皆さんこんにちは。
エンタです。
お盆前で現場も一区切りついている会社さんも多いんじゃないでしょうか。
うちは元請次第でどうなるのか?w
閑話休題
今回は、2016年の熊本地震で被災した箇所のうち、
石積み擁壁の補強(モルダム工法)がされていた場所がその後どうなったか?
本題に入る前に一言。
2016年の熊本地震では、多くの方が被災され、大切なご家族やご友人を亡くされた方もいらっしゃいます。
亡くなられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、今なお当時の傷跡と向き合っておられる皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
土木の仕事をしている一人として、災害から命と暮らしを守る手立てを考え続ける、そして伝え続けることが、私にできる小さな役目だと思っています。
初心者の方向けに「石積みを補強すると地震に強くなるって聞くけど、実際どうなの」というところを書いて行きます。
熊本地震の復旧箇所、緊急点検で分かったこと
九州防災メンテナンス株式会社様が公開しているブログ記事によると、
2026年熊本地震の被災地である益城町で、同社の石積み補強工法「モルダム工法」を使って復旧した石積み擁壁の緊急点検を実施したところ、
点検箇所すべてで変状が確認されなかったとの事です。


また、今回の被災箇所に最も近い日奈久で施工した箇所についても、変状はなかったとの事です。
ここで一つ注意しておきたいのですが、これはあくまで施工した会社自身による自主点検の報告であって、第三者機関が検証したデータではありません。
なので「補強すれば絶対崩れない」と断定する話ではなく、「一つの現場ではこうだった」という事例として判断してください。
ただ、我々も、プロとして現場をやってると、良い報告ほど鵜呑みにしない癖がついているので、もう少し細かい写真が欲しいところw
もう少し混乱が落ち着いてから私も調査に行ければと思っております。


なぜ石積補強した箇所は崩れにくいのか
石積み擁壁が崩れるパターンとして代表的なのは、地震の揺れそのものよりも、
地震で目地や裏込め部分が緩んだところに雨水が入り込んで崩壊が進むケースが多いと言われています。
モルダム工法のような石積補強は、石と石の隙間や裏側に補強材を注入して一体化させることで、目地の緩みや石の抜け落ちを防ぐタイプの工法です。
石材同士の一体性を高めることで、変形や抜け落ちに対する抵抗力を向上させる。
私がよくブログで書いている、個を連にする事で崩壊を防いでいると言う事です。
石積擁壁補強は「積んである石」が動かないようにし、全面を面として保ち、法面のアンカー工・鉄筋挿入工は「地山そのもの」を締め付ける補強、とざっくり分けて考えると分かりやすいと思います。
石積補強も法面補強も、「揺れそのものを止める」というより「揺れや雨で緩んだあとの崩壊の連鎖を止める」効果の方が高いのですが、
当然地震などの外部エネルギーに対しても十分耐えうる工法で有るという事は証明されています。

また、私がよくロックボルトと併用して設計施工しておりますが、まさにこの現場も同じくボルトが入っています。
ボルトが入ると一気に地山自体の抵抗力が増すので尚更完璧な施工に近づきます。

最近特に多い、橋梁下部工!

崩れることなくしっかり連として機能しています。
初心者が誤解しやすいポイント
ここまで読むと「石積みを補強さえすれば地震でも安心」と思われるかもしれませんが、そこは注意が必要です。
補強工には設計上の耐力があり、想定を超える地震動や、擁壁の基礎地盤そのものが大きく崩れるような規模の災害では、補強工だけで被害をゼロにできるわけではありません。
また、補強の効果は石積みの状態、地山、周辺地盤の状態によって大きく変わります。
同じ「石積み補強」という言葉でも、注入だけなのか、ロックボルトを打つのかで、期待できる効き方は違って来ると思われます。
補強する前に、まず「補強=万能に絶対崩れない! ではなく、崩壊のきっかけを減らす対策、減災」という理解を持ってもらえると我々も説明、施工しやすいです。
結局のところ、今回の熊本地震の事例も「石積み補強していた箇所が結果的に持ちこたえた一例」として事実があると言う位置づけです。
派手な話に飛びつかず、一つ一つの事例を地道に見ていく事が大事ですね。




私的な見解ですが、やはり石積補強はモルダム+鉄筋挿入工は鉄板な気がします。
2m以下の低い山であれば影響はそれ程ありませんが、それ以上の石積は検討の価値ありですね。
また、データが出ましたら公開致します。
それではまた。



