皆さんこんにちは。
エンタです。
たまぁーーーーーーーーーに!
質問で「モルタル吹付の配合表に書いてある“砂1.24m³”って何ですか?」って聞かれることがあります。
最近は仕様書に「吹付モルタル1:4」とだけ書いてあって、1.24m³の数字が省略されているのも理由ですw

今回は、モルタル吹付の配合計算に出てくる「砂1.24m³」の意味を、
ばら容積(見かけ容積)と絶対容積(粒だけの体積)の関係から書いて行きます。
JIS A 1104・JIS A 1109の試験方法をベースに、説明する時のテンプレとして使えるようにします。
と言ってもこの事は考え方は時代の産物になっている様にも思うので、もしもこの事が出てきたら思いだして下さい。
砂1.24m³の意味|ばらの体積で書かれている
結論だけを言うと、配合表の「砂1.24m³」は、ペーローダー(タイヤショベル)でダンプに乗せた時の“ばら状態の体積”を表しています。
砂の粒だけが密に詰まった「絶対容積」ではなく、粒と粒の間の空気の隙間も含めた見かけの体積です。
旧来の標準仕様書では、モルタル吹付(容積比1:4)の配合として次のように書かれていました:
| 配合項目 | 質量 | 体積(ばら容積) |
|---|---|---|
| セメント | 420kg | — |
| 砂 | 1,680kg | 1.24m³ |
※モルタル1m³あたり、現場吹付法枠工・モルタル吹付工の配合例。
旧来の積算基準・各機関の標準仕様書類
1.24m³と1,680kgの関係
ここの数字は単純な比例計算で出てきます。一般的な細骨材(砂)のばら状態(締固めなし)の単位容積質量は約1.35t/m³(JIS A 1104「骨材の単位容積質量及び実積率試験方法」で測定)。
1.24m³ × 1.35t/m³ ≒ 1.67t(= 1,670kg)≒ 1,680kg
つまり「ばら砂1.24m³ぶんの体積に、約1,680kgの砂が含まれる」という単純な体積×単位質量の関係。
砂の比重・産地・含水状態で微妙に変わるので、正確な配合計算では現場の砂で単位容積質量を実測するのが基本です。

ばら容積と絶対容積を区別する理由
配合計算の世界では、「ばら容積」と「絶対容積」を区別することがとても重要です。
- ばら容積(見かけ容積):空気(空隙)を含めた、現場で測れる体積。ペーローダーでダンプに乗せた状態。
- 絶対容積:砂粒だけの体積(空隙を除く)。配合設計の理論計算ではこちらを使う。
ぶっちゃけ、配合計算で混乱する一番の原因はこの2つを混同することですね。「1m³のモルタルに砂を1m³入れた」と言っても、ばら砂1m³ぶんの粒の体積は約0.5〜0.6m³しかないので、計算上のセメント+砂+水の合計が合わなくなります。

砂の絶対容積を求める計算
砂の表乾密度(JIS A 1109「細骨材の密度及び吸水率試験方法」で測定)は一般的に 2.5〜2.7g/cm³。砂1,680kgの絶対容積は、
1,680kg ÷ 2.65g/cm³ ≒ 634L ≒ 0.63m³
つまりばら砂1.24m³の中に、砂粒の実体(絶対容積)が約0.63m³含まれている、ということ。残り0.61m³は空気(粒と粒の隙間)です。
この「ばら容積に対する絶対容積の割合」を 実積率といって、JIS A 1104で測定すると砂で概ね50〜60%になります。(試験には出ませんw)
1.24m³とロス率と設計数量
旧来の積算では、この1.24m³に現場のロス率を掛けた数字を設計数量として計上していました。例えばロス率を10%とすると、
設計数量 = 1.24m³ × 1.10 ≒ 1.36m³/モルタル1m³あたり
これがダンプ運搬・受払簿管理での「発注すべき砂の総量」になります。

市場単価方式への移行で減った管理
最近は市場単価方式が主流になって、こうした受払簿(材料の入荷量と実施量の差を毎日記録する帳票)の管理項目はほぼ絶滅しました。
昔は検査官が「受払簿の入荷量と実施量の差が大きい=ロスが多すぎる」みたいに重箱の隅をつついてきて、
現場監督が頭を抱えたものですw。
最近は狭小地での生コンでのモルタル吹付も増えているので、ぶっちゃけ言ってどうでも良くなっていることも事実ですが、
過去にこの様な基礎的な事も有ったことを知っておくとイイと思いますw
W/C比(水セメント比)の標準
W/C比(水セメント比)の標準値。
吹付モルタルでは一般に 45〜55% が標準とされており、現場での使い分けは次のようになります。
| 季節・条件 | W/C比の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 夏場 | 55% | 乾燥と熱が激しい、ワーカビリティ向上 |
| 冬場 | 49% 程度 | 凍結防止、ブリーディング抑制 |
| 標準 | 50% | 通年標準値 |
※あくまで業界の一般的目安として、現場では特記仕様書と発注機関の指示を必ず確認してください。
凍結防止剤の話
冬期施工で「凍結防止剤」を使うかどうか聞かれることもありますが、私の現場経験では 基本的には使わない方が良い という結論。
実際に公的試験場での実験結果でも効果が限定的、というデータがあると言われています。
凍結防止より、練り混ぜ水のお湯割り(温水使用)や、養生時の練炭養生で気温を保つ方が確実に効きます
(詳しくは別記事の冬期施工対策を参照)。

現場で説明する時のコツ
最後に、「1.24m³って何?」と聞かれた時の、説明テンプレですw
- 「ばらの体積(見かけ)です」 — ペーローダーで掬った時の数字
- 「ぎゅっと押し詰めた砂粒だけの体積は約0.63m³」 — JIS A 1109の表乾密度から計算
- 「1m³モルタルにこのばら砂1.24m³を使うのが旧仕様の基準」
- 「ロス率を掛けて発注数量を出すのが昔の積算手法」
- 「市場単価になった今は、設計図面の数量をそのまま発注すればOK」
知らないよりは技術者として知っておいても良いですよね。
それではまた。
【関連記事】
【参考文献・出典】
- JIS A 1104「骨材の単位容積質量及び実積率試験方法」
- JIS A 1109「細骨材の密度及び吸水率試験方法」
- 土木学会『コンクリート標準示方書』施工編(配合設計の章)
- 旧版 公共工事標準仕様書 モルタル吹付工の項
- 国土交通省『土木工事積算基準』・各地方整備局 土木設計要領



