下請けはなぜ簡単に切られるのか|元請も経験したエンタが語る元請・下請論

皆さんこんにちは。

エンタです。

最近は現場の段取りより、図面と請求書とにらめっこしている時間のほうが長いですw

こういう時期って、施工そのものより「お金の話」で頭を使うことが多いんですよね。

下請け構造

今回はちょっと技術の話から離れて、「元請と下請の関係」について書いてみます。

切る・切られる、そして工期が延びたときの単価……このあたりって、現場で汗をかいている人ほどモヤモヤを抱えている部分じゃないかと思うんですよ。

私は元請の側も下請の側も両方やってきたので、その両方の本音を正直に書いてみますね。

元請にも下請にも、私は両方なってきた

「元請にお金が合わないと言われて切られたこと、ありますか?」 うちはありますw

逆に、こっちから切ったこともあります。(施工が荒くて)

私は会社員時代に大手の社員として元請の立場で現場を回していましたし、今は自社で下請として現場に入ることもあります。

だから、下請として切られたこともあるし、切ったこともある。

元請として切ったこともある。

わりと珍しい立ち位置だと、自分でも思うんですよね。

で、元請だった頃に「なんであの会社を切ったんだろう?」って今になって思い返すと…… ぶっちゃけ、単に気に入らなかっただけですw

職人は好きなんですよ。

腕もいい。

感じも良い!

でも経営者側が変にお金にうるさくて(根拠がない)、そこが嫌だったんです。

ただそれだけ。 人間の感情なんて、案外そんなもんですよね。

なんかきらいwってやつですね。

逆になんか嫌いになれないもあるので厄介ですが・・・・w

小規模な建設会社の事務所。経営者の中年男性が机に向かい、資金繰り表らしき書類を前に腕を組んで考え込んでいる


元請だった頃、下請の社長と揉めた話

これはまだ私が会社員で、大手の社員として元請の立場で現場を回していた頃の話です。

当時の私は、正直「自分の現場の予算さえ守れればOK」という感覚でした。

というのも、予算は多少ふかしてあった(=余裕を持たせてあった)ので、その余裕の範囲なら下請に出してもこっちは個人的には痛くない。

だから「まぁこのへんは出してやってもいいか」くらいの、わりとエラそうな感覚で見ていたんですよw

今思うと、その時点でちょっとズレてるんですけどねw(若気の至りでは有ると思います)

ところが、下請の経営者からすれば話は別です。

向こうは向こうで、自社の利益を1円でも多く残したい。

だから「あーでもない、こーでもない」と、こっちが出した条件にいちいち食い下がってくるわけですよ。

当時の私は、これを内心「面倒な社長だなぁ」と思っていましたw

でも今思えば、これってごく真っ当な話なんですよね。

お互いに守るべき正義(=利益)がある。

向こうが交渉してくるのは、経営者としてむしろ真っ当な行動なんですよ。

ただ、何せ当時の私は若造ですw

相手の社長はこの業界の下請の重鎮で、業界歴は私よりずっと長い。

現場での貫禄も、人脈も、場数も、何もかも向こうが上。

そういう相手から、思いっきり上から「あーしろ、こーしろ」と言われるわけです。

で、若い私は若い私で、「いやそれ、根拠を出してくださいよ」と食い下がる。

数量はこうだ、歩掛はこうだ、図面ではこうなっている!と理屈で押し返そうとするんですけど、相手はそんな理屈の土俵に乗ってこないw

経験と立場でグイグイ押してくる。

で、毎度毎度、現場事務所でバチバチやってたわけですw(マジで面倒くさいって思ってました)

で、こういう時にどうなるかというと。。。。

最終的には上司が間に入ってくるんですよ。

そして「まぁまぁ」と、うまく丸く収める……というより、ほぼ向こうの言いなりに転がされて終わりですw

私はその社長のことがすっかり嫌いになって、ムスッとして終わる。

ところが上司はというと、その社長と飲みに行って、何事もなかったかのように手打ちしてるんですよwww

「いやいや、さっきまでの俺の立場どこいったん?」って話ですよね。

しかも腹が立つのが、その揉めごとの後、私の持ち場の予算は数%下がるわけですw

こっちが押し返してた分が、結局向こうに持っていかれる。

おまけに上から「予算が落ちた理由書を書いておけ」と言われる始末。

内心では「それ、あんた(と社長)が決めたことやろがいw なんで俺が書くねん!」

と思いながら、現場条件の変更だとか、役所の都合だとか、それらしい理由を並べて書面を仕立てるわけです。

でも本当は役所の変更でもなんでもないw ただの力関係の結果ですからねw 「はぁ?」って感じですよwww

もう30年近く前の話ですw

……その会社のこと(社長の顔)は今でも忘れませんw

それくらい嫌な思いをしたのでw やられたことは絶対に忘れない、それって誰しも同じですよね?ww

ただね、これは今だからこそ言えるんですけど、あの揉めごとは、こっちの段取りが悪かった部分もかなりあるお思うんです。

変更が出そうなら、その前に下請の社長と口頭でも、書面ででも打ち合わせておけばよかった。

「この条件が変わったら単価はこうします」「数量が動いたらこう精算します」というのを、揉める前に紙にしておけば、あんなバチバチにはならなかった。

こちら側の都合で「まぁ大丈夫やろ」で進めるから、いざ変更が出たときに、立場の強い方が押し切る展開になるんですよね。

それに気づいてからは、私は下請に対して、津諸契約に無い変更があるたびに必ず打ち合わせをして、出来る限り書面で残すようにしました。

そうしたら、トラブルがグッと減りましたねー。

下請から上から言われることもなくなったし、なんならちょっと仲良くなったりw

まぁ、最初に嫌な思いをさせてきたあの社長のことは、今でも忘れませんけどねwww

この一件で学んだのは、結局「先に書面に残す」というだけの、すごく地味で当たり前の話です。

でもこの地味な一手を打てるかどうかで、元請と下請の関係って、揉める現場にも、回る現場にもなるんですよね。

今であれば、ボイスレコーダーに残すとかですねー

ボイレコに残して文字おこしして先方にメールでもアリですよね。

現場事務所の打ち合わせテーブルを挟んで、若い現場監督と年配の下請会社社長が向かい合って打ち合わせをしている

工期が3倍に延びたら、単価が合わなくなるのは道理

下請になった今、元請に切られるパターンって、だいたい「工期が延びたときの補填」でモメるケースです。

イマドキ、他作業の追加とか常用でお金がもらえない、なんてことはあまりないですよね。

そこがしっかりしていない元請は、正直もうヤバいと思っていますw

で、工期延長と単価の話。

ここは数字で書いたほうがわかりやすいので、簡単な例でいきます。

たとえば「1ヶ月で1,000万円の工事」として見積もりを出すとします。

これはお互いの確認のうえ、「1ヶ月でやる」という指示の前提で組んだ単価です。

ところが、これが3ヶ月に延びたとします。

当初の粗利が20%だったとして、3ヶ月に延びたら、最低でも2,400万、できれば3,000万は欲しいわけですよ。

当初の利益率をそのまま確保しようとするなら、の話ですけどね。

それはなぜか?

短期で一気に施工量をこなすからこそ単価を抑えられるのに、1回あたりの施工量が減れば、1単位あたりのコストは上がりますよね。

さらに、その延びた期間に取れたかもしれない別の仕事を失う「機会損失」もある。

その現場のために班(人と機械)を確保し続けるわけですから。

ところが元請は、私にこう言うわけですw 「もう(予算を)締めちゃったから、出せるお金がない」と。 ……いやそれ、御社の都合ですよねw

下請は完全に蚊帳の外で、思わず笑っちゃいましたw

まぁ言ってもしょうがないので、「それはちょっとあかんですよねー」と話し合いに入るわけです。

工期延長と単価のせめぎ合い
ちなみにこの現場、保留金も10%ずっと引かれたままだったんですよ。3年間もwww

これは正直目を疑いましたが、まぁそこは脇に置いておきます
(建設業法だと特定建設業者は引渡し申出から50日以内に支払う、というルールがあるらしいですけどね。建設業法違反の会社か?)

で、結局その現場を最後に風の噂で(弊社を)使わないという話だったので、こっちとしては「切られた」という認識です。

私は「お互い様」のつもりでいたんですけど、相手はそうじゃなかったんでしょう。

設計も施工方法、施工管理、イロイロ提供したり他の現場の情報などでも相談乗ったりしてお互い様だと思って下りましたが

向こうからすれば、こっちはただの下請ですw

所詮下請はそんなもんで、自然の摂理ってやつですね。

まぁそこは相手がいるの事なのでとやかく言うつもりは有りません。

 

ここで言いたいのは保留金うんぬんより、「最初に組んだ単価の前提が崩れたら、ちゃんと向き合って話し直さないといけない」という事です。

それをやらずに「もう締めたから無理」で押し切られると、下請はただただ削られて終わる。

それではあまりにも酷いですからね。


下請は簡単に切られる。でも今は「選ばれる」時代でもある。

正直、下請なんて簡単に切られます。

それでもいいとは思っているんですよ。

どうしてもこっちは不利な立場ですから。

施工業者の選択権って、ある程度の規模の会社になると現場監督が持っていますが、それより下の規模だと工事長クラスが決めることが多いですね。

だからその人に営業して仕事を回してもらう、というのはこの業界ではよくある話です。

逆に、その人に嫌われたら仕事が回ってこなくなる可能性もある。

ただ、いわゆるブルーカラーと言われるこの時代。

人手が足りない中で、元請も「選ばれる」時代になってきました。

だったら、下請だって選ばれないと仕事にならないわけですよ。

切られる側だからこそ、技術でも段取りでも「高くてもこの会社に頼みたい」と思わせられるかどうか、なんじゃないかと思います。

そして、今後特に支払の悪い元請は当然淘汰されるという事になるのは必至ということになります。

法面屋の成長

だったら、下請が確実に儲かる仕組みを自分たちで作りたい

ここまで切った張ったの話を書いてきましたけど、結局のところ、今の建設業って元請だけが大きく儲かる仕組みになっています。

そして、それで良いんです!

なぜなら、元請側が背負っているリスクって、下請に比べるとトンデモナイレベルです!

発注者との契約、工期、品質、安全管理、近隣対応、そして事故が起きたときの責任……最終的に全部かぶるのは元請です。

支払リスクも当然あります。

下請けには出来高で、元請は工事前払い金40%、竣工後60%とかの現金が先にドンドン出ていくリスクは恐怖です!

そのリスクの果てにある大きな利益なので、元請がガッツリ儲かること自体は、私は理にかなっていると思っています。

ここは下請の立場でも、そう思うんですよ。(元請だったので特によく分かります)

 

で、ここからが本題なんですけど、私が引っかかっているのは、元請が儲かることじゃないんです。

元請がリスクを取って儲ける。

これはいい。

問題はそこじゃない。

引っかかるのは、その利益が末端まで下りてくる「途中」なんですよ。

末端の下請にお金が届くまでには、ずいぶん時間もかかるし、3次、4次下請と通っていくうちに、どんどん目減りもしていく。

リスクを取った元請が儲かるのは筋が通っているのに、リスクを取って現場で汗をかいている末端には、薄まったお金しか届かない。

ここがどうにもモヤモヤするんですよね。

今までの日本の情勢ならまだしも、今の世界情勢や日本の状態だととてもヤバイですよねー。

国交省は「労務費単価がそのまま労働者に届くようにしたい」と言っていますが、私的には正直、そう簡単にはいかないんじゃないかと思っていますw

だったらどうしよう!???って考えて簡単な発想で、ここからは半分は私の妄想みたいな構想なんですけど、ちょっとタワゴトを聞いて下さいw

たとえば、下請専門の会社だけが登録できて、その工種の「施工権」を持てるような仕組み。

元請だろうが大手だろうが、そこの工種だけは必ず工事費を直工費で末端の下請に出してもらう。

そして、そこだけは下請が確実に利益を出せるようにする。

そんな形が作れたらいいな、と思うんですよ。

管理は元請ですよ?w(都合の良いこと書いていますがタワゴトなのでw)

お金のシステム化

ただ、こういう仕組みを考えると、すぐ壁にぶつかるんです。

「直工費で出してもらう」と言っても、その直工費がいくらなのか、下請側が根拠を持って出せなきゃ、結局また元請の言い値に戻っちゃうw

だから、この仕組みのカギになるのは、たぶん「お金の計算」なんです。

Webで誰でも積算・見積の計算ができる仕組みがあれば、極端な話、どこの県だろうが関係ないですよね。

現場条件を指定し入力したら、設計価格が一発でパッと出る。

今まで「見積や施工金額なんて元請任せ」だった下請が、自分の手でしっかり見積を出せるようになる。

これってけっこう大きい変化だと思うんです。

自分の仕事の値段を、自分で根拠を持って言えるようになるわけですから。

「そんな上手いこと出来るんかw」って思われるかもしれません。

私もそう思いますw

でもそこは、やってみてから考えますwww ……というか、その前にまず「売れる工法」を考えるのが先なんですけどねーw

順番がおかしいw

 

どちらにせよ、こういう仕組みって、作ったとしても普及するまでに5年くらいはかかると思っています。

ということは、これはこの先10年くらいかけてやる話なんだろうなー、と。

気の長い話ですけど、誰かがやらないと、下請がしっかり儲かる流れは結局できないままですからね。

この先もずーーーーと私が法面始めた30年前と同じ事するの?って感じです。

せっかくこの時代に生まれて、この業界にいるんだから、私が成せることはやっていきたい。

派手な話でもないし、10年がかりの気の長い話ですけど、法面業界のために少しでもなれば、と本気で思ってます。

もっと我々の様な末端法面屋が輝けるような時代にして行きたいですね!!

元請だけ、大手だけではダメな時代ですから。

ちょっと今回は長すぎて終盤がグダグダですが、今後ともよろしくお願いいたしますwww

 

それではまた。

下請の確保は口約束ではダメ|契約の重要性

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