モルタルにクラックはなぜ入る?|法枠・吹付モルタルのひび割れ原因を配合と養生から見ていく

皆さんこんにちは。 エンタです。

法枠の目地部分に細いクラックが入っている現場を見ました。

「これ大丈夫ですか?」と一緒にいた一般の方(法面屋じゃない)に聞かれました。

その場で理由を一通り説明したんですが、後で「これブログにまとめたら分かりやすいのでは」と思いましたw

閑話休題。

今回は「モルタルにクラックはなぜ入るのか」の話です。

法枠工や吹付モルタルで、施工後しばらくすると細いひび割れが入っている。あれ、原因は一つじゃないんです。

モルタル吹付工のクラック

原因①|水セメント比が高すぎる

結論だけを言うと、水が多すぎるモルタルは縮みやすいです。

道路土工の切土工・斜面安定工指針では、吹付モルタルの配合について、セメント使用量は360〜420kg/m3の範囲、水セメント比は45〜60%の範囲が多いと書いてあります。

法枠工のモルタルについても、吹付けコンクリート指針(案)【のり面編】に基づく配合条件として、

水セメント比60%以下、単位セメント量400kg/m3以上、空気量4%程度、というのが地山補強土のマニュアルに載っています。

なぜ水セメント比が問題になるかというと、余分な水はモルタルが固まる過程で外に抜けていくからです。

水が抜けた分だけモルタル全体が縮む。

この縮み(乾燥収縮)が構造物の拘束と釣り合わなくなった時に、ひび割れとして表面に出るという事ですね。

現場で「今日は生コン屋にちょっと柔らかめで頼んどいて」とか気軽に言いたくなる時もありますが、水を足しすぎると後々のクラックにつながるので、規定の配合はなるべく守りたいところです。

水セメント比とモルタルの収縮

原因②|ブリーディングと養生不足

もう一つの犯人が、養生不足です。

道路土工指針には、モルタルやコンクリートは急激な乾燥や凍結に対して非常に弱く、養生が不十分だと吹付け面に亀裂やはく離を生じる、とはっきり書いてあります。

表面だけ先に乾いて、内部はまだ固まりきっていない。

この乾燥速度の差がひび割れを生むって事ですね。

指針では、施工そのものを制限する条件も挙げられています。

強風で正常な吹付作業を著しく妨げる場合、気温が氷点に近く適切な養生ができない場合、雨が激しく吹付け面からセメントが洗い流されるような場合、晴天で風が強く乾燥が著しい場合。

これらの時は原則として吹付け作業を行わない、とされています。

真夏の炎天下、風が強い日に無理して吹き付けると、表面がガビガビに乾いてクラックが入りやすくなる。

逆に、真冬の凍える朝に養生シートなしで放置しても同じです。

と言っても、法面の場合晴れてりゃ吹くし、ちょっと雨が上がったら吹いたります。

なかなか思ったようには行かないのが土木ですよねw

また、地山補強土マニュアルによれば、鉄筋挿入工の定着材(モルタル系)の日常管理でもブリーディング率3%以下という基準が使われています。

ブリーディングとは、練り混ぜた水が分離して表面に浮き上がってくる現象で、これが多いと硬化後の表面付近が弱くなり、ひび割れの起点になりやすいと言われています。

養生不足によるひび割れの発生イメージ

原因③|打継ぎ・継手処理

法枠や吹付モルタルは、一発で全部を仕上げられる訳ではありません。どうしても打継ぎ・継手が発生します。

道路土工指針では、吹付継手箇所は横梁の中央部で行うよう心掛け、極端に品質が低下しないように継手処理を行う必要がある、と書いてあります。

コンクリート張工の打継ぎについても、施工前ののり面処理が不完全だとコンクリートと地山の間に空洞が生じやすく、

打継ぎ目等から草木が発芽して雨水の浸入を助長する、と注意されています。

継手部には施工継手を垂直あるいはかぎ形にする事、用心鉄筋を配置する事も勧められています。(吹付断面や、コンクリートと吹付の境目)

継手部は、新しいモルタルと既に固まったモルタルの境目です。

清掃が甘いまま重ねると、そこが構造的に弱い面になって、あとからクラックとして顔を出しやすい。

どこの現場でも同じなんですが、打継目はクラック入りやすいですよね。

どれだけ丁寧にエアー清掃してもプライマーとか塗っても大体クラック入ります!

吹付においては、断面自体も薄いので特にクラックは入りやすい傾向になります。

法枠吹付工

原因④|応力集中(鉄筋挿入工・アンカーまわり)

最後は、力が集中する場所のクラックです。

グラウンドアンカーの設計・施工基準では、引張り部とアンカー体との境界部は応力の集中によってグラウトのひび割れや防食用材料の破損等が発生する可能性がある、とされています。

頭部と定着体の境目のような「力が一点に集まる場所」は、モルタルやグラウトの種類を問わずクラックが出やすいという事です。

アンカーの維持管理点検でも、頭部コンクリートのクラック、受圧板・構造物の亀裂・クラックは点検項目として明確に位置付けられていて、

1mm幅を超えるクラックはランクII(健全性に問題がある可能性が大きい)の判定基準になっています。

つまり、クラックが入る事自体はある程度織り込み済みで、大事なのは「幅」と「進行するかどうか」を継続して見ていく事が重要。

配合を守って、気象条件を守って、継手をほどほどに丁寧にやる。

それでも力が集中する場所には、どうしてもクラックが入ります。

クラックは何をどれだけ上手くやっても、材料の問題や、気象条件なども加味してくるとクラックは絶対100%入るので私的には諦めましょう!

が一番ですw

それを上手く役所に説明するのも監督の仕事なのですが、難しいですよねー

配合OK 施工OK 気象条件OK となった時でも理由を言う必要が有るので・・・

 

それではまた。

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