表面水率の基礎知識|骨材の含水4状態と現場配合補正を解説

皆さんこんにちは。

エンタです。

法面の現場で「今日のモルタルやけにシャバいな」と感じた時、配合を疑うより先に砂の表面水率を疑うのが定石です。(職人の水加減も疑うw)

基本的には配合表に書いてある「W/C=50%」を守ったつもりでも、砂に含まれる水分が想定より多ければ、

実際のW/C比はもっと高くなっているので、ジャブジャブのモルタルが出来上がる訳ですw

洗い砂 プラント

今回は、細骨材の表面水率の基礎知識を、骨材の含水4状態・JIS規格による測定方法・現場配合補正の計算まで、実現場目線で書きます。

同じ「砂シリーズ」のチャップマンフラスコとはモルタル吹付の砂1.24m³の意味と併せて読むと、配合管理の全体像が掴めます。

骨材の含水状態は4段階で考える

土木の配合計算では、骨材(特に砂)の含水状態を4段階に分けて考えるのが基本です。

状態 名称 説明
絶対乾燥(絶乾) 105℃で乾燥させて水分ゼロにした状態。試験用
気乾 室温・室内に放置して空気と平衡になった状態
表面乾燥飽水(表乾) 粒の内部は水で満たされ、表面だけ乾いた状態。配合計算の基準
湿潤 表面にも水が付いている状態。現場の砂はだいたいこれ

配合計算の世界では、③の表乾状態を「基準」として扱います。

砂の絶対容積を求める時に使う「表乾密度」も、表乾状態の質量を表乾体積で割った値。

これがJIS A 1109「細骨材の密度及び吸水率試験方法」で規定されています。

砂粒1個の表面水と内部吸水のイメージ

表面水率とは何か

表面水率」は、表乾状態を基準として、現場の砂(湿潤状態)が表乾より余分に持っている水分の割合のこと。

式で書くと、

表面水率(%)= (湿潤質量 – 表乾質量)/ 表乾質量 × 100

例えば現場の砂100gをチャップマンフラスコで測って表面水率が5%だったら、その100gの中に約4.8gの表面水が付着している
(厳密には湿潤100g中の表乾質量が約95.2g、表面水が約4.8g)、というイメージです。

一般的な現場の砂はどのくらいか

法面工事の現場の砂は、砂屋の砂プラントから運ばれた直後で概ね表面水率3〜8%の範囲。雨後の朝イチや屋根なしストックヤードでは10%超になることもあります。

逆に真夏の午後で乾いてくると1〜3%程度まで落ちる、というのが現場の体感値です。

季節と天候で1日の中でも変動するので、朝・昼の2回測定が品質管理の標準運用になっています。

基本的に常にブルーシートで養生する方が印象(検査官)は良いです。

毎日測って、経験してくると分かりますが、まぁこんなもんだなって感じがわかる様になりますw

JIS規格の2つの試験方法

砂の表面水率を測る方法は、JIS規格で2方式が並列規定されています。

規格 試験方法 器具 特徴
JIS A 1111:2015 容積法/質量法 チャップマンフラスコ等 現場で5分程度、即測れる
JIS A 1125:2015 乾燥減量法 電子天秤+乾燥炉 試験室向け・高精度・時間要

チャップマンフラスコと乾燥炉

現場ではJIS A 1111のチャップマン法が主流

法面現場ではすぐに結果が欲しいので、JIS A 1111のチャップマンフラスコによる容積法が使われます。

試験手順は

  • 500mLチャップマンフラスコに200mL目盛まで蒸留水
  • 砂を500g投入、気泡を抜く
  • フラスコの読み値(V₂)と砂質量から表面水率を算出

詳しい手順はチャップマンフラスコとは|細骨材の表面水率試験に書いていますので、ご参照ください。

試験室向けの精密測定はJIS A 1125

精度を優先する場合は、JIS A 1125「骨材の含水率試験方法及び含水率に基づく表面水率の試験方法」の乾燥減量法を使います。

湿潤試料を炉乾燥(105℃前後)して含水率を出し、別途求めた吸水率を引いて表面水率を求めるやり方。

配合補正の具体例

表面水率を測って何をするか現場修正配合の話です。

示方配合の例

旧来の標準仕様で書かれた示方配合の例:

配合:C:S=1:4、W/C=55%(モルタル1m³あたり)

材料 質量 体積関係
セメント(C) 420kg
砂(S) 1,640kg ばら容積 約1.24m³
水(W) 231kg(W/C=55%)

表面水率5%だった場合の補正計算

示方配合→現場修正配合への補正フロー

現場の砂で表面水率が5%だった場合の修正配合:

  • 砂の総質量 = 1,640kg(このうち表乾相当 + 表面水)
  • 表面水の量 = 1,640 × 5% = 82kg
  • 練り混ぜ水の補正 = 231kg – 82kg = 149kg

つまり配合表通りに1,640kgの砂を投入する場合、練り混ぜ水を231kgではなく149kgに減らすことで、本来の W/C=55% を守れる、という話。

逆に、補正せずに231kgの水を入れてしまうと、

  • 実際のW = 231 + 82 = 313kg
  • 実際の W/C = 313 / 420 = 約74%

という具合に、想定より約20%も水が多いモルタルが出来上がります。

設計の示方配合から外れるのでマズイです

W/C比と圧縮強度の関係

これは土木の基本中の基本ですが、W/C比を下げれば圧縮強度は上がる(セメント水比則/Abrams の式)。

逆に W/C比が上がれば強度は下がる

W/C比 強度傾向
40% 高強度(流動性は要調整)
50% バランス標準
55% やや低めだが施工性は良い
65%以上 強度低下リスク大

表面水率の設定では現場的にW/C=50%程度にしておきます。

この理由が仮に超晴れてて多少加水しても良い位にしておく方が管理が楽です。

表面水率の管理=最終的な強度の管理につながるので少しは気にして下さいw

現場で表面水率を「不安なく」管理するコツ

現場ででの3つのコツ。

  • 朝・昼2回測定を毎日同じ時間にルーチン化する(朝一・昼一)
  • 試験道具(チャップマンフラスコ・電子天秤・蒸留水)を砂山の近くに常備するしっかりケースに入れて保管(段取りの面倒くささが少し減るw)
  • チャップマンが絶対に倒れないようにする!👇👇👇👇オススメ!

これだけで、配合管理の手間とストレスが、少し下がります。

実際の話、配合比がそれ程変わらなければ強度は心配なのですが、たまに強度の出にくい細骨材が存在します。

その辺は気をつけて下さい。

 

それではまた。

【関連記事】

【参考文献・出典】

  • JIS A 1109「細骨材の密度及び吸水率試験方法」(表乾密度・吸水率の規定)
  • JIS A 1111:2015「細骨材の表面水率試験方法」(容積法・質量法)
  • JIS A 1125:2015「骨材の含水率試験方法及び含水率に基づく表面水率の試験方法」(乾燥減量法)
  • 土木学会『コンクリート標準示方書』施工編(配合設計の章)
  • JSCE.jp for Engineers「細骨材の表面水率試験の計算式について」

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