皆さんこんにちは。
エンタです。
以前、法枠の材料算出のやり方を「その1」から「その7」まで、7回に分けてダラダラと書いていた時期がありましてw
ラス金網編、縦梁編、横梁編、型枠編、アンカー編、セメント編、砂編。 自分で書いておいて、途中で「あ、このシリーズあったな」と思い出した回もありました。
書いた本人がこれですから、読む側はもっと探しづらかったと思います。
なので今回も7本を1本にまとめ直しました。
ついでに当時の計算を全部電卓で叩き直したので、間違っていた箇所も直してありますw
閑話休題
法枠工(現場打法枠工)の材料算出って、要は「面積」と「法長」の2つの数字から、全部の材料に枝分かれしていく作業。
ここが分かってしまえば、あとは掛け算と割り算だけです。
今回は、実際の現場を1つ想定して、ラス金網から砂まで通しで出していきます。
なお、はじめにお断りしておきますが、あくまでも、現場使用する為の材料算出です。積算や設計とは若干違いが有ります。
ここで出す数値は、私が現場で使っている代表的な値と、設計書によく出てくる値です。

まず押さえる5つの数字|ここが決まらないと材料は出せない
法枠の材料を出す前に、図面から必ず拾っておく数字が5つあります。
- のり面積(施工面積)
- 最大法長(図面の一番長いところ)
- 法枠のサイズとピッチ(例:法枠300、ピッチ2.0メートル)
- 使用鉄筋径と重ね継手長(例:D13、重ね40d)
- 使用鉄筋1本の長さ(例:5メートル)
この5つが揃えば、あとは自動的に出ます。
逆に、どれか1つでも曖昧なままだと、最後のセメント袋数まで全部ズレます。
今回の計算例は、次の現場で通します。
- のり面積:214平方メートル
- 最大法長:18メートル
- 法枠:300(枠幅0.3メートル×枠高0.3メートル)、ピッチ2.0メートル
- 鉄筋:D13、重ね継手 D13×40=520ミリメートル
- 使用鉄筋長:5メートル

上記の図面のように、実際ののり面は三角形だったり台形だったりで、キレイな四角なんてまず有りません。
でも私は、三角の山も四角と捉えて暫定的に算出します。
⬅の展開図が214m2だとしたときに、
214平方メートル ÷ 18メートル = 11.9メートル
なので、横延長は12メートルとしてしまいます。
実際の形と違っていても問題ありません。
最後にロス率で吸収します。
最初から精密にやろうとすると手が止まるので、まずザックリした四角に置き換えて全体像を掴む方が、現場では圧倒的に早いです。
ラス張り工の数量|ラス金網と主アンカー・補助アンカー
法枠の前に、まずラス張り工です。
設計書に出てくる代表的な数量が、次の3つですね。
- ラス金網(♯14×50×50):100平方メートル当り 140平方メートル
- 主アンカー(φ16×400ミリメートル):100平方メートル当り 30本
- 補助アンカー(φ9×200ミリメートル):100平方メートル当り 150本
これを1平方メートル当りに直すと、それぞれ1.4平方メートル、0.3本、1.5本です。 あとはのり面積を掛けるだけ。
仮に、のり面積が600平方メートルの現場だとします。
- ラス金網:600平方メートル × 1.4 = 840平方メートル
- 主アンカー:600平方メートル × 0.3 = 180本
- 補助アンカー:600平方メートル × 1.5 = 900本
ラス金網の「140平方メートル/100平方メートル」という数字は、要するに4割増しですよね。
重ね代とロスを見込んだ数字なので、金網に関してはこれ以上大きく割り増す必要は基本的に有りません。
ただし、実際ののり面には起伏があります。
凸凹が激しい現場や、湧水処理で余分に張る現場では、ここからさらにロス率を掛けます。
2割増しなら1.2を掛けて下さい。 それが現場での発注数量になります。
そして、ここが意外と忘れがちなんですが、アンカーピンは箱売りです。
- 主アンカーが30本/箱なら、180本 ÷ 30本 = 6箱
- 補助アンカーが200本/箱なら、900本 ÷ 200本 = 4.5箱 = 5箱
割り切れない時は必ず切り上げです。
4.5箱で発注は出来ませんからw
「2回に分けて入れればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、現場が小さいと運賃のロスの方が大きくなります。
ラス金網とアンカーピン程度なら、私は1回で入れてしまう方が良いと思っています。
逆に法枠鉄筋やセメントみたいな重量物・大量物は、後で書く通り2回に分ける方が得です。
が、今は運賃がとんでもない時代です・・・
もう1回で入荷しないと運賃だけでヤバイ時代のように・・・・

法枠の縦梁鉄筋を出す|18メートルの法長を5メートル鉄筋で組む
ここからが法枠組立工の本番です。まずは縦梁(法長方向)の鉄筋から。
先ほどの現場は、法長18メートル、使用鉄筋5メートル、D13、重ね継手520ミリメートルでしたね。
1. 鉄筋の本数と継手箇所を出す
18メートル ÷ 5メートル = 3本と余り3メートル
つまり、5メートル+5メートル+5メートル+3メートル = 18メートル。 4本つなぐので、継手は3箇所です。
ここ、たまに「4本だから継手も4箇所」と勘違いする人がいます。 繋ぎ目の数は本数マイナス1です。
私も最初やらかしましたw
2. 継手のラップ分を足す
0.52メートル × 3箇所 = 1.56メートル
3. 鉄筋1本の筋(1条)に必要な延長
5メートル×3本 + 3メートル + 1.56メートル = 19.56メートル
4. 法枠300は上下で4本の鉄筋を使うので
19.56メートル × 4本 = 78.24メートル/1梁当り
5. 梁の数(交点数)を出す
横延長 ÷ 法枠ピッチ = スパン 12メートル ÷ 2メートル = 6スパン
6スパン + 1 = 7梁
スパンに1を足すのがミソです。
柵の杭と同じで、間の数より支柱の数の方が1つ多いですよね。
この「+1」を忘れると、まるまる1梁分の鉄筋が足りなくなります。
6. 縦梁鉄筋の合計
7梁 × 78.24メートル = 547.68メートル
547.68メートル × 0.995キログラム/メートル = 約545キログラム
D13の単位質量0.995キログラム/メートルは、JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)に規定されている公称値です。
ここは断定して大丈夫な数字です。
ちなみにD13の公称直径は12.7ミリメートル、公称断面積は126.7平方ミリメートルです。
なお、重ね継手長の「40d」は今回の例での設定です。
実際は設計図書や仕様書で30dだったり35dだったりしますので、必ず確認して下さい。
ここが変わると鉄筋量がそこそこ代わります。
法枠の横梁鉄筋を出す|考え方は縦梁とまったく同じ
横梁(水平方向)です。 正直、やることは縦梁と一緒ですw 縦と横の数字を入れ替えるだけ。
横延長は12メートルでしたね。
12メートル ÷ 5メートル = 2本と余り2メートル → 5メートル+5メートル+2メートル = 12メートル、継手は2箇所
0.52メートル × 2箇所 = 1.04メートル
5メートル×2本 + 2メートル + 1.04メートル = 13.04メートル
13.04メートル × 4本 = 52.16メートル/1梁当り
法長 ÷ 法枠ピッチ = スパン 18メートル ÷ 2メートル = 9スパン 9スパン + 1 = 10梁
10梁 × 52.16メートル = 521.6メートル
521.6メートル × 0.995キログラム/メートル = 約519キログラム
縦梁と横梁を合わせると
545キログラム + 519キログラム = 約1,064キログラム
延長で言えば 547.68メートル + 521.6メートル = 1,069.28メートル
本数に直すなら、5メートル定尺で 1,069.28メートル ÷ 5メートル = 213.9 → 214本
※旧記事(その3)では「1,064キログラム ÷ 5メートル = 213本」と書いていましたが、これは重量を長さで割ってしまった誤りでした。正しくは総延長を定尺長で割ります。今回改めて計算し直して修正しています。失礼しましたw
ベテランなら、ここに現場の起伏に応じたロス率を掛けて搬入しても問題ないと思います。
ただ私は、法枠鉄筋は取りあえずこの数量で1回目を発注します。
理由は単純で、法枠は起伏の読み違いでロスが出やすいからです。2回に分けた方が結果的に安く付きます。
と前回は書きましたが、2,026年8月現在では1回です!
もう材料の運賃が上がりすぎてとても解消出来ない。
少し多い位のロスを見込んでおきましょう。

型枠(枠板)の枚数を出す|スパンと交点数の関係
次は法枠の型枠、いわゆる枠板の枚数です。
先ほど、縦スパン9・横スパン6という数字が出ましたね。これをそのまま使います。

上記の図のような割付になっているはずです。(縦横は気にせずw)
- 縦枠:(横スパン+1)× 縦スパン = (6+1)× 9 = 63枚
- 横枠:(縦スパン+1)× 横スパン = (9+1)× 6 = 60枚
- 合計 = 123枚(ここではロスは考えません)
そして、この先ずっと使う大事な関係が次の2つです。
- (横スパン+1)= 横交点数(今回は7)
- (縦スパン+1)= 縦交点数(今回は10)
この「交点数」が、この後のアンカーと水抜きパイプの計算に必要になります。
法枠の数量計算は、結局このスパンと交点数の掛け算で全部片付くんですよ。
主アンカー・補助アンカー・水抜きパイプ|交点数で全部出る
さっきの交点数を使って一気に出します。
補助アンカー
横スパン × 補助アンカー本数 × 縦交点数 = 補助アンカー数
法枠300なら1スパン当り3本なので、 6スパン × 3本 × 10交点 = 180本
水抜きパイプ
横スパン × 縦交点数 = 水抜き箇所数 6スパン × 10交点 = 60箇所
法枠300で、塩ビ管の1箇所当りの長さを0.35メートルとすると、 0.35メートル × 60箇所 = 21メートル 21メートル ÷ 4メートル(塩ビ1本当り)= 5.25本 = 6本
主アンカー
縦交点数 × 横交点数 = 主アンカー本数 10交点 × 7交点 = 70本
大まかなロス率ですが、私の感覚では補助アンカーピンは2割弱、主アンカーは交点数+20本程度を見ておけば足ります。
ただしこれも、法枠鉄筋と同じで進捗を見ながら2回目の入荷で問題ありません。(アンカーは宅急便で行けるので!)
材料ロスをいかに少なくするか。
これが施工管理としての仕事、地味だけど予算厳守では効果的な部分ですね。

モルタルと砂の数量|法枠延長からセメント袋数まで一直線
やっと型枠等の材料から抜け出して、モルタルです。
ここは「法枠の総延長を出す」→「体積にする」→「配合を掛ける」の3ステップだけ。
まず配合ですが、1対4モルタルの配合は、おおよそどこの国・県・市町村の設計書でも
セメント:砂 = 420キログラム:1,680キログラム(1立方メートル当り)
だと思います。1立方メートル当りのセメントが420キログラムと分かっているのがポイントです。
1. 法枠の施工延長を出す
法枠ピッチ2.0メートル、枠幅0.3メートルなので、枠1枚の長さは 2.0 − 0.3 = 1.7メートルになります。
- 縦枠:63枚 × 1.7メートル = 107.1メートル
- 横枠:60枚 × 1.7メートル = 102.0メートル
- 交点:横7箇所 × 縦10段 = 70箇所 × 0.3メートル = 21.0メートル
合計 = 107.1 + 102.0 + 21.0 = 230.1メートル
最後に交点の部分を足していますが、この辺はどちらでも問題ありません。
というのも、セメントの注文は施工しながら変更出来ますから。
生コン車だとちょっと慎重になってください。
最近の生コンも高すぎて材料ロスを出来るだけ小さくしたいですよね!!
2. 体積にする
法枠延長 × 枠幅 × 枠高 = モルタル体積
230.1メートル × 0.3メートル × 0.3メートル = 20.71立方メートル
3. セメントの袋数
20.71立方メートル × 420キログラム = 8,698キログラム 8,698キログラム ÷ 25キログラム/袋 = 347.9 = 348袋
生コン車の場合は最初の20.71m3にロスを考えるか、現地で合わせでOK
4. 砂
砂は簡単です。1立方メートル当り1,680キログラムなので、
20.71立方メートル × 1,680キログラム = 34,791キログラム = 約34.8トン
実際は2割ほど割り増して考えておけば問題ありません。
というのも、砂は一度に全部入れる事が出来ないんです。
大型ダンプでも、置場の広さを考えると多くて1日に4台程度が現実的です。
おおよそを掴んで、最終調整で入れれば良いので、ここは神経質になる必要は有りません。

余談ですが、上記写真の砂山の斜面の角度。これを安息角と言います。
粉粒体を静かに積み上げた時に、自然に安定する斜面の角度のことですね。
で、ここは旧記事で書き方が雑だったので直しておきます。
当時「崩れる・崩れないの境の角度を内部摩擦角と言う」と書きましたが、厳密には安息角と内部摩擦角はイコールでは有りません。
- 内部摩擦角(φ):土のせん断強さの式 τ = c + σ tanφ に出てくる定数で、垂直応力に比例して増える摩擦抵抗の大きさを表す角度
- 粘着力(c):垂直応力に関係なく発揮される、土粒子同士が結び付く力
- 安息角:積み上げた粒状体が自然に落ち着く斜面角度
乾燥した砂のように粘着力がほぼゼロの材料では、安息角が内部摩擦角に近い値になるとされていますが、粘性土では両者は一致しません。
このτ = c + σ tanφ が、いわゆるクーロンの破壊基準です。
そして、この砂山が水を目一杯含んで飽和状態になると、崩れます。 外力や、水を含んで重くなった斜面に対して、必要な安全率まで持たせるのが法枠工などの抑止工の役割ですね。
参考までに、地すべり対策としてグラウンドアンカー工などを設計する際の計画安全率は、道路土工「切土工・斜面安定工指針」(平成21年度版)では本設1.2、仮設1.05という値が示されています。現場でよく聞く「1.2」はここから来ています。
エクセルで自動計算させる|同じ計算を二度やらない
ここまでの計算、現場が変わるたびに手でやるのはさすがに面倒です。
私はエクセルで組んでしまっているので、面積と法長を入れれば大体出るようにしています。
先ではAIでアプリ作ってやっています。
コレも有る程度使ったら(Test)公開するのでしばし待ちを。

上記の表のように、A1セルに面積(例えば600)を入れておいて、
D3セル:= $A$1 * B3 * C3
これで「面積 × 1平方メートル当りの数量 × ロス率」が出ます。 A1をドル記号で囲って絶対参照にしておくのがポイントです。下方向にコピーしても面積のセルがズレません。
F3セル:= ROUNDUP(D3 / E3, 0)
箱数や本数のように「端数を切り上げたい」ものは、ROUNDUP関数で小数点以下を切り上げます。
第2引数の0は「小数点以下0桁に丸める」という意味です。
これを四捨五入のROUNDでやってしまうと、4.4箱が4箱になって材料が足りません。数量計算は原則すべて切り上げです。
ロス率だけは自動化せず、自分の判断で毎回入れる形にしています。
のり面の起伏、湧水の有無、施工時期。この辺は数式では拾えませんので。

発注は1回で決めない|ロスを削るのが施工管理の仕事
最後に、材料の入れ方の話を少しだけ。
ここまで出した数量は、あくまで机上の数量です。
実際ののり面は起伏があるし、湧水も出るし、掘ってみたら岩が出てくる事もある。
設計と現場が一致した事なんて、私はほぼ有りませんw
なので私は、材料を大きく2つに分けて考えています。
1回で入れるもの:ラス金網、アンカーピン、水抜きパイプ → 単価が安く、運賃の方が高く付くもの。多少余っても次の現場で使える。
2回に分けるもの:法枠鉄筋、セメント、砂 → 重量物・大量物。1回目は8割程度で入れて、進捗を見ながら残りを調整する。
セメントなんて特にそうで、余ったら固まって捨てるだけですからね。
砂も、置場のスペースを食うだけ食って、最後に処分費が掛かるという最悪のパターンが有ります。
結局、法枠の材料算出って「精密に当てる技術」じゃないんです。と言いつつも、けっこうピッタリだと嬉しいです。特にセメント!!!w
ザックリ全体を掴んで、後から調整代を残しておく。
小数点以下まで合わせる事に神経を使うより、「+1」を忘れない、切り上げを忘れない、2回目の発注余地を残しておく。(出来るだけ)
ちなみに、ここで書いた算出方法が唯一の正解では有りません。
やり方は本当に沢山あって、会社ごと、人ごとに流儀が有ります。
私のは「現場で電卓叩いて出せる」事を優先した、かなり乱暴な方法です。
もっと良いやり方をお持ちの方は、ぜひ教えて下さいw
それではまた。



