モルダム工法とは?石積みを“中から”補強する石積接着補強工法を現場の視点で一般向けの解説

皆さんこんにちは。

エンタです。

田舎道を走っていると、古い玉石積みの擁壁ってよく見かけますよね。中には弓なりにはらんでいるヤツもあって、コレ大丈夫か?って毎回見入ってしまいますw

先人が一個ずつ積み上げた石積みって、景観としてはイイんですが、老朽化すると突然一気に吹っ飛びます。

丸石積

そんな石積みを、壊さず・景観を保ったまま補強できるのが「モルダム工法」です。うちでもガンガン施工している工法でして、問い合わせもかなり多くなってきています。

今回は、実際に施工してる立場からかみ砕いて解説していきます。

モルダム工法とは?石積みを「中から」接着補強する工法です

モルダム工法とは、ひとことで言うと「石積接着補強工法」です。

既設の石積み(石垣・玉石積み・石積み擁壁など)の内部に、接着性の高い石積み専用の充填剤を注入して、石どうしを一体化させて補強する工法。

開発したのは九州防災メンテナンス株式会社で、特許工法(特許第5686466号)です。

さらに、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録されており、JRの線路横の石積補強など、公共工事でもかなりの実績が弊社でもあります。

石積みの補強というと「表にコンクリートを吹き付ける」「前面に新しい擁壁を作る」みたいな、表側を覆ってしまうイメージが強いですよね。

モルダム工法はそれと違って、石積みの“中から”石積を全て接着して固める、という発想なので大規模な工事は必要有りません。

モルダム工法の模式図

最大の強みは「排水を殺さずに補強できる」こと

私が実際に施工していて「コレはよく考えてるな」と一番思うのが、排水の扱いです。

モルダム工法は排水機能を確保した状態で、内部から補強できるのが大きな強みです。

具体的には、石垣・石積みの水圧を下げるために、専用の水抜き加工シートを1㎡あたり1カ所設置して遮蔽層を作り、排水の道を残したまま内部を接着します。

石積みって、実は「水が抜ける」事で保ってる構造なんです。

背面の水圧を逃がしてくれるから崩れない。だから、もし排水を殺して全部ガチガチに固めてしまうと、

行き場を失った水が逆に石積みを押して、かえって壊す原因になりかねない。土木屋の常識ですね。

「補強したつもりが、水道(みずみち)を塞いで悪化させる」って、現場では本当にやりがちな失敗です。

モルダム 水抜き加工シート

その点、排水を確保したまま中から接着する、という考え方は理にかなっています。

↑↑↑↑の写真が水抜き加工シートで、モルダムが入る部分はラップで保護され、水はこのヤシマットを伝って出てきます。

そして表面に新しい構造物を作らないので、ほかの工法より安価で、景観も損なわない。

境界際の石積みでも、表に出っ張りを作らず敷地内だけで施工できて、狭い場所でもいけるのは、実際にやってみて助かるポイントですね。

充填剤「モルダムエース」と普通のモルタルの違い

工法名の由来になっているのが、専用の充填剤です。

充填剤の名称が「モルダムエース」「モルダムGハイパー」で、ここから「モルダム工法」と呼ばれてます。

普通のセメントモルタルと何が違うのか。

従来のセメントモルタルよりも高い強度と付着力(接着力)を発揮するのが特長です。

モルダム強度

普通のモルタルと変わらない強さで、かつ粘りがあるので石同士がしっかり密着!

実際の施工的感覚も、ただ隙間を詰めるというより、石どうしをしっかり接着して、バラけないひとつの壁にしていくイメージに近いです。

石積みの怖さは「一個外れると連鎖して抜けていく」事。

だから、個々の石を強い接着力で一体化できると、崩壊の引き金になる“最初の一個”が動きにくくなる。

現地調査ありきで判断していますが、ほぼ100%石積であれば対応可能です。

ただし、すでに応力が掛かっている場合は、別の対策が必要になります。

モルダム注入

どんな現場で使う?適用現場

実際にどんな所で使われているか?

個人住宅の石積みから、道路維持工事、急傾斜地崩壊対策事業、河川護岸工事まで、いろんな石積みの補強に適用できる工法です。

大雨や地震災害への事前対策、老朽化した石垣の崩壊予防として使われていて、うちでもそういう石積みに入る事がほとんどです。

 

石積み擁壁が危ない時には、だいたいサインが出ています。

1,石積みが弓なりに前へはらみ出している。(はらみ出し)

2,足元の側溝が石積みのはらみで潰れて、水がうまく流れていない。(押し出し)

3,目地のモルタルに全体的な亀裂が入っている。(内部土砂流出)

こういう石積みは、見た目以上に水と土圧で追い込まれている事が多いです。

植物が繁茂して状況が隠れているケースもあるので要注意ですね。

雨上がりに背面から水がにじみ続けているような石積みも、排水は出来て要るも、排土も一緒に行われ、内部はスカスカ。

モルダム工法に限った話ではないですが、石積みは「壊れてから直す」より「壊れる前に点検して手を打つ」方が、結局は安くて安全ですし、安い!

もし自宅やお客さんの敷地に古い石積みがあるなら、まずは一度しっかり点検してみる事をおすすめします。

災害は、事前の備えがすべてですからね。

 

それではまた。

モルダムを使用した岩盤接着工

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