皆さんこんにちは。
エンタです。
8月の法面は朝イチから灼熱で、ファン付き作業服がフル稼働です。
体より先にバッテリーがバテる季節ですねw
マジで死ぬw
閑話休題
今回は技術の話ではなく、外国人技能実習生と一緒に法面をやっていて毎回ぶつかる「美的感覚の違い」の話です。
ネパール人やベトナム人の実習生と働いている建設業の皆さんなら、たぶん深くうなずいてもらえる内容だと思います^^
水抜きパイプの「通り」が通らない

先日、実習生と一緒に法面の施工をしていた時の話です。
水抜きパイプを「3平米に1カ所」というような表現で指示して設置させました。
すると、刺さってはいるんです。
数も間違っていない。
でも、パッと見た時に塩ビパイプが直線上に並んでいないんですよ。
我々日本人はアレを見た瞬間に「なんでこうなってるんだ」と言ってしまいますよね?
しかし実習生からすると「いやいや、言った通りに刺さってるじゃないか」なんです。
例えば「1メーターおきに設置して」と指示した場合も同じです。
1メーターにはなっている。
でも高さがバラバラで、ただ凸凹になっている。
そしてその凸凹が、本人には見えていないんですよね。
これが法面の「通り」の話です。

「本が置いてある」と「乱雑に置いてある」の感覚差
この感覚の違いを分かりやすく言うと、机の上の本の話になります。
乱雑に積まれた本があったとして、日本人であれば「散らかってるな」と気になると思うんですよね。
それが実習生には、ごく普通に見えているんです。
この「普通」というのが何かと言うと、「そこに本がある」という感覚なんです。
日本人は「乱雑に置いてある」と状態まで見ますが、彼らは「本が置いてある」という存在だけを見ている。
だから土木の施工においても「付いていれば良い」「あれば良い」という感覚になりやすいんです。
機能だけを見れば、水は抜けるし、本も読める。
ある意味とても合理的なんですよ。
ですが、日本の現場では品質もさることながら見た目もかなり重視されます。
見た目が乱れている施工は、それだけで「管理ができていない現場」と評価されてしまいますからね。
ここを教えるのが、ほんとに難しいんです。

なぜここまで感覚が違うのか調べてみた
どうして日本人と実習生でこれほど差があるのか、いろいろ調べてみました。
イロイロと調べていると、よく出てくるのが、文化人類学者エドワード・T・ホール氏が提唱した「ハイコンテクスト文化」「ローコンテクスト文化」という考え方。
日本は世界でも代表的なハイコンテクスト文化、つまり「言わなくても察して動く」ことを前提にした文化圏だとされています。
「通りを揃える」「面を合わせる」「まっすぐ入れる」なんて、日本人同士なら言わなくても伝わる暗黙の了解ですよね?
ですが、文化的な前提を共有していない相手には、この「察して」がそもそも通用しないらしいです。
実際、技能実習生の受け入れに関する各社・監理団体の資料でも、言語の壁や文化の違いによる誤解が現場の主要な課題として挙げられているとの事です。
つまり「何度言っても伝わらない」のは、実習生の能力の問題というより、我々が暗黙の了解に頼りすぎて言語化できていない部分が大きい、ということのようです。
これは耳が痛い話ですw
私も「見りゃ分かるだろ」と何度言ったことか・・・。
見て分からないから苦労してるんですよね。

それでも「日本人っぽい動き」の子は出てくる
とはいえ、悲観ばかりでもありません。
たまに美的センスの良い子が出てくるんですよ。
これが元々のセンスなのか、慣れでそうなったのかは正直わかりません。
ですが、通りや面を自分から気にする「日本人っぽい動き」ができる子が、たまに出てきます。
そうなるとその子が他の実習生に母国語で教えてくれるので、非常に助かります。
現場としては、この子をどう育てるかが勝負ですね。
うちの現場での反省も込めて言うと、「きれいに」「ちゃんと」という抽象的な言葉は捨てて、
「水糸に沿わせる」「地面から30センチの高さで揃える」のように、見た目の基準を数字と道具で示すのが一番伝わる気がしています。
これはあくまで私の現場の感覚ですが、感覚を教えるのではなく、感覚を測れる形に翻訳してやる、という事なんだと思います。

結局のところ、機能だけ見れば彼らの感覚の方が合理的なのかもしれません。
でも日本の建設業では、見た目も品質のうちです。
何度言っても変わらない、何度言っても同じことをする、その繰り返しに現場で頭を抱えている方は多いと思います。
うちでも親方衆は毎回頭を抱えていますw
ただ、「察して」が通じない相手に察してもらおうとするのは、こちらの伝え方の問題でもあるんですよね。
暗黙の了解を数字と道具に翻訳する。
地味ですが、それが外国人と一緒に生き残っていく我々のやり方なんだと、私は今回また学びましたwww
言葉にせずとも形にして分かりやすい何かを作って行きましょう!
それではまた。



