皆さんこんにちは。
エンタです。
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閑話休題
最近話題になっている建設会社の給与の話しで職人の給料の決まり方。
建設業では昔から「職人は日給、監督は月給」という会社が多いですよね。
うちは月給制ですが、この仕組みのまま何十年もやってきた会社は多いと思います。
でも、職人が定着しない、若い人が来ない、と言いながら、給料の払い方そのものはあまり見直されていません。
日給制・日給月給制・完全月給制の違いから、職人が辞めていく理由、給料を上げても人手不足が解消しない理由まで、私の考えを書いてみます。
日給制・日給月給制・完全月給制の違いと建設業の現状
技能労働者の6割以上が日給制
まずは国交省の数字から見てみます。
「建設業の働き方として目指していくべき方向性(参考資料)」によると、平成28年12月時点のデータで、技能労働者の賃金は64.9%(週休2日モデル工事)、63.2%(それ以外の工事)が日給制でした。
一方で、元請の技術者は98%前後が月給制です。
少し古いデータですが、職人は日給、監督は月給という構図が、数字でもはっきり出ています。
3つの制度の計算方法
同じ「月33万円くらい」の職人でも、給料の決まり方は会社によって違います。
| 制度 | 給料の計算方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日給制 | 日給×出勤日数 | 出勤日数で収入が変わる |
| 日給月給制 | 月額から欠勤分を控除 | 休まなければ毎月ほぼ同じ、欠勤すると減る |
| 完全月給制 | 原則として月額固定 | 欠勤しても基本給を控除しない |
例えば日給15,000円の職人なら、22日働けば15,000円×22日=330,000円、18日なら270,000円です。
同じ人が同じ腕で働いても、天気と工程次第で月6万円変わります。
日給月給制で月額330,000円と決めている会社なら、欠勤した日数分を就業規則の計算方法で差し引きます。
完全月給制は、原則として欠勤で基本給を減らしません。
ここで勘違いしやすいのが、完全月給制だから残業代がいらない、日給制だから有給休暇がない、という話です。
どちらも違います。
残業代も有給休暇も、給料の払い方に関係なく労働基準法で決まっています。
「日給月給」という言葉の落とし穴
建設業では、「日給月給」を「日給×出勤日数を月末に一括で払う」という意味で使っている会社もあります。
これ、中身はただの日給制なんですよね。
求人票で「日給月給」と見ても、実際の計算方法を聞かないと、どっちの意味なのか分かりません。
職人を採用する側も、応募する側も、名前ではなく計算方法で確認した方がいいです。

日給制のメリット・デメリットと職人の離職率
職人にとってのメリット
日給制のいいところは、働いた分がそのまま収入に出ることです。
日給単価がはっきりしているので、自分の腕の値段が分かりやすい。
よその会社と比べる時も、「うちは18,000円、あっちは20,000円」と一発で比べられます。
腕に自信がある職人ほど、この分かりやすさを好む傾向はあると思います。
ただし、日給制だから好きな日に休んでいい、という話ではありません。
出勤日や休日は、日給制でも雇用契約と就業規則で決まります。
職人にとってのデメリットは雨
一番の問題は、働きたくても働けない日に収入が消えることです。
雨、雪、強風、前工程の遅れ、材料の入荷待ちなどの現場の都合も。
法面の現場だと、吹付などのモルタルの施工は、雨で止まる日は珍しくありません。(大きい現場だと法枠組立を残したり)
日給15,000円で月に4日止まれば、それだけで60,000円減ります。
でも、家賃も車のローンも、子どもの給食費も、雨では減ってくれませんw
その結果、体調が悪くても無理して出てくる職人が出ます。
これが一番怖いんですよ。
さっきの国交省の資料で週休2日モデル工事で働いた技能労働者のうち、約3割が「収入が減った」と書いて、理由は労働日数が減ったからだと。
休みを増やせば日給の職人は収入が減る。
週休2日の話をする時、この点を抜きにしては進みません。
なお、会社の責任で休業させた場合は、労働基準法で平均賃金の6割以上の休業手当を払う義務があります。
ただ、雨天中止がこの「会社の責任による休業」に当たるかどうかは、なんとも言えませんが。。。。
気になる方は労働基準監督署か社会保険労務士に確認してくださいww(たぶん明確な答えは!!?)
会社にとってのメリットとデメリット
会社側のメリットは、仕事がない時期に人件費が膨らみにくいことです。
年度末に仕事が集中して、早ければ3月〜6月は暇。。。。
公共工事が中心の会社なら、この波を日給制で吸収してきた面はあります。
でも、その代わりに失うものが大きい。
日給2,000円高い会社があれば、職人はそっちへ行きます。
会社から生活の安定をもらっていないので、引き止める理由がないんです。
3年かけて一人前にした職人が、よその現場に行ってしまう可能性が。。。
支払い形態で離職率に差が出たデータ
建設業の職人全体のデータではありませんが、参考になる数字があります。
令和5年度建築大工技能者等検討会の「地域工務店の育成、建築大工の担い手確保・育成について」では、大工を雇用する事業所へのアンケートで、2023年度の離職率が日給月払制で57%、月給制で39%だったそうです。
18%の差。
大工の調査なので、法面や土木の職人にそのまま当てはまるかは分かりませんが、
それでも払い方で定着に差が出るという数字が出ているのは、建設会社として無視できない。。。。

職人が定着しない理由と昔の現場の働き方
給料が入ると来なくなった職人たち
少し昔の話です。
今では少ないですが、昔の現場には、給料をもらった途端に来なくなる職人がたっくさんいましたw
給料が入れば飲みに行く。
パチンコで勝てば休む、負けても休むw
親方に怒られたら、腹を立てて次の日は来ない。
朝、飲み過ぎで起きられずに来ない。
私が見てきた現場には、そういう光景が普通にありました。
もちろん全員ではありません。
毎朝誰より早く来て、黙々と段取りする職人も大勢いました。
では今はどうか。
酒がエナジードリンク、夜寝れず朝起きれずに、パチンコがスマホゲームの課金に変わっただけじゃないか、と思う時もw
ゲームを楽しむのが悪いんじゃなくて、目先の楽しみや時間つぶしが多い現代では仕事や生活を壊すほど優先されるのが問題なんですよねー。
これは職人に限らず、監督でも経営者でも起こります。
ただ、現場では1人の突然の欠勤で班が回らなくなり、残った人に無理がかかって安全にも響きます。
だから職人の欠勤は目立ってしまうんだと思います。
職人は本当に自由を好むのか
私は、日給制が残ってきた理由の一つは、職人の独立心だと思っています。
資格と経験を積めば、自分の腕が商品になる。
会社の看板より自分の腕を信じる。
一方、監督は工程、原価、安全、品質、書類を回して、会社や発注者との長い付き合いの中で仕事をします。
組織の中で安定を選びやすい立場です。
ただ、この違いを頭の良し悪しで語るのはちょっと違います。(一部はあるかもですが・・・)
削孔機の音、機械の負荷、材料の状態を見て、教科書に書いていない判断をする職人はいくらでもいます。
優秀な職長になると、段取りも原価も人間関係も見ています。
腕のいい職人と、いい職長が同じとは限らないのは、求められる判断の種類が違うから。
お金の不安は判断力を削る
生活が苦しいと、人は目の前の支払いで頭がいっぱいになります。
2024年に経済心理学誌に載ってたメタ分析(複数の研究結果を統合して分析する手法)では、29のデータセット、11万人以上を対象に、
経済的な不足と認知課題の成績の関係を調べており、結果は経済的な不足があると認知機能の成績が下がるというものでした。
ただし、その関係の多くは学歴で説明でき、学歴を考慮すると影響は約6割小さくなり、残りは小さな効果だったとされています。
つまり「貧しい人は頭が悪い」という話ではありません。
お金の心配が、考えるための余裕を少し奪う、という話です。
借金の返済を急いで条件の悪い借り入れを重ねる。
目先の日給だけ見て会社を転々とする。
職人の人間性を決めつけるより、収入の不安を減らす方が、会社にとってもよほど得だと言うこと。
お金に余裕があればやめにくいという事ですね。

給料を上げても人手不足が解消しない理由とこれからの賃金制度
日給の高さと年収は別物
給料を上げるのは必要です。
でも、それだけで人は残りません。
例えば、日給18,000円の会社と月給330,000円の会社があったとします。
日給18,000円で22日働けば396,000円。
ぱっと見は日給の方が断然いいですよね。
でも年間の出勤が190日なら、18,000円×190日=3,420,000円です。
月給330,000円なら、賞与なしでも330,000円×12か月=3,960,000円。
日給が高い会社の方が、年収では54万円低いことになります。
さらに、年間休日、有給休暇、賞与、社会保険、退職金、残業代で実際の待遇は大きく変わります。
建設業は日給単価の競争ばかりしてきた気がします。
これからの求人は、年間でいくら稼げて、何日休めて、何年働けるのかを明確に見せないと選ばれないのかも知れないですね。
監督も同じです。
月給で安定していても、長時間労働と書類の山と責任の集中で、若い人は辞めていきます。
海外の建設業の賃金制度
日給や時間給で働く仕組みは、日本だけのものでは無い様です。(AIしらべ)
アメリカでは、労働統計局(BLS)が建設業の労働者の賃金を「平均時給」として集計。
イギリスには、建設業の元請が下請への支払いから税金を差し引いて税務当局(HMRC)に納める「建設業スキーム(CIS)」があり、雇用契約ではなく自営で仕事を請ける職人を対象にした仕組みとして運用。
ドイツには、建設業の冬場の仕事減少に備えた「季節操業短縮手当(Saison-Kurzarbeitergeld)」がある。
ドイツ年金保険の解説によると、12月1日から3月31日までの悪天候期間に、天候などでやむを得ず仕事が止まった時間を対象に、冬の失業を防ぐ目的で支給。
対象は建設本体業、屋根工事業、造園業、足場業など。
海外にも、収入が天候や仕事量で変わる仕組みはあります。
違いは、収入が減る時期を誰が支えるかです。
会社が払うのか、本人がかぶるのか、公的な制度で支えるのか。
日本の建設業は、その多くを職人本人にかぶせてきたんじゃないか?会社側が職人に甘えてきたんじゃないか?
その2へ続く
それではまた。



