皆さんこんにちは。
エンタです。
法面の現場で発電機や削孔機を持ち込むと、特に特殊機械だと「排ガス対策型ですか?」って聞かれます。
中古機械を買う時にも「これ何次排ですか?」って聞きますよねw

建設機械の排ガス規制(排出ガス対策型建設機械の指定制度)の第1次〜第4次基準値の違いと、それを支えるオフロード法(特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律)の枠組みを、国土交通省告示・告示要領を元に書いてみます。
こんなの知らなくてもと思うでしょうが、知っておくことは大事です!
知らない事を知っておく!
建設機械の排ガス規制とは
結論だけを言うと、
建設機械の排ガス規制は、ディーゼルエンジンを積んだ建機が排出する有害物質(NOx・PM・CO・HC・黒煙)を、段階的に減らしていくための国の指定制度です。
基本は次の2つ:
- 国土交通省『排出ガス対策型建設機械指定要領』(平成3年(1991年)以降、段階的に強化)
- オフロード法(特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律)(平成18年(2006年)施行)
国交省直轄工事をはじめとする公共工事では、指定を受けた建設機械の使用が義務付けられている場面が多く、
現場に持ち込む機械はステッカー(指定ラベル)で対応次数を確認できます。

規制対象になる物質
| 物質 | 略号 | 健康・環境への影響 |
|---|---|---|
| 窒素酸化物 | NOx | 酸性雨・光化学スモッグの原因 |
| 粒子状物質 | PM | 肺・呼吸器に有害(PM2.5の前駆物質) |
| 一酸化炭素 | CO | 不完全燃焼で発生、人体に毒性 |
| 炭化水素 | HC(NMHC) | 光化学オキシダントの原因 |
| 黒煙 | — | 不完全燃焼の指標、視認性確保 |
第1次〜第4次基準値の一覧
国交省告示で定められた第1次〜第4次の基準値を、出力区分ごとに書き出します。
基本は全て国土交通省『排出ガス対策型建設機械指定要領』(各次の改定告示)
第1次基準値(2003年10月〜)(単位:g/kWh)
| 定格出力 | NOx | HC | CO | PM | 黒煙 |
|---|---|---|---|---|---|
| 19kW以上37kW未満 | 8.0 | 1.5 | 5.0 | 0.8 | 40% |
| 37kW以上75kW未満 | 7.0 | 1.3 | 5.0 | 0.4 | 40% |
| 75kW以上130kW未満 | 6.0 | 1.0 | 5.0 | 0.3 | 40% |
| 130kW以上560kW未満 | 6.0 | 1.0 | 3.5 | 0.2 | 40% |
第2次基準値(2006年10月〜)(単位:g/kWh)
| 定格出力 | NOx | HC | CO | PM | 黒煙 |
|---|---|---|---|---|---|
| 19kW以上37kW未満 | 6.0 | 1.0 | 5.0 | 0.4 | 40% |
| 37kW以上56kW未満 | 4.0 | 0.7 | 5.0 | 0.3 | 35% |
| 56kW以上75kW未満 | 4.0 | 0.7 | 5.0 | 0.25 | 30% |
| 75kW以上130kW未満 | 3.6 | 0.4 | 5.0 | 0.2 | 25% |
| 130kW以上560kW未満 | 3.6 | 0.4 | 3.5 | 0.17 | 25% |

第3次基準値(2011年10月〜)(単位:g/kWh)
| 定格出力 | NOx | HC | CO | PM | 黒煙 |
|---|---|---|---|---|---|
| 19kW以上37kW未満 | 4.0 | 0.7 | 5.0 | 0.03 | 25% |
| 37kW以上56kW未満 | 4.0 | 0.7 | 5.0 | 0.025 | 25% |
| 56kW以上75kW未満 | 3.3 | 0.19 | 5.0 | 0.02 | 25% |
| 75kW以上130kW未満 | 3.3 | 0.19 | 5.0 | 0.02 | 25% |
| 130kW以上560kW未満 | 2.0 | 0.19 | 3.5 | 0.02 | 25% |
第3次の最大の特徴は、PM(粒子状物質)が1〜2桁単位で激減したこと。
第2次の0.17〜0.4 g/kWhから、第3次では0.02〜0.03 g/kWhへ。
これはディーゼル微粒子捕集装置(DPF)の搭載が事実上必須になった世代です。
第4次基準値(2014年10月〜)(単位:g/kWh)
| 定格出力 | NOx | HC | CO | PM | 黒煙(オパシメーター m⁻¹) |
|---|---|---|---|---|---|
| 19kW以上37kW未満 | 4.0 | 0.7 | 5.0 | 0.03 | 0.50 |
| 37kW以上56kW未満 | 4.0 | 0.7 | 5.0 | 0.025 | 0.50 |
| 56kW以上75kW未満 | 0.4 | 0.19 | 5.0 | 0.02 | 0.50 |
| 75kW以上130kW未満 | 0.4 | 0.19 | 5.0 | 0.02 | 0.50 |
| 130kW以上560kW未満 | 0.4 | 0.19 | 3.5 | 0.02 | 0.50 |
第4次の特徴は、56kW以上のNOxが3.3〜2.0から0.4 g/kWhへ激減したこと。
これは尿素SCR(選択触媒還元)システムの搭載で実現する数値です。
黒煙の測定方法も%表示からオパシメーター(光透過度計)測定(単位 m⁻¹)に変わりました。
ぶっちゃけ言ってこの辺からもうおかしくなってきましたね。
やり過ぎ感ですよ。
皆さんご存知の尿素で各段に面倒な事に・・・・

オフロード法との関係
国交省の指定制度と並行して、オフロード法(特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律)が2006年から運用されています。
法律と国交省告示の関係は、
- オフロード法:環境省・経済産業省・国交省の3省共管。排出ガス基準を満たさない特定特殊自動車(=公道を走らない作業機械)の製造・販売・使用を法的に規制
- 国交省指定要領:上記の基準を満たした建設機械を「排出ガス対策型」として指定し、公共工事で優先使用できるようにする運用制度
要するに、オフロード法で“市場に出せる機械”の最低ラインが決まり、その上で公共工事に使うものはさらに国交省の指定を受ける、という二重構造になっています。
現場側からすると「指定ステッカーが貼ってあるか」で判断すれば実務上は問題ありません。
指定対象外の機械もある
経験で言うと、全ての建機が指定対象になっている訳ではありません。
指定要領で対象機種が列挙されていて、
- 指定対象:油圧ショベル、ホイールローダ、ブルドーザ、発電機(多くの定格出力)等
- 指定対象外(一部):吹付機のエンジンタイプ、一部のアンカー削孔機、特殊用途機械等
吹付機のエンジンタイプは指定対象外なので、規制適合品でなくても使えますが、
イマドキ使わないのと、安全面や近隣環境への配慮は別途必要です。
アンカーの削孔機は機種によって対象/対象外が分かれるので、購入・使用前にメーカーに確認するのが推奨。

中古機械を買う時の注意点
中古機械を買う時に何次排か注意しないで購入すると、その後の公共工事で使えなくて困る場合があります。
第1次・第2次基準対応の中古機は、最近の現場では受け入れてもらえないケースが若干ですが増えているためです。
確認方法は、
- 機械側面の指定ステッカーを見る(一番確実)
- メーカーに型番・形式・車体番号で問い合わせ(ステッカーが剥がれていても確認可能)
- 国交省「排出ガス対策型建設機械指定状況」ページで型式を検索
排ガス基準のステッカー色
機械側面の指定ステッカーは、基準次数によって色や様式が異なることがあります(地域や指定時期で差あり)。
正確なステッカー対照表は、国土交通省「排出ガス対策型建設機械指定状況」のページで最新版を確認してください。
最新動向|第5次規制とGX建設機械認定制度(2024〜)
以前排ガスの事を書いたのは2016年時点の解説でしたが、
2026年現在の最新動向として、第5次規制の段階的導入とGX建設機械認定制度の開始という大きな2つの流れがあるんですが、
もうね、やめて欲しい・・・・
これ以上排ガス対応になると、機械が簡単には動かなくなります・・・・
第5次排出ガス規制|2024年10月〜・PN規制を追加
第5次排出ガス規制は令和6年(2024年)10月から段階的に導入されています。第4次までと大きく違うのは、
- PN規制の追加:従来のPM(粒子状物質)の質量規制に加えて、新たに PN(Particle Number=粒子数)規制が追加される
- 対象:軽油を燃料とする出力19kW以上560kW未満のディーゼルエンジン
- 本格適用:令和9年(2027年)末までに適用開始の予定
PNは、PM2.5よりさらに微細な超微粒子(ナノ粒子)を粒子数で規制する考え方。
質量だけでは捕まえられない粒子状物質の健康影響を、数で抑えにいく規制です。
| 規制 | 開始年 | 主な変化 |
|---|---|---|
| 第1次 | 2003年10月 | 規制スタート |
| 第2次 | 2006年10月 | 全項目の段階的低減 |
| 第3次 | 2011年10月 | PM 1〜2桁減(DPF前提) |
| 第4次 | 2014年10月 | NOx 90%減(尿素SCR前提) |
| 第5次 | 2024年10月〜(〜2027年末本格適用) | PNを新規追加 |
GX建設機械認定制度|2023年開始
排ガス規制とは別軸で、カーボンニュートラル対応の新しい認定制度「GX建設機械認定制度」が2023年から始まっています
(国土交通省 2023年プレスリリース「GX建設機械認定制度を開始します」)。
ポイントは次のとおり:
- 対象:当初は電動式建設機械(バッテリー式・有線式)
- 将来拡張:水素(燃料電池・水素エンジン)、バイオマス燃料も視野
- 初回申請:令和5年(2023年)10月17日〜12月12日
- 2024年度補助金:国交省関係省庁連携で、GX認定型式の購入補助金制度を創設
- 基準値:2023年時点は早期普及支援のため数値基準は設けず、将来的に電費基準値の要件化を検討
要するに、従来のディーゼル排ガス規制(第1〜5次)の延長線とは別に、電動化・脱化石燃料化のラインが国交省直轄で動き出した、
というのが2026年現在の状況の様です。。。。。。。

中古機選定(2026年時点)
最新動向を踏まえると、中古機を買う時の安全側の選び方は、
- 第3次以降を最低ラインにする(公共工事でではまず間違いは無い)
- できれば第4次(2014年〜の尿素SCR搭載世代)対応だが、個人的意見は3次排で十分w
- 新規購入なら第5次対応をメーカーは進めてくると思うが、ドンドン機械メンテナンス費が上がる!
- 第1次・第2次は公共では使いにくいが、実は非常に名機が多く個人的には好きだが、やはり3次排がオススメ。
迷ったらまず「機械側面の指定ステッカーで何次か」を確認してください。
公共工事に持ち込む機械はそのステッカーが全てです。
中古を買う時はメーカーへの型式照会、国交省の指定状況ページの照合、この2点を押さえれば外しません。
もしも、ステッカーがキタナイ場合は建機レンタル屋を通してメーカーにもらって下さい。
それではまた。
【関連記事】
【参考文献】
- 国土交通省『排出ガス対策型建設機械指定要領』(第1次〜第5次 各告示改定)
- 国土交通省『排出ガス対策型建設機械指定状況』(最新の指定機械リスト)
- 特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法、2006年施行・所管:環境省・経済産業省・国土交通省)
- 平成18年3月17日 国土交通省告示第348号「排出ガス対策型建設機械の普及促進に関する規定」
- 国土交通省 2023年プレスリリース「GX建設機械認定制度を開始します」
- 国土交通省『土木工事の脱炭素アクションプラン』(2025年4月)
- 環境省『特殊自動車の排出ガス低減対策について』参考資料
- 建設施工Vol.66 No.10(2014)「オフロード法(排出ガス規制)及び2014年改正 行政情報」
- 一般社団法人日本陸用内燃機関協会『日本の排出ガス法規制』
- 一般社団法人日本建設機械施工協会(JCMA)原動機技術委員会 各種技術資料



