整理しています。

  • =専門業者自身のサイトや業界資料などで、実際に「○○屋」という呼称の使用例を確認できたもの
  • =専門職・専門工事としては存在するが、「○○屋」という呼び方が全国共通かどうかまでは確認できていないもの(地域・現場による)
  • =仕事自体は存在するが、「○○屋」という呼び方を広く確認できなかったもの

つまり●でも、あくまで「そう呼んでいる例がある」という話であって、法律や公的機関が定めた正式名称という意味ではありません。

この点は誤解のないように。

土木・建築それぞれの正式な業種名は、建設業法の29業種や、

国交省の建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価分野(鉄筋・型枠・グラウト・基礎ぐい・斜面防災・道路等法面保護などが独立分野として設定)をご覧ください。

現場で作業員たちが打ち合わせをしているイメージ

日本の「○○屋」大一覧

ここから分野別に全部並べます。長いです。覚悟してくださいw

なにせネットをAIにしらべさせてしばらく考えていましたからね!www

1.土工・基礎・地盤

※同じ分野もありますが、取りあえず拾ったそのまま載せますね

呼び方 判定 正式・近い職種 主な仕事
土木屋 土木工事業者 土木全般
土工屋 土工 掘削・床掘・埋戻し
重機屋 機械土工 BH・ブル・重機施工
オペ屋 建設機械運転工 重機オペレーター
基礎屋 基礎工 建築・構造物基礎
杭屋 基礎ぐい工 場所打杭・既製杭等
杭打ち屋 くい打ち工 杭打設
圧入屋 圧入工 鋼矢板・鋼管杭圧入
山留屋 山留工 土留め・切梁等
深礎屋 深礎工 深礎杭
地盤改良屋 土質改良工 深層・浅層混合処理等
薬注屋 薬液注入工 地盤止水・強化
注入屋 グラウト工 薬液・セメント注入
グラウト屋 グラウト工 地盤・岩盤注入
ジェット屋 ジェットグラウト工 高圧噴射撹拌
岩盤注入屋 岩盤グラウト工 ダム等の岩盤改良
ボーリング屋 ボーリング工 削孔・調査・施工
さく井屋 さく井工 井戸削孔
井戸屋 さく井工 井戸施工
ウェルポイント屋 ウェルポイント工 地下水低下
地質調査屋 地質調査 ボーリング調査
土質試験屋 土質試験 密度・粒度・強度試験
残土屋 建設発生土処理 残土受入・運搬
ダンプ屋 土砂運搬 土砂・砕石運搬
産廃屋 産業廃棄物処理 建設廃棄物処理
発破屋 発破工 岩盤発破
破砕屋 破砕工 岩盤・構造物破砕

「注入屋」については、薬液注入の専門会社自身が「緊急注入屋さんリスト」という名称を使っている例がありましたw

地盤・基礎まわりだけでこの数ですから、先が思いやられますねw

2.法面・斜面防災(うちの本業です)

ここは私の本業なので、思い入れを持って書きます。

呼び方 判定 正式・近い職種 主な仕事
法面屋 道路等法面保護工 法面工事全般
斜面屋 斜面防災 斜面安定対策
斜面防災屋 斜面防災 地すべり・崩壊対策
アンカー屋 アンカー工 グラウンドアンカー
吹付屋 モルタル・コンクリート吹付工 法面吹付
法枠屋 吹付法枠工 法枠施工
ラス屋 ラス張工(専門いる) 金網張り
植生屋 植生工 法面緑化
緑化屋 法面緑化工 種子・基材・マット
種子吹屋 種子吹付工 種子散布
厚層基材屋 植生基材吹付工 厚層基材吹付
ロックボルト屋 鉄筋挿入工 補強土・鉄筋挿入
鉄筋挿入屋 鉄筋挿入工 ロックボルト施工
落石対策屋 落石防護工 ネット・柵・予防工
ネット屋 ロープネット工 高所斜面作業
特殊伐採屋 特殊伐採 高木・急斜面伐採

「法面屋」「吹付屋」は、法面専門会社自身が自社紹介の中で名乗っています。

なお国交省は、以前は大きく一つのくくりだった「法面屋」に近い分野を、CCUSの能力評価上「斜面防災」と「道路等法面保護工事」という別々の分野に分けています。

昔ながらの大きな「法面屋」も、制度上は少しずつ専門分化してきているという事ですかね~。。。

法面崩壊

3.コンクリート・躯体

呼び方 判定 正式・近い職種
鉄筋屋 鉄筋工
圧接屋 鉄筋圧接工
型枠屋 型枠工・型枠大工
バラシ屋 型枠解体工
型枠解体屋 型枠解体
生コン屋 生コンクリート製造・供給
ポンプ屋 コンクリート圧送工
圧送屋 コンクリート圧送工
土間屋 コンクリート床仕上工
左官屋 左官
はつり屋 はつり工
壊し屋・こわし屋 解体・はつり
カッター屋 切断穿孔工
コア屋 ダイヤモンドコア穿孔
アンカー屋 あと施工アンカー工
補修屋 コンクリート補修工
断面修復屋 断面修復工
ひび割れ注入屋 樹脂注入工
シール屋 シーリング工
目地屋 シーリング・目地工
防水屋 防水工
ブラスト屋 ブラスト工
炭素繊維屋 連続繊維補強工
補強屋 構造物補強工

「コア屋」「カッター屋」は切断穿孔専門会社自身が使っている例、「ポンプ屋=コンクリート圧送工」も明確な用例があります。

「土間屋」も独立性の高い専門職として、専門会社自身がコンクリート床仕上げ専門と説明している例が確認。

同じ「アンカー屋」でも、ここでは法面のグラウンドアンカーではなく「あと施工アンカー」(構造物に後から穴を開けて金物を固定する工法)を指す意味で使われる点は、紛らわしいので注意が必要です。

4.鉄骨・鋼構造・重量物

呼び方 判定 正式・近い職種
鳶屋 とび工
足場屋 足場とび
鉄骨鳶 鉄骨とび
重量鳶 重量とび
重量屋 重量鳶・重量物据付
鉄骨屋 鉄骨工
鉄工屋 鉄工
鍛冶屋 鍛冶工
溶接屋 溶接工
製缶屋 製缶工
スタッド屋 スタッド溶接工
リベット屋 リベット工
建方屋 鉄骨建方
クレーン屋 クレーン運転・揚重
揚重屋 揚重工
機械据付屋 機械器具設置工

「重量屋」は専門会社自身が「重量鳶の別称として用いられることが多い」と説明している例があり、「足場屋」も専門会社が名称として使っている例が確認できます。

鳶にも足場鳶、鉄骨鳶、重量鳶、送電鳶などの細分化がある事は、この業界の方ならご存知の通りです。

鉄筋・型枠・鉄骨の三職種

5.道路・舗装・交通安全

呼び方 判定 正式・近い職種
舗装屋 舗装工
アスファルト屋 アスファルト舗装工
路盤屋 路盤工
カッター屋 舗装切断工
ライン屋 区画線・路面標示工
白線屋 区画線工
標識屋 道路標識工
ガードレール屋 防護柵工
フェンス屋 フェンス工
信号屋 交通信号設備工
照明屋 道路照明設備工
ブロック屋 舗装・コンクリートブロック工
インターロッキング屋 舗装ブロック工
縁石屋 縁石工
安全施設屋 道路交通安全施設工

「ライン屋」は特に用例がしっかりしていて、道路区画線業者自身が「街のライン屋さん」と名乗り、自治体の公式サイトでも施工会社代表の「私たちはライン屋なので」という発言が掲載されている例が確認できます。

6.橋梁

呼び方 判定 正式・近い職種
橋屋 橋梁工
橋梁屋 橋梁工
鉄骨鳶 橋梁架設
架設屋 橋梁架設工
PC屋 プレストレストコンクリート工
緊張屋 PC緊張工
グラウト屋 PCグラウト
支承屋 橋梁支承工
伸縮装置屋 伸縮継手工
床版屋 RC・PC床版工
橋面防水屋 橋面防水工
橋梁塗装屋 橋梁塗装工
ブラスト屋 素地調整
補修屋 橋梁補修
耐震補強屋 橋梁耐震補強
ジャッキ屋 ジャッキアップ施工

「支承屋さん」という呼称は、土木学会の技術者向けサイトでも実例が確認できます。

建設業の呼称分類図

7.トンネル・地下工事

呼び方 判定 正式・近い職種
トンネル屋 トンネル工
NATM屋 NATM施工
シールド屋 シールド工
推進屋 推進工
立坑屋 立坑工
ケーソン屋 ケーソン工
潜函屋 潜函工
さく岩屋 さく岩工
発破屋 発破工
セグメント屋 セグメント組立工
裏込め屋 裏込注入工
注入屋 グラウト工

「推進屋」は専門会社自身が「推進屋という特殊な建設業」と表現している例が確認できます。

8.河川・港湾・海洋

呼び方 判定 正式・近い職種
港湾屋 港湾土木
海上土木屋 海上工事
浚渫屋 しゅんせつ工
潜水屋 潜水工
海上起重屋 海上起重
ケーソン屋 ケーソン施工
消波ブロック屋 消波工
捨石屋 捨石工
護岸屋 護岸工
水門屋 水門設備工
ポンプ屋 ポンプ設備工
水中コンクリート屋 水中コンクリート工

9.上下水道・管路

呼び方 判定 正式・近い職種
水道屋 給排水・水道施設工
配管屋 配管工
管屋 管路工
下水屋 下水道工
管路屋 管路工
推進屋 推進工
開削屋 開削管路工
設備屋 給排水設備工
ポンプ屋 ポンプ設備工
バルブ屋 弁類据付工
浄化槽屋 浄化槽設備工
ガス屋 ガス配管工

「水道屋」は給排水設備会社自身が使う明確な業界呼称として確認できます。

10.鉄道

呼び方 判定 正式・近い職種
軌道屋 軌道工
保線屋 保線工
レール屋 軌道工
架線屋 電車線工
信号屋 鉄道信号工
電気屋 鉄道電気工
土木屋 鉄道土木
トンネル屋 鉄道トンネル工

11.測量・調査

呼び方 判定 正式・近い職種
測量屋 測量
墨出し屋 建築測量・墨出し
地盤調査屋 地盤調査
地質屋 地質調査
ボーリング屋 地質ボーリング
試験屋 材料・土質試験
非破壊屋 非破壊検査
鉄筋探査屋 RC内部探査

「墨出し屋」は墨出し専門会社自身がその呼び方を使っている例が確認できます。

12.造園・外構・石

呼び方 判定 正式・近い職種
外構屋 エクステリア工
造園屋 造園工
植木屋 植栽工
石屋 石工
石積屋 石積工
ブロック屋 ブロック工
フェンス屋 フェンス工
芝屋 芝張工
公園屋 公園施設工
遊具屋 遊具設置工

13.建築系まで含めるとさらに増える(参考)

土木の現場にも普通に建築系の「屋」さんが入ってくるので、参考までに名前だけ並べておきます。判定・仕事内容までは今回突き合わせていないので、名称の列挙にとどめます。

  • 大工・大工屋
  • 屋根屋
  • 瓦屋
  • 板金屋
  • サッシ屋
  • ガラス屋
  • ALC屋
  • サイディング屋
  • タイル屋
  • 防水屋
  • シール屋
  • 塗装屋
  • 内装屋
  • クロス屋
  • ボード屋
  • 軽天屋
  • 建具屋
  • 家具屋
  • 畳屋
  • カーテン屋
  • ダクト屋
  • 保温屋
  • 断熱屋
  • 空調屋
  • 設備屋
  • 電気屋
  • 弱電屋
  • 通信屋
  • 消防屋
  • 計装屋
  • 看板屋
  • サイン屋
  • エレベーター屋
  • ゴンドラ屋
  • 仮設屋
  • クリーニング屋
  • 解体屋

住宅施工の現場でも、地盤調査屋、足場屋、鉄筋屋、型枠屋、圧送屋、板金屋、瓦屋、サイディング屋、塗装屋、防水屋、断熱屋、左官屋、タイル屋、内装屋、畳屋、建具屋、電気屋、設備屋、空調屋など、非常に多くの「○○屋」が実際の現場で使われています。

ここまでの重複を除くだけでも、優に100種類を超える専門領域が出てきます。

うちの業界だけでこの数ですから、日本の建設業の分業体制って、あらためて凄いなと思いますw

もうね分業しすぎじゃね!??って思えてきますよね・・・

建設業の分業文化比較

日本 vs 海外 比較表【全項目】

続いて、日本の「○○屋」に近い仕事が、アメリカ・イギリス・オーストラリアの職業分類でどう扱われているかを、確認できた範囲で並べます。

海外の職種名は、O*NET(アメリカ労働省の職業データベース)、Safe Work Australia、IRATA(国際ロープアクセス技術者協会)などの公開資料を基にした調べもので、全てAIで調べたので、私自身が海外の現場へ足を運んで検証したわけではありませんw(そらそーw)

あくまで資料上の傾向としてご覧ください。

海外の職種 主な国 日本で近い職人 日本に対応職があるか
Steel Fixer 英・豪 鉄筋屋 ◎ほぼ同じ
Reinforcing Ironworker 鉄筋屋
Rod Buster 鉄筋屋 ◎(ただし日本に「Rod Buster」という独立呼称はなし)
Steel Tier 鉄筋屋
Formworker 型枠屋
Scaffolder 英・豪 足場屋
Structural Steel Erector 米・豪 鉄骨鳶・鉄骨屋
Rigger 米・豪 重量鳶・重量屋 ◎近い
Heavy Lift Rigger 重量屋 ◎近い
Pile Driver Operator 杭屋・杭打機オペ
Piling Attendant 杭屋の手元 △仕事はあるが独立職名ではない
Groundworker 土工+外構+排水+舗装 ×一対一の日本職種なし
Road Surfacing Operative 舗装屋
Asphalt Paver Operator 舗装屋のフィニッシャーオペ ◎作業あり
Asphalt Raker 舗装屋のレーキ担当 △独立した「レーキ屋」は一般的でない
Screed Operator 舗装屋 △日本では単独職として分けないことが多い
Asphalt Roller Operator ローラーオペ ◎作業あり
Earth Driller ボーリング屋
Diamond Driller ボーリング屋・コア屋
Water Well Driller さく井屋・井戸屋
Driller ボーリング屋
Driller’s Assistant ボーリング屋の手元 △独立職としてはほぼ無し
Shotcreter 吹付屋・吹付工
Nozzleman 米・国際 吹付工
Cement Mason 左官屋 ◎近い
Concrete Finisher 土間屋 ◎かなり近い
Concreter コンクリート工・土間屋
Pipelayer 管路工・水道屋
Drainer 排水設備・配管屋 △独立した「Drainer」相当職種は日本では分散
Fence Erector フェンス屋
Blaster 発破屋
Powderman 発破屋 ◎仕事内容は近い
Shot Firer 発破屋
Dredge Operator 浚渫屋・浚渫船オペ
Rail Track Maintainer 保線屋
Trackman 軌道工
Tunnelling Operative トンネル屋
Pipejacking Operative 推進屋
Mastic Asphalter アスファルト防水屋 ◎近い
Laggers 保温屋 ◎近い
Construction Rigger 鳶・重量鳶 ◎近い
Crane Chaser 玉掛け・合図者 ×独立した「○○屋」はほぼ無し
Dogger 玉掛け作業者・合図者 ×日本では独立職種として扱われない
Surveyor’s Assistant 測量助手・手元 △独立職種としては弱い
Steeplejack 鳶+ロープアクセス+高所補修 ×直接対応する日本の独立職なし
Rope Access Technician 国際 ロープアクセス作業者 △仕事はあるが日本の主要CCUS独立分野ではない

以下AIそのままw

実際に検索して裏取りできたのは、アメリカ労働省の職業データベースO*NETに載っている「Reinforcing Iron and Rebar Workers(鉄筋工)」の別名としての「Rodbuster」、そして「Paving, Surfacing, and Tamping Equipment Operators(舗装関連オペレーター)」という一つの職業区分の中に、Asphalt Paver Operator・Asphalt Raker・Screed Operator・Asphalt Roller Operatorという呼び名が並んでいるという2点です。つまりアメリカでは、舗装の担当は職業区分としては一つでも、現場で名乗る肩書きは機械・役割ごとに分かれている、という事だけは公式資料でも確認できました。それ以外の項目は、業界資料・各国の公開情報を基にした調べものである事をご了承ください。

海外にあって、日本では独立した「○○屋」になっていない仕事

逆パターンも紹介します。海外では独立した職種・資格になっているのに、日本では複数の「○○屋」に分散してしまっている仕事です。

Groundworker(イギリス)

イギリスでは独立した職種とされ、地盤準備、墨出し、排水、コンクリート、道路・歩道、ハードランドスケープまで含む仕事とされています。

日本なら、土工屋+外構屋+排水屋+舗装屋くらいに分散するイメージです。したがって、日本に完全一致する「○○屋」は無い、という整理になります。

Piling Attendant(イギリス)

杭屋専属の手元にあたる職業です。日本にもその作業をする人は当然いますが、「杭工助手」という独立した職人カテゴリーで商売する文化は一般的ではありません。

作業自体は日本にもあるが、独立職種としては日本にはほぼ無い、という整理です。

Dogger(オーストラリア)

オーストラリアではDogging(玉掛け)が高リスク作業ライセンス区分として独立しています。

Safe Work AustraliaでもDoggingとRigging(組立)は別々のライセンス区分とされています。

日本なら玉掛け+クレーン合図あたりですが、「玉掛け屋」という専門業者が普通に現場へ来る構造ではないので、日本に一対一の「○○屋」は無い、という整理になります。

Crane Chaser(オーストラリア)

クレーンやウインチへの荷掛け、荷の移動指示、荷重の確認、オペレーターへの合図を行う独立職種として存在するとされています。日本なら玉掛け作業者+合図者にあたりますが、「Crane Chaser屋」に相当する専門職会社は、通常の日本の土木施工体系にはありません。

Steeplejack(イギリス)

高い煙突、塔、高層建物、モニュメント、橋梁などを補修する高所専門職とされ、足場、ハーネス、屋根、石工、塗装、解体、避雷針設置まで仕事に含まれるとされています。

日本では鳶+ロープアクセス+塗装屋+補修屋に分散するイメージで、直接対応する「○○屋」は無いと判断するのが妥当です。

Rope Access Technician(国際)

IRATA(国際ロープアクセス技術者協会)では、Industrial Rope Access Technicianという技能が世界的に体系化されており、建設・土木・自然斜面などでも使われているとされています。IRATAは2026年時点で世界700社超、13万人超のロープアクセス技術者を訓練してきたとしているようです。

日本にもロープアクセス施工はありますが、「ロープアクセス屋」が国交省CCUSの主要な独立分野になっているわけではありません。

日本の「法面屋」は海外ではどうなるのか

今回一番気になっていたのがここです。

米国・英国・豪州の公的職業分類の中には、日本のような大きなくくりの「法面屋」にそのまま相当する標準職種は確認できませんでした。

海外では、仕事内容によって職能ごとにバラバラに分かれる傾向があるようです。

日本の法面屋の仕事 海外で近いとされる職種
モルタル吹付 Shotcreter / Nozzleman
削孔 Driller
アンカー Drilling / Ground engineering crew
ロックボルト Ground support / Drilling crew
法面高所作業 Rope Access Technician
発破 Blaster / Shot Firer
地盤改良 Ground engineering
植生 Landscaping / erosion-control crew
重機整形 Heavy Equipment Operator
落石対策 Rockfall / rope-access / geotechnical contractor

米国ではShotcrete専門職が「Shotcreter」としてACI(米国コンクリート協会)認証の対象になっており、wet-mix・dry-mixまで資格が分かれているとされています。

つまり日本の法面屋1社が普通にこなす、(削孔・鉄筋挿入・アンカー)・(吹付・法枠・ラス・植生・落石対策)までの仕事は、海外の職種分類で見ると複数の専門トレードを一社で持っているような位置付けになるようです。

削孔

※ここまでの海外分類の話は、O*NET・Safe Work Australia・IRATAなど公開されている資料を基にした調べものです。

あくまで資料上の傾向としてご覧ください。

実際の運用は国・州・団体によって差があると思います。

最終的に見えてきたもの

日本の建設業の「○○屋」は、大きく見ると、土・地盤 → 法面 → 基礎杭 → コンクリート → 鉄骨 → 道路 → 橋 → トンネル → 河川港湾 → 上下水道 → 鉄道 → 測量 → 外構 → 設備・建築、という巨大な専門分業体系になっています。

今回調べた範囲だけでも、重複を除いて100種類を超える「○○屋」を拾う事ができました。

海外と比べて特に特徴的なのは、日本は会社や班を「○○屋」と呼ぶのに対し、英米豪は個人の作業技能そのものをtrade(技能職)として切り刻む傾向がある、という感じです。

だからこそ海外には、Rod Buster、Piling Attendant、Groundworker、Dogger、Crane Chaser、Steeplejackのような、日本人から見ると「そこだけで一職種なの?」という仕事があります。

逆に、日本の法面屋のように複数技能をまとめて一つの専門業界にしている形は、今回確認した英米豪の公的分類では直接対応する職種が見当たりませんでした。

どちらが優れているという話ではなく、単純に仕事の組み立て方が違うんだと思います。

海外みたいに職種がガチガチに分かれていたら、うちみたいな小さい会社では逆に現場を回しきれなかったかもしれません。

自分たちの仕事のポジションを、こうして海外の分類と並べてみると、普段は意識しない発見があるものですね。

非常に面白い!

 

それではまた。

 

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