擁壁・石積みのアラミド繊維補強は効果あるのか|モルダム工法との違いも解説 一般の方向け

皆さんこんにちは。

エンタです。

今年の夏はなんだか昨年以上に暑くて、休憩の回数を増やしながら現場を進めざるを得ない。
水分補給、皆さんも忘れないで下さいw

閑話休題

今回は「擁壁や石積みにアラミド繊維を巻く工法ってどうなんですか?」という質問について考えてみます。
公共工事でもよく採用されている工法なので、初めて聞いた方にも分かりやすく書いていきます。

アラミド繊維とは?石積み・擁壁での使われ方

アラミド繊維は、米国デュポン社が開発した有機繊維です。
薄く軽量でありながら、引張強度は鋼材と同等以上!
柔軟性にも優れていて、柱の角や曲面にも密着しやすいため施工性が良いという特徴があります。
さらに有機繊維なので錆びる心配がなく、電気的な障害も起きません。

こういった特性から、コンクリート表面など厚みが取れない部分の補強によく使われています。
木材の部分補強で使われるケースもあるとの事です。
構造物の周囲にアラミド繊維をぐるぐる巻いて、ウレタンやエポキシ樹脂で硬化させると、鉄板と同等かそれ以上の強度になります。

ここで大事なのが、「目的物の周囲をぐるぐる巻ける部分は補強できる」という点です。
巻くとそれ以上に変位出来なくなるので補強と言えます。
逆に言うと、ぐるぐる巻けない部分は、補強ではなく補修という扱いになります。

アラミド繊維シートを施工

石積みや擁壁への適用は「補強」より「補修」に近い

これを石積みに当てはめて考えてみます。
石積みや擁壁の表面にアラミド繊維を貼るという事は、実質的には可能ですし、実際そのような施工はされてます。
ただしこれは、あくまでも石と石の連続性を増すための処置です。
簡単に表現すると、石積みの表面に軽い鉄板を貼り付けたようなイメージですね。

この考え方は、モルダム工法とよく似ています。
モルダム工法の場合は石同士を直接接着しますが、アラミド工法の場合は石の表面に接着するという違いがあります。
やり方は違えど、どちらも石積みの連続性を保たせるという目的は同じです。

なので、どちらかと言うと補修という意味合いが強い工事だと私は思っています。
石一つ一つで見れば補強とも言えますが、擁壁全体で見ると、劣化した連続性を回復させる補修という側面が強い、という事ですね(ちょっと分かりにくいですがw)。

モルダム工法とアラミド工法の比較図

表面補強だけでは土圧には勝てない、だから地山からの補強がカギ

ただ、これだけで安心かと言うと、そうではありません。
アラミド工法もモルダム工法も、あくまでも石積みの表面を補強・補修しただけであって、土圧の話とはまた別物だからです。

かつて土圧に耐えられるよう作られた石積みでも、経年劣化で耐えられなくなっているケースが増えています。
見た目の劣化も激しく、そういった石積みをモルダムやアラミドで補修・補強するというのが、こういった工事の実態です。

土圧を点を面で受けるので全体的には強くはなっています。

しかし昨今の地震や大雨では、表面だけを補強しても耐えられない可能性が高いと、私は現場の感覚として思っています。
そこで必要になるのが、地山そのものから補強するという考え方です。
どれだけ土圧に耐えられる石積み・擁壁にできるか、これが一番大事だと思っています。

アラミドもモルダムも、あくまでも表面工です。
内部補強ではないという点は、必ずご了承いただきたいところです。

モルダム

そして、何度も書きますが、石積みの表面をモルタルで隠すだけの施工だけはお避け下さいw
見た目は綺麗になりますが、強度的には何の意味もありません。
危険な状態が見えなくなるだけで、むしろ危ないと私は思っています。

一部のYoutuberがモルタル施行を推奨しており、それを鵜呑みにして施工されている方がいるので非常に残念。

また大谷石のような多孔質な石材の場合は、表面にモルタルを塗って隠すのではなく、浸透性の樹脂を散布(塗布)するのがオススメです。
多孔質の内部まで樹脂が浸透し、劣化の進行を抑えつつ、見た目の劣化状況も分かりやすいままにできるので。

危険は見える方が良いんです。
理由として対策がしやすいからです。
突然ドーンと崩壊するよりは良いですよね!?

表面の補修・補強も大事な工事ですが、それだけで満足せず、土圧そのものと向き合う視点を忘れないようにしたい所です。

 

それではまた。

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