皆さんこんにちは。
エンタです。
今年も暑くなってきましたね。
ジメジメ感が早い気がする・・・・
法面の現場は逃げ場のない斜面の上が多いので、夏場は本当にこたえます。
うちもこの時期は朝必ず水分の声かけをしますが、毎年「これで足りてるのか?」と不安になりますw

閑話休題
今回は、現場の命に直結する「熱中症対策」の話。
私的にとにかくヤイノヤイノ熱中症に対して言いたいんです!!w
もうね、耳にタコ出来るくらい職人に言い聞かせたい!!の今回も聞いて下さいw
ここ1〜2年で、熱中症対策はルールがガラッと変わったのしってますよね!?
「努力義務」だったものが、罰則付きの「義務」になっています。(もう何回も言ってるw)
知らないまま夏を迎えると、現場の人間が倒れるだけでなく、会社も法的に詰みます。
最新の法令とエビダンスを突き合わせて見ていきます。

熱中症対策は2025年6月から「義務」になった|知らなかったでは済まない
まず大前提から。2025年6月1日に改正された労働安全衛生規則が施行され、職場の熱中症対策が罰則付きで義務化された、と厚生労働省の資料に書いてあります。
新しく追加された条文は、労働安全衛生規則の第612条の2「熱中症を生ずるおそれのある作業」というもの。
義務化の対象になる作業条件。
・暑さ指数(WBGT)が28度以上、または気温が31度以上の環境 ・その中で、連続1時間以上、または1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業
法面や土工の夏場の屋外作業なんて、ほぼ全部これに引っかかります。
つまり「うちは関係ない」では済まない、ほぼ全現場が対象だという事です。
罰則も決まっていて、義務に違反した者には「6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金」、法人にも50万円以下の罰金が科される可能性があるそうです。
さらに、労働基準監督署から作業停止命令を受けるケースも!?
加えて、労働契約法第5条の「安全配慮義務」を怠ったと判断されれば、民事の損害賠償責任を問われる事も・・・
そして最新の動きとして、厚生労働省は2026年3月26日に「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を新たに公表しました。
令和8年の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」も2026年5月1日から9月30日まで実施中です(7月が重点取組期間)。
数字で見る現実|建設業は熱中症災害のワースト常連
「義務化なんて大げさな」と思う人もいるかもしれませんが、数字を見ると笑えません。
厚生労働省の「令和6年(2024年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」によると、2024年の職場での熱中症による死傷者(死亡+休業4日以上)は1,257人で、統計を取り始めた2005年以降で最多だったと書いてありました。
そのうち死亡者は31人。
業種別では建設業228人・製造業235人で、この2業種だけで全体の約4割を占めていたそうです。
特に建設業は、死亡者数では31人中10人と最も多く、ワースト1位!!
2025年(令和7年)はさらに増えています。(昨年のあの暑さはマジで尋常じゃなかった!!!!)
厚労省の速報値では、2025年の死傷者数は1,681人と過去最多を更新し、建設業は278人。
死亡者数は15人と前年より減ったものの、その中でも建設業が最多だったそうです。
中でも私が「これは現場でも気をつけねば」と思ったのが、次の傾向です。
・約8割が7月・8月の2か月に集中している
・時間帯は午前中と午後3時前後が多い
・被災者の半数以上が50歳代以上
・2024年の死亡事例のうち、暑さ指数(WBGT)の把握すら確認できなかったケースが24件もあった
そして見落としがちなのが「作業後型」です。
日中は元気だったのに、帰宅後や作業終了後に体調が急変して亡くなる事例が少なからずある、と厚労省の資料に。
これ本当に怖いですよ。
「今日は乗り切った」が一番危ないという事です。
義務の中身は「見つける・判断する・対処する」の3本柱
では、具体的に何をやれば義務を果たせるのか。
厚労省は基本の考え方として「見つける→判断する→対処する」という流れを示していて、事業者に義務付けられたのは大きく次の3本柱だそうです。
1,「体制整備」
熱中症のおそれがある作業者を早期に発見し、すぐ報告できる社内体制を整えて、関係者に周知する事。
2,「手順作成」
緊急連絡網や搬送先の病院・連絡先をあらかじめ決めておき、作業からの離脱・身体の冷却・医療機関への搬送といった、重篤化を防ぐための対応手順を作っておく事。
3,「関係者への周知」
作った体制や手順を関係者にきちんと伝え、熱中症の症状・予防方法・緊急時の対応について労働衛生教育を行う事が求められている。
ここで法面・土木の現場で特に大事なのが、混在作業の扱いです。
同じ作業場で複数の事業者が混在して作業する建設現場では、元方事業者と関係請負人のいずれにも措置義務がかかるそうです。
周知の方法として、各事業者が共同で1つの緊急連絡先を定め、作業員の見やすい場所に掲示するなど。
要は、何か有ったた場合に対応する為に、誰が何をする!って言う事を明確に決めておくと良いって事です。

WBGTを「測る」ことから全部が始まる|現場で効く予防策
予防の出発点は、とにかく「暑さを数値で把握する」事だと各資料が口をそろえて書いてます。(まぁ役所的な・・・)
気温だけ見ていてもダメで、湿度・日射・輻射熱・風を総合した暑さ指数(WBGT)を測る必要がある、と書いてあります。
前述したとおり、2024年の死亡事例の多くでWBGTの把握すらされていなかった訳なので数字で分かるのは大事な事かも知れないですね。
ただ、法面の数字とはちょっと違う気がしますが。。。(以前書いた反射熱の話し)
具体的には、作業場所にWBGT指数計(暑さ指数計)を設置して、その値に応じて対策の強さを変えていくのが基本らしいです。
そのうえで、2026年3月の新ガイドラインやクールワークキャンペーンの資料で挙げられていた予防策を、現場で効きそうな?ものを中心に並べてみます。
・暑熱順化(暑さに体を慣らす):久しぶりに暑い中で作業する時や、季節の変わり目で急に暑くなった時は特に危ない。新入りや夏休み明けは要注意です。
・プレクーリング:作業開始前や休憩中に、あらかじめ深部体温を下げておく考え方らしいです。(水風呂登場!)
・服装による身体冷却:透湿性・通気性の良い服装に加え、送風や送水で体を冷やす機能を持つ服やヘルメット(いわゆるファン付き)の活用が推奨。それだけで熱中症を防げる訳ではなく、他の対策と組み合わせる事が望ましいが過信は禁物。
・設備対策:暑さ指数を下げる簡易な屋根や日除け、冷房を備えた休憩場所、散水設備の検討。
・水分・塩分の定期補給:飲料水や塩飴を常備し、定期的に摂らせる。(10分に1回程度で1日の半分は休憩になるw)
・こまめな巡視:水分補給できているか、体調に異常がないかを管理者が見て回る。
・作業時間の短縮・中止:WBGTが高い時は休憩を増やし、危険なら作業を止める判断をする。(法面のWBGTは今年絶対に測ります!w)
今どき当たり前の空調服は標準装備。
機械を扱う削孔作業なんかでは、服が巻き込まれないか注意も必要ですけどね。
便利な道具ほど、使い方をちゃんと教えないと別の事故を呼ぶ可能性も。。。
心配しだしたら最大の安全は無作業ですねwww

もし倒れたら|重症度の見分けと応急処置
どれだけ予防しても、ゼロにはできません。
倒れた時の初動が命を分けます。
「熱中症環境保健マニュアル2022」や厚労省の資料には、熱中症は重症度でⅠ度〜Ⅲ度に分けられている、と書いてあります。
・Ⅰ度(軽症):意識ははっきりしている。めまい・立ちくらみ、手足のしびれ、筋肉のこむら返り(痛み)、大量の発汗など。→ 現場での応急処置で対応できる事が多い。
・Ⅱ度(中等症):頭ががんがんする頭痛、吐き気・嘔吐、体のだるさ(倦怠感)、「意識がなんとなくおかしい」。→ 病院への搬送が必要とされる中等症。
・Ⅲ度(重症):意識がない、呼びかけへの返事がおかしい、けいれん、まっすぐ歩けない・走れない、体が熱い。→ ただちに救急搬送、入院・集中治療が必要。
現場で最初に確認すべきは、とにかく「意識がしっかりしているか」。
少しでも意識がおかしければ、迷わず救急要請です。

応急処置の基本の流れ。
まず涼しい場所へ避難させ、衣服をゆるめる。
そして体を冷やす(首・脇の下・足の付け根など太い血管のあるところを重点的に)。
意識がはっきりしていて自分で飲めるなら、水分と塩分を補給させる。
ただし、自分で水分・塩分が摂れない時や、Ⅱ度以上が疑われる時は、ためらわず病院へ搬送。
ここで一番やってはいけないのが「少し休めば治るだろう」と様子を見続ける事です。
前述のとおり、死亡事例の多くは初期症状の放置や搬送の遅れが原因だった、と厚労省が指摘しています。
「大丈夫です」と本人が言っても、判断するのは周りの人間。
現場監督として肝に銘じておくべき所は、
不安なら軽度でも病院急行です!!
熱中症は、正しく備えれば防げるし、倒れても初動が早ければ救える災害です。
法面の現場は逃げ場のない斜面の上で、しかも50代以上のベテランが体を張ってくれている事が多い。
その人たちを夏で失うなんて、絶対にあってはなりません。
道具も法律も揃った今、あとは現場の一人ひとりが「面倒くさい」を捨てて動けるかどうか。
うちもまだ完璧とは言いませんが、今年もしつこく声をかけ続けます。道具もドンドン使います!
仲間を守るのは、結局のところ現場の人間の意識なんです。
それではまた。



