皆さんこんにちは。
エンタです。
ロックボルトやグラウンドアンカー工で使うセメントミルクの圧縮強度試験、「午前3本・午後3本」っていう本数の根拠を聞かれることが結構あります。
若手監督さんから「1日12本取った方が安全じゃないですか?」って真顔で言われたこともありますw

今回は、セメントミルク圧縮強度試験の本数の基準(午前3本/午後3本=1日6本)の根拠と、JIS A 1108:2018で規定される供試体の平面度について、
書いてみます。
と言ってもこの事今まで何かも書いているんですwww
じゃぁなんで書くのか?って
それは、時代と共に考え方や基準が変わるから記事もアップデートというわけですが、実際の基準は何一つ変わっていませんw
知っている人は再認識で、知らない人は勉強がてらと言う事でw
原則は「2回/日・1回3本」
ロックボルト工・グラウンドアンカー工の品質管理基準では、1日2回(午前・午後)の試験が原則です。
普通セメントの場合は、午前3本・午後3本の合計6本/日を採取するのが標準。
ここで「念のため」と言って1回6本・1日12本取る方がたまにいらっしゃるんですが、これは基本的に不要です。
理由は、
- **JIS A 1108:2018「コンクリートの圧縮強度試験方法」**で、1回の試験結果は3個の供試体の平均値と規定されている
- 強度バラツキ対策の予備が欲しい時は追加採取自体は問題ないが、平均値を出す本数としては3本で十分
- ゴミが増えるだけで処分費用だけ嵩むw
結論だけを言うと、「1回3本×2回/日=6本/日」がJIS規格の趣旨に沿った標準、というのが基本です。
どうしても心配だからという理由で別に3本取るのであれば、同じバッチから取らず、必ず別のバッチから取って下さい。
同じバッチから取っても同じ強度になるだけなので意味がないです。

なぜ午前と午後に分けるのか
セメントミルクは特に練り混ぜ時の水温・気温・配合のバッチで強度がブレやすい材料です。
強強度であるが為で、バラツキがかなり有るという事です。
午前打設と午後打設で品質が変わる可能性があるので、別々に試験を取って各時間帯の品質を独立に管理する、というのが午前・午後で分ける理由。
特に冬期施工や夏期施工では、朝のセメントミルクと昼過ぎのセメントミルクで練り上がり温度が10度近く違うことも結構有ります。
これを1回の試験で平均化してしまうと、悪い方のバッチの問題が見えにくくなります。
まぁ午後しか打設しないとかもあるので、ケースバイケースの部分も有りますけどね~w
普通セメントと早強セメントで基準が変わる
セメントの種類によって、何日強度を試験するかが変わります。
普通ポルトランドセメントの場合は、4週(28日)強度を基本とします。
コンクリート標準示方書でも、設計基準強度は28日材齢で評価するのが原則。1週強度は必要ありません。
一方、早強ポルトランドセメントを使う場合は、1週(7日)強度を基準とします。
ここで根拠としてJIS R 5210「ポルトランドセメント」の圧縮強さの規格値を見てみると、
| セメント種類 | 3日 | 7日 | 28日 |
|---|---|---|---|
| 普通ポルトランド | — | 17.5以上 | 42.5以上 |
| 早強ポルトランド | 20.0以上 | 32.5以上 | 47.5以上 |
単位:N/mm²(JIS R 5210:2019)

この規格値の関係性から、早強の3日強度(20.0以上)が普通の7日強度(17.5以上)に近い水準にあり、
早強の7日強度(32.5以上)は普通の28日強度(42.5以上)にはやや届かないものの近い雰囲気になっていることが分かります。
そのため法面工事の現場では、「早強1週で普通4週相当の強度が出る目安」「早強3日で普通1週相当の目安」として運用されることが多いです。
ただし等価関係そのものはコンクリート標準示方書には明記されていない実測値なので、
設計で根拠を求められた時はJIS R 5210の規格値をそのまま提示する方が安全です。
早期緊張する場合の流れ
工期短縮のためグラウンドアンカー工で早期緊張を行う現場では、3日強度の確認が必要になります。
流れとしては、
- 3日強度を確認して設計基準強度を満たすことを確認
- 緊張作業を実施
- 1週強度も確認して最終的な品質を担保
ここで誤解されがちなのが「3日で基準強度を満たしたから1週試験は省略していい」という話。
これはNG!
設計基準強度は1週または4週材齢で評価するのが基準なので、3日強度はあくまで緊張可否の判断材料であって、
品質管理上の本試験は別途必要です。
基準を統一する意味でも、1週試験は省略できません。
3日は無くてOKですが、1週は絶対!

平面度が悪いとなぜ強度が下がる!
圧縮試験機の加圧板と供試体の端面がぴったり接触していないと、ごく狭い接触面に応力が集中(偏荷重)します。
その結果、
- 局部的に許容応力を超えて早期にクラックが入る
- 本来の強度よりも低い値で破壊する
- 試験結果がばらつきやすくなる
要するに、平面度が悪い供試体で試験すると、作ったセメントミルクの実際の品質より低い数値が出るので、
安全側にブレるとはいえ、不合格判定が連発する原因にもなります。
「強度が出ない」と思って配合を見直す前に、まず供試体の端面状態を疑うのが定石です。
試験コストの目安と本数を増やさない
最近の試験機の精度は上がっていて、よっぽどのことが無いと強度が想定外に出ないってことはありません。
追加で本数を増やしてもコストが上がるだけで、品質保証の精度向上にはあまり寄与しません。
ぶっちゃけ、うちもよく失敗しますからねw。(いにしえの予備w)
試験本数を増やすより、供試体の作り方(エア抜き・養生温度)と試験機セット時の平面度に手間とお金をかけた方が、
結果のばらつきが減って結果的にコストダウンになります。
まず「1回3本×午前・午後=1日6本」で標準的に採取して、早強セメントを使う現場では1週強度を、早期緊張する場合は3日強度を追加で取る。
これで法面工事のセメントミルクの品質管理は外しません。
試験前には供試体の端面研磨加工で平面度を上げる。
それでも心配なら違うバッチで予備を取る。
それではまた。
【関連記事】
【参考文献・出典】
- JIS A 1108:2018「コンクリートの圧縮強度試験方法」(端面平面度・直角度・寸法公差の規定)
- JIS A 1132:2020「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」(供試体作製・養生の規定)
- JIS R 5210「ポルトランドセメント」(普通・早強等のセメント種別と強度発現特性)
- 土木学会『コンクリート標準示方書』設計編・施工編
- 北海道開発局『品質管理基準及び規格値』




4週強度ってのを無くして欲しいよね〜
管理の為の管理って感じがして、意味ないです。
簡素化しても良いとはおもいますよねー