Men and women should both be able to work, but there are distortions in the laws and regulations (from a labor safety consultant at Dojima River)

Dojima River Occupational Safety Consultant

働く女性が法律の壁に触れるとき。

「ガテン系」なんていう言葉で一括りにされていた場所に、汗を流しながら、重機を操り、図面を睨む女性の姿が増えてきました。

私が実際に耳にしたことばですが、
「自分の手がけたものが、地図に残るのがうれしい」
「橋ってかっこいいじゃないですか」
実に格好いいと思います。

あちこちで目にしますが、
女性活躍
ジェンダー平等
輝く社会
世間はそんな言葉で彼女たちを応援しています。

けれど、それはすべての仕事に当てはめられるわけではありません。

彼女たちがどれほど働きたくても、目の前に「見えない巨大な壁」が現れることがあります。

「計画を立てる人はOK、汗を流す人はNG」というゆがみ

法令則の中には、今も歪なルールが生きています。
代表的なものでいえば、トンネルのような「坑内労働」の現場かもしれません。
現在のトンネル工事は、昔のイメージとは大違いで、最先端の巨大な重機が動き、遠隔操作で安全に掘り進められるスマートな空間になりつつあります。
人手不足に悩む業界にとっても、ここに女性たちの新しい力が加わることは大歓迎のように思えます。

労働基準法

(坑内業務の就業制限)
第六十四条の二
 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。
 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性 坑内で行われるすべての業務
 前号に掲げる女性以外の満十八歳以上の女性 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの

労働基準法

第ニ項にある、「厚生労働省令で定めるもの」とは?

こうやってあっちこっちに行くから、法令則は面倒だという声を聞きます。
まったく、その通りですよね。
厚生労働省令で定めるものは以下になります。

(坑内業務の就業制限の範囲)
第一条 労働基準法(以下「法」という。)第六十四条の二第二号の厚生労働省令で定める業務は、次のとおりとする。
 人力により行われる土石、岩石若しくは鉱物(以下「鉱物等」という。)の掘削又は掘採の業務
 動力により行われる鉱物等の掘削又は掘採の業務(遠隔操作により行うものを除く。)
 発破による鉱物等の掘削又は掘採の業務
 ずり、資材等の運搬若しくは覆工のコンクリートの打設等鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務(鉱物等の掘削又は掘採に係る計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、保安管理その他の技術上の管理の業務並びに鉱物等の掘削又は掘採の業務に従事する者及び鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務に従事する者の技術上の指導監督の業務を除く。)

女性労働基準規則

実際、法律も「進歩」はしている。

遠隔操作による掘削や、トンネルの計画を立てたり、工程を管理したり、安全をチェックしたりする「技術者(監督)」なら、女性でも坑内に入って仕事をしても問題ない、ということになりました。

ところが、
「私も現場で実際にコンクリートを打つ!」
「資材を運ぶ職人(技能者)として、最前線で体を動かす!」
そう女性が手を挙げた瞬間、法律はうんとは言いません。
「直接作業する人は、女性だからできない」となっています。
管理する側の女性はOKで、現場で汗を流す側の女性はNG。

これは、なんだか歪なモザイク画を見ているような、奇妙なギャップだと感じます。

守られているのか、遠ざけられているのか

もちろん、法律が悪意を持って彼女たちを拒んでいるわけではありません。
根底にあるのは「母性保護」という大義名分になります。
女性の身体や、将来の妊娠・出産への影響を医学的に配慮して、重労働や有害な環境から守ろうとした、優しさの形とも言えるのではないでしょうか。

しかし、現在の現場は機械化され、かつてのような「命がけの筋肉労働」から「技術とチームワークの仕事」へとアップデートされているように思います。

守るための法律が、いつの間にか、彼女たちの「この仕事で食っていくんだ」というキャリアの選択肢を奪ってしまっているのだとしたら、それは本当の意味での「保護」ではなく、「排除」になってしまっているようにも思えます。

法律が変わっても、まだ足りないもの

例えば明日にでもこの法律が改正されて、「誰でも自由に、実力で現場に立てる」ようになったとしたら、解決するのかといえば、それも違うように感じます。

作業服や保護具の世界では、性差に合わせた商品も多くなってきました。

しかし、山奥の現場に女性専用のトイレはありますか?
汗を流した後に、安心して着替えられる更衣室は?
私の現場にはありません。

女性が働くことを想定していない状態が、今も現場のあちこちに残されています。
補助金の拡大もあり、大きな現場では快適なトイレや、温水シャワーまであったりしますが、数日で終えるような補修工事や調査、点検のように日々移動するような仕事ではそうもいかないのが現状です。

法の壁も削ればいい

女性問題は今、大きな転換点にいるように思います。
その声と、作業環境の改善のスピードに、法令則が追い付いていないだけのようにも思えます。

2026年4月からは女性活躍推進法がさらに変わり、多くの企業で「男女の賃金にどれだけ差があるか」を厳しく公表させられる時代になりました。
世の中は、本気で「格差をなくせ」と企業に迫っています。
しかし、本当に変えるべきは、数字の帳尻合わせではないのではないでしょうか。

建設現場が好きで、ヘルメットをかぶって、自分で飯を食おうとする人々と、昭和のまま止まっている法と環境のギャップを埋めることが大切なんではないでしょうか。

皆さんは、ただ「特別扱い」をしてほしいわけじゃないように思います。

性差を問題とせず、同じように働き、同じように認められることを私も望んでいます。

労働災害から見た現実

ただ、どうしても触れておかなければならない現実もあります。
4日以上の休業災害のうち転倒災害では、約48%が50代以上の女性に起こっており、そのうち骨折に至るものが約70%もあります。

だからといって、「働くな」というものではなく、「誰であっても災害に至りにくい職場づくり」を考えられたら、男女の別なく働きやすいんじゃないかなと思っています。

Dojima River Occupational Safety Consultant

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