井戸の清掃方法とは|詰まりの原因とエア・水を使った内部洗浄の手順

皆さんこんにちは。

エンタです。

削孔の仕事をやっていると、たまに「井戸の中を見てくれ」という相談が来ます。
普段は法面やアンカーの穴を掘っている人間なんですが、φ50〜φ100クラスの管を相手にする点では井戸も似たようなものなんですよね。

閑話休題

今回は、井戸を清掃したことがある方なら経験している「井戸って結局どうやって洗うの?」という話を、実際の手順に沿って書いていきます。


そもそも井戸はなぜ詰まるのか

井戸は使っていると内部が劣化しますし、菌が繁殖する場合もゼロではありません。(井戸の位置にもよりますし一概には言えませんがw)

一般的に「井戸の清掃」というと、内部にたまった砂や沈殿物を除去する作業を指します。
どのような井戸かによって条件は変わりますが、今回はよくあるφ50〜φ100程度の管を前提に書いていきます。

砂や沈殿物が管の中に溜まると、水の出が悪くなります。
地下水がゆっくりでも動き続けている限り、細かい砂は少しずつ管内に運ばれてきますし、揚水を繰り返すたびに周辺の土粒子も引き込まれやすくなります。
放置すればするほど堆積は進みますし、内部で菌が繁殖してしまえば水質にも影響します。

使用している管の品質によっても詰まりが発生しますよね。サビとか等ですね。

井戸のトラブル相談の多くは「急に水が出なくなった」というより「気付いたら少しずつ出が悪くなっていた」というパターンの方が多い印象です。
毎日使っている井戸ほど変化に気付きにくいですし、逆にたまにしか使わない井戸ほど、いざという時に詰まりが表面化しやすいと感じます。

だからこそ、詰まってから慌てて対処するのではなく、定期的な内部洗浄というメンテナンスの発想が必要になってくるわけです。
数年に一度でも良いので、深さと水量をチェックしておく習慣があると、いざという時の判断が楽になりますね。

地下水井戸の断面図インフォグラフィック


清掃前にやる事|まず深さを測る

いきなり洗浄に入る前に、絶対にやっておくべき事があります。

井戸が何mあるのか、これを先に把握しておく事です。

やり方は単純で、ヒモに重りを結んで井戸の一番下まで入れます。
底に届いたところでヒモの長さを測れば、それが井戸の深さです。

例えば、元々15mの井戸なのに測ったら10mしか入らなかった場合、単純計算で5m分が詰まっているという事になります。
ここをしっかり把握しておくと、洗浄後にどれだけ改善したのかが数字で分かるので、必ずやっておいた方がいいですね。

水位もそれ用の音が鳴る巻尺もあるのでプロはだいたいそれですねw 水に入ると「ピーーーーー」ってなります

この深さの記録は、しっかり施主に伝えるか、写真で残すと良いですよ。我々公共事業者はしっかり写真大事!ですねw

1回目の洗浄でどこまで戻ったか、次回また詰まった時にどれくらいのペースで詰まりが進むのか、記録があるとそのあたりの目安が見えてきます。
数字を残しておくだけで、次に洗浄する時期の見当がつけやすくなりますし、業者に相談する際の説明もスムーズになります。

深さを確認したら、次は3分のポリエチレンホースを用意します。
仮に15mの井戸なら、20m程度は用意しておくのが無難です。
15m以上入る事は基本ありませんが、取り回しや現場での余裕を考えると、多少長めに持っておいた方が間違いありません。

ホースの太さについては、細すぎると送れる水量・エアー量が足りなくなりますし、太すぎると井戸の口径によっては引っ掛かる可能性もあるので適度なモノをw
φ50〜φ100の井戸であれば、3分のポリホースが取り回しとコストのバランスとして扱いやすいと思います。

特にホースの長さ不足は現場でよくある失敗なので、少し余裕を持って準備しておくのが無難です。

このホースを井戸に入れていくわけですが、そのまま入れてしまうと後の工程でトラブルになるので、その前にもう一つ細工が必要になります。

井戸測定


二重管方式でエアと水を使って一気に洗浄する

井戸内部の砂を出すには、勢いのある水とエアーを使います。

ただし、何もない状態のφ50〜φ100の穴に細いパイプを入れて底からエアーを吹くと、その勢いで内部の沈殿物が一気に噴き出してきます。
これは結構危険なので、防ぐために二重管にします。

3分のポリホースを通しつつ、φ50〜φ100のパイプで保護する形です。
ラッパ管でも構いませんし、塩ビ管に穴を空けて接続する方法でも問題ありません。
何もない状態でエアーを吹くと想像以上の勢いで吐出してくるので、この二重管は省略しない方がいいですね。(周囲の養生も大変)

井戸洗浄

3分のホースは底まで届いて、VP50の塩ビから砂が吹き上がってきます。

吹き上がった砂はPV50のホースを伝わって外に勢いよくでます。

3分のホースは、上げ下げしながら最下部まで下げていきます。
エアーだけでも作業自体は可能ですが、深くなればなるほどエアーだけでは力不足になってきます。

ポンプを併用して水も一緒に送れる状態を作れると、洗浄力はかなり上がります。
エアーの圧力よりも水の圧力の方が強いため、しっかり洗えます。

この時のエアーの強さは、可能な限り大きいコンプレッサーを使うのがおすすめです。
私たちの現場では、最低でも50馬力のコンプレッサーを使います(これがうちで一番小さいクラスです)。

φ100で30mを超えるような井戸になると、100馬力(2.5t)程度は最低でも必要になってきます。
エアー量そのものが不足すると洗浄力が足りなくなりますし、井戸径が大きくなるほど機材そのものも大きくする必要が出てきます。

実際の作業では、ホースを一気に底まで下ろすのではなく、少しずつ深さを変えながらエアーと水を吹き込むようにしています。
同じ深さで吹き続けるより、上下に動かしながら段階的に洗った方が、詰まっている層をムラなく洗えます。
噴き出してくる水が澄んでくるかも大事ですね。

その場での一つの終了目安にもなります。

機械はこんな感じ。

条件 コンプレッサーの目安
φ50〜φ100・浅め(〜30m程度) 50馬力クラス(0.5t)
φ100~・30m超 100馬力(2.5t)クラス以上

※あくまで私の現場での感覚と実績の目安であり、井戸の径・深さ・地質によって必要台数は変わります。

泥水が噴き出す井戸洗浄作業


殺菌と仕上げ、そして液状化した井戸の限界

底から内部の沈殿物をひと通り排除したら、あとは殺菌するかどうかを決めます。

一般的には次亜塩素酸を入れて内部でグルグル水を回して殺菌し、そのあとしばらくポンプを回して仕上げる流れです。
殺菌後に一度水を抜いて回してから使い始めるようにすると、薬剤が残った状態で使ってしまう事も防げます。

ここまでが通常の井戸清掃の一連の流れです。
洗浄・殺菌・仕上げのポンプ回しまでを1セットと考えておくと、作業の抜け漏れが減ります。

ただ、問題になるのは地震後に出なくなった井戸を洗浄したらどうなるのかという話です。

これは正直なところ、非常に判断が難しいところです。

洗浄で対処できるのは、あくまで管の中だけです。
管の外側はあくまで地山ですから、そこまでは手が届きません。

地震で揺らされて液状化した井戸周辺の地山がどうなっているかは、実際には確認できません。
ただ、一度揺らされて土粒子の細粒分が集まってしまった部分が多くある場合、その周辺の井戸はどれだけ洗ってもしばらくは砂が出続ける、というイメージがあります。

それがいつまで続くのかは、正直なんとも言えません。
突然良くなる事もあれば、洗ってすぐ良くなる事もあるし、良くならない事もある。
ここばかりはケースバイケースで、私たちも断定はできません。

私たちは削孔のプロだとは思っていますが、井戸の中を明確に見た人間は誰もいないんですよねw
見えるようにするには、透明の塩ビ管を継ぎ足していってボアホールカメラを入れれば、地盤の中がある程度見えるかもしれません。
面白そうではありますが、カメラのレンタルだけでもそれなりの費用がかかりますから、簡単には試せないところです。

液状化する前と後でデータが取れれば、それはそれで貴重な情報になると思っています。
どこまで洗浄で戻って、どこから戻らないのかが数字で見えるようになれば、判断の精度は今よりだいぶ上がるはずです。(地質学好きな人には・・・w)

判断としては、洗浄を数回試みても水量・水質が改善しない場合は、そこで一区切りとして見切りをつける事も必要だとは思います。
延々と同じ作業を繰り返すより、井戸そのものの状態を見直すタイミングだと考えた方が良いケースも?
新しく井戸を掘り直すのか、既存の井戸を使い続けるのか、その判断材料として洗浄結果を使う、というくらいの位置付けが現実的だと私は思っていますが当然それにもコストが掛かるわけで。。。。

井戸は基本的に、詰まる前の定期的な洗浄がおすすめです。
液状化していない状態であれば、今回書いたような洗浄で復活するケースも十分にあります。
逆に言えば、地震の直後に水が出なくなった井戸ほど、まずは焦らず様子を見つつ、必要に応じて専門の業者に相談する方が結果的にコスト面で助かるかも!?。

私たちも、井戸の中を全部見通せている訳でもなく、機械操作も有る程度感覚で分かることもありますが、限界もあります。
それでも現場で積み重ねてきた手順があるからこそ、判断できる部分もありますが、絶対ではないと言うお墨付きもあります・・・

ボーリング孔カメラ点検作業


井戸の清掃って地味な作業に見えますが、やってみると奥が深いんですよね。
管の中はいくらでも洗えますが、その外側の地山まではどうにもできない。
このもどかしさを分かった上で、それでも出来る範囲で最善を尽くすしかないかなと。

削孔にしても井戸にしても、結局は地面の下という見えない相手が仕事の対象です。
見えないからこそ、深さや水量といった数字で判断する事が結構確実なやり方かなとも思います。数字は嘘つかないですからね~w

それではまた。

お盆の半分は休まずに災害対策用井戸の削孔やってます。

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