皆さんこんにちは。
エンタです。
ここ最近、過去記事を見返す機会がありまして。
2016年に書いた「法面アンカー工の削孔機と削孔方法」が、もう9年半前の記事なんですよ。
改めて読んだら自分で「いやコレ、当時はこうだったけど今は違うよなぁ…」って所が結構あってw
ブログの古い記事って、ちゃんと書き直さないとずっと当時の情報のまま検索に出ちゃうんですよね。
嘘じゃ無いけど、時代に合わない。
閑話休題
そんなわけで今回は、2016年版の削孔機解説を、2026年5月時点の現場感覚で書き直してみます。
9年半でどこが変わって、どこが変わってないか。
これから法面アンカー工・鉄筋挿入工の設計や積算を組む方、現場代理人で機械選定に迷っている方の足しになれば嬉しいです。
先に断っておくと、メーカーの最新型番までは私が原典のカタログ・規格書を全部突き合わせて確認できているわけではないので、傾向値として読んで下さい。
9年半ぶりに、削孔機の話を書き直してみる
2016年の元記事では、削孔機を
「ロータリーパーカッション スキッド型/クローラー型」
「アタッチドリル」
「吊り式削孔機」
「ロータリー式ボーリングマシン」
「スプリングドリル」
「インバーターチゼル」
「スロープドリル」
「ジャックハンマー」
「無足場アンカー工法」
の10種に分けて書いていました。
結論だけを言うと、この10種の括り自体は2026年でも変わってないです。
新ジャンルがバンッと現れた、というよりは、それぞれのジャンルの中で「電動化」「低騒音化」「無足場化」「自穿孔の一般化」がじわじわ進んだ、というのが体感ですね。
ただ、変わった事もちゃんとあります。
一番デカいのは無足場アンカー工法の普及度。
2016年は「特殊工法のひとつ」という扱いでしたが、2026年現在、急峻法面・高所・都市部のアンカー打ち替えなどで、これを最初の候補に置く設計が普通に出てきます。
一般社団法人 斜面防災対策技術協会の技術情報でも、グラウンドアンカー工の標準的な選択肢として並んでいる印象です(※自分で同協会の刊行物の該当ページまで突き合わせ確認はしていません。あくまで業界資料の傾向値として)。
ロータリーパーカッション|やっぱり主役は変わらない
グラウンドアンカー工の主役は、相変わらずロータリーパーカッションです。
スキッド型(定置式)が足場上の施工、クローラー型(自走式)が土足場や逆巻施工。
ここの基本構造は2016年から変わってないです。
平均的に1.5t前後が主流で大きくても2.5tクラス、3t以上はほぼ使わない。
ただ、小型化も進んでいまして、比較的短いアンカーは小型機を使用しています。
クローラー型は逆に13t↑が主流で、最近は特に大型機が施工のほとんどを占めているようにも思います。

ただ、ここ数年で見えてきたのは、低騒音・低排ガスを謳う機種の比率が増えてきた事。
都市土木の仮設アンカー、住宅近接のアンカー打ち替えあたりだと、夜間・早朝に動かせる事が直接コストに効いてくるので、設計段階で機械指定が「低騒音型」と書かれる傾向が増えます。
あと、削孔径の主流が90mm前後、というのもほぼ変わってないです。昔は165mm以上で長さ20m超のアンカーもあったんですが、最近のアンカーで165mmはあまり見ないですね。(港湾系にあるかも)
そうなると大型スキッドが出番になります。

弊社所有の5.0tクラスの削孔機で、積算で言う所の88Kw級に当たります。
「主流が90mmです」と書きましたが、これは現場で打っている径の体感で、すべてのアンカー工法のカタログ上の標準径が90mmという意味ではないので一応補足しておきます。多軸ストランド本数や定着長で径は当然大きくなります。
削孔径90㎜ 10m以下のグラウンドアンカー工や鉄筋挿入工の底盤はやはりエムズのスプリングドリル40Ⅲがすでに確固たる不動の地位を築いた感じです。
どこに行ってもこの機械を見ない事はないですね。
うちも3台所有していますが、出動回数は圧倒的に多いです。
軽量でパワフルな部分で圧倒的だと思います。

逆にクローラー削孔機となると鉱研工業のRPD160Cを中心に大型化しています。
とにかくデカイ!
そして運搬には絶対的に特車申請必要です。
しかし、パワーは凄まじいです!
90㎜のケーシングは簡単にねじ切ってしまうので、施工は優しくがもっとうになりますねww

アタッチドリルと吊り式削孔機|BH搭載と吊り下げの使い分け
アタッチドリルは、吊り式削孔機をBH(バックホー)に取り付けたもの。
反力はBHが押さえつけるので外付け不要。0.45BH〜0.7BHにセットできて、作業の率も良く機械セットも簡単。
これは現場の人間として正直、コスパが一番良い工法のひとつだと思っています。
ドリフター部分のシェアは、ヤマモトロックマシンさんが相変わらず強い印象です。
うちの会社で使っているのもYD135。9年半経っても、YD135系を現場で使い続けている所はかなり多いと思いますw
メンテ部材も入手しやすいですw
なにせ壊れない!!
要はデカイ削岩機ですから機構も単純で凄くイイ機械ですね。
た、ウルサイだけでwww


一方、吊り式削孔機はクレーンで吊り上げて削孔します。
足場が無くて打設標高が高くて、でもクレーンは置ける、という条件下で出番が来る機械です。
ここで一つ大事な用語の話を。
よく「スカイドリル」と総称されますが、これは厳密には間違いなんですよ。
スカイドリルというのは、クレーンの先にこの削孔機を搭載して施工する「工法名」のひとつであって、機械そのものの一般名称ではないんです。
元請の監督さんに「吊り式」と説明したら「あ、スカイドリルね」と即返答が来る事が多くて、いや違うんですって…って毎回内心思ってますw
吊り式は強風時に風に煽られて非常に危険な事があるので、ここは作業中止判断を渋らない事ですね。
サイズは小さいので700kg〜、大きくても1100kg程度です。
最大削孔長は5m~6mくらいが一般的で、削孔ロッドの規格が5.5mが標準です。
ちなみに、ロッド径はR32ロッドと1600ロッドというのが有って、R32は丸いロッドで1600は6角のロッド。
太さが違うので1600の方が強いのですが、重いとかの特徴が有ります。
軽量削孔機の代表格|ロータリーボーリング・インバーターチゼル
ここは2016年と本当に顔ぶれが変わってないジャンルです。
ロータリー式ボーリングマシン(扶桑工業系)/インバーターチゼルの3つ。
積算上はいずれも「軽量削孔機」というカテゴリに入ります。
エムズのスプリングドリル40は非常に軽量ですが、この軽量削孔機には入りません。
55kw級削孔機と言う事になります。


ロータリー式ボーリングマシンは、回転+推進力のみで削孔。
打撃が無いので静か、薬液注入工で常時お世話になります。
ビットはメタルクラウン。
大口径杭や温泉掘削にも使われていて、その場合はダウンザホールハンマを併用します。
インバーターチゼルは電気駆動で、サイズの割に回転トルクと推進力が強いです。
電気の制御ボックスが雨・ホコリに弱いので、ここの防護はホント手を抜かない方が良いですw
うちも一度、雨の翌日に動かなくて青ざめた事があります。
2026年現在、ここに「電動化」というキーワードが乗ってきました。
インバーターチゼルみたいに最初から電気駆動の機械じゃなくて、エアー駆動が主流の他ジャンルでも、外部電源前提の電動駆動仕様や、
エンジン+電動のハイブリッド仕様が、メーカー各社で開発されているようです。
エムズさんが電動式のクローラーをヨーロッパから持ってきていたような・・・
今後は電動化も少しずつ進むのでしょうか・・・
現場の電気化って悪くないんですが、とにかくホコリと水との戦いなので、どこまで普及していくかはなんともですね。
スロープドリルとジャックハンマー|小型機の役割は変わらない
スロープドリルは共和防災建設さん製で、YD100削岩機を搭載した小型機。
狭小地での施工は可能で、エアー駆動なので配管が楽、軽くて施工性は抜群です。
ただし、打撃力が強すぎてロッド・カップラーが折れる事が結構あるw
ここは予備部材を多めに積む前提で運用しないとダメですね。これは9年半経っても変わってないと思います。
最近借りていないのでちょっと不明な部分がありますが、知っているかたいたら教えて下さい。

ジャックハンマー(15kgタイプの削岩機)は、いわゆる手堀りの人力削孔です。
自穿孔式ロッドを継いでいって、自立しない地山では自穿孔のまま挿入完了、自立する地山なら通常ロッドで削孔して後挿入。
これ、当時の元記事でも「とにかく辛い仕事になります」「手がブルブルになります」「耳がキーンってなります」と書きましたが、
これは2026年現在も全く変わりませんw
ただ、防音・防振タイプを使うとかなり違います!

うちはコレでかなり社員の作業強度が軽減していると思います。
簡易足場で最大削孔長2.5m、それ以上は厳しい。
積算上もたしか施工不能扱いだったはず。
最近の傾向はジャックハンマー削孔の比率は確実に増えている感じます。
理由はシンプルで、民間工事で狭小地域が増えているって事です。(当社比)

無足場工法|2026年、もう「特殊工法」ではなくなった
ここが、9年半で一番ポジションが変わった機械(工法)だと思います。
無足場・SD工法は、ワイヤーで反力を取りながら削孔する方式で、足場が組めない急峻法面・高所・孤立地・狭隘地で生きる工法です。
基本はダウンザホールハンマーでの削孔となっています。
最近では2重管も出来るという話しですが。。。。(ここの見解は人それぞれ分かれるので)
ワイヤー反力で削孔が出来る問うことで、というのが他工法に対する最大の差別化ポイント。

2016年当時は「特殊工法のひとつ」という扱いで、設計に書き込まれているのは限られた現場でした。
でも2026年現在、足場が組めない箇所のアンカー打設で、最初に無足場アンカー工法を候補に挙げる設計が一般化しています。
NETIS登録もされていて、技術評価も付いている。
一般社団法人 斜面防災対策技術協会の技術情報や、各都道府県の標準・準拠工法群の中にも入ってきています。
(※ここも自分で同協会原典・各自治体仕様の該当ページまで突き合わせ確認はしていません。あくまで業界資料の傾向値として)。
足場が組めない!という現場では重宝しているようです。
また、弊社の様に自作で作成する会社もいますので、今後は幅広く施工出来る会社もあるかと思います。

結局、9年半経って削孔機の世界がドラスティックにひっくり返ったか、と言われると、答えはNoですw
削孔に関して言えば、ロータリーパーカッションが今だ主役で、機械はコンパクト化で施工規模が小さくなってきているくらいで、ジャックハンマー、スカイドリルは工法名で、というのは2026年も全く変わってないです。
ただ、その上に「電動化」「低騒音化」「無足場化」「無線化」「人手不足対応」というレイヤーが乗ってきた感じで、
機械の選定がより細かい条件分岐で動くようになりました。
設計段階で機械指定(同等機種)が入っているなら必ずそれに従う、これは2016年も2026年も変わらない大原則ですが、
近年は「機械指定」が「低騒音型のロータリーパーカッション」「無足場型」のように、性能やジャンルに踏み込んで指定されるケースが増えています。
うちみたいな中小の法面屋にとっては、設計指定された機械を持っているか・調達できるか、で受注可否が決まる場面が確実に増えました。
これからしばらくは、機械への投資と人の育成、どっちを優先するかの判断が経営の中心にきますね。
派手な機械を買うより、堅実に動く中古を回した方が儲かる、というのも昔から変わらないですね(でも機械はほしいんですよね~w)
それが我々の生き残り方なんだと、私は思ってます。
それではまた。



