モルタル吹付で湧水がある時の考え方|透水マットだけが正解ではない理由

湧水があると、すぐ透水マットと言われがち

皆さんこんにちは。エンタです。

モルタル吹付・コンクリート吹付の現場で、地山から水が出ていると「ここ透水マット張った方がいいんじゃないですか?」って話になることがあります。

気持ちは分かります。

水が出ている場所にモルタルを直接吹くのはのちのち手間が掛かりますよね。

吹いたあとに膨れて落たり、割れたり、カルシウムでて白華したりすると、後から説明が面倒ですw

ただ、ここで一つ考えたいのは、透水マットを張ること自体が目的ではないという事です。

目的は、地山の水をどう逃がすか。

モルタル吹付・コンクリート吹付をどう地山にしっかり効かせるか。

ここです。

モルタル吹付・コンクリート吹付は、圧縮空気で材料を対象面に吹き付ける工法(海外ではショットクリート工)で、垂直面やオーバーハング面にも施工できる工法です。

つまり、材料を当てる力と、地山面とのなじみが大事になる工法ですね。

しっかり地山に密着させる事が非常に大事。

だから、湧水面で一番怖いのは「水があること」そのものより、

地山とモルタルの間に水の通り道や空間を作ってしまうことだと思っています。

湧水法面の最初の判断

基本は、密着させられるかどうか

モルタル吹付・コンクリート吹付は、地山の表面を覆って風化や小崩落を抑える工法として一般的には使われます。

モルタル・コンクリートが地山にちゃんと密着していることが大事!(大事な事なので2回w)

地山と吹付の間に空洞があると、そこがミズミチになります。

ミズミチになると何が起きるか?

水は圧力が無い方へ流れます。

地山の節理、浮石の裏、マットの中、吹付背面のすき間。

そういう場所に流れができると、表から見た時はきれいに仕上がっていても、裏では地山が少しずつ風化していく可能性があります。

なので、湧水がチョロチョロ程度で地山が硬く吹付時に材料が洗われない範囲なら先に水の出口を決めて、

水抜きパイプや部分的な導水で逃がしつつ地山に密着させて吹く判断が正解です。

ただし、ここは現場条件次第です。

水量、湧水圧、地質、節理方向、冬の凍結(環境)、既設排水の有無。この辺を見ずに「密着が正解」と決めるのも違います。

急結剤を使う、多層で厚くする、湧水点だけ先に処理する、吹付順序を変える。

こういう選択肢はありますが、職人の経験と腕に依存する部分もあります。

密着施工と背面空洞の違い

透水マットが悪いわけではない

勘違いしてほしくないのですが、透水マットが悪いと言っているわけではありません。

水を面で受けて、下や横へ逃がす考え方は合理的です。

特に湧水が点ではなく面でにじむ場合、地山表面が水で常に濡れている場合、直接吹くと材料が流される場合は、排水層を作る考え方が必要になることがあります。

ただし、マットを張ると、地山とモルタル・コンクリートの間に「排水層」を意図的に作ることになります。

これがうまく出口につながっていれば良いんですが、水もなかなか分からないんですよね~

作ったけど、他に逃げることなんてざらにあります・・・w

中で水が溜まらないような工夫が必要です

寒冷地ではここが特に怖いです。

水は凍る時に体積が増えます。

また、凍上は水の供給、凍結温度、土や岩の間隙条件がそろうと起きやすく、氷レンズが成長すると舗装や構造物を押し上げる力になるります。

法面の吹付背面でも、同じように水が残り、凍結と融解を繰り返せば、クラックや浮きの原因になる可能性は十分に考えられます。

だから、透水マットを使うなら「張る範囲」よりも、水をどこから入れて、どこへ確実に出すかを先に決めるべきです。

モルタル 凍結 クラック

判断は、湧水の量と地山の形で変える

私なら、まず湧水を3つに分けて見ます。

一つ目は、点で出ている水。岩盤の節理や割れ目からチョロチョロ出るタイプです。

これは、出口を殺さずに水抜きパイプや導水材で逃がして、周囲はできるだけ密着させたいところです。

無理に広い範囲へ透水マットを張るより、湧水点を小さく処理する方が納まりが良く、凍結融解の被害も最小限に抑えられます。特に寒冷地は大事。

二つ目は、面でにじむ水。表面全体が湿って、吹付材料が付きにくいタイプです。

これは直接吹付だけでやっちゃうと、施工中に洗われたり、初期の付着が不安定になったりします。透水マット、急結剤、仮排水を含めて考える必要があります。

そして、マットの部分を少し掘って導水につながるようにし、厚みもしっかり取れるようにすると凍害地域でもクラックが入りにくいです。

三つ目は、水圧を感じる水。穴を開けると勢いよく出る、雨の後に急に増える、濁りがある。この場合は、吹付の話だけで終わらせるのは怖いです。

地山内のミズミチ、上部集水、既設排水の不良、背面の崩壊性まで見た方が良いです。

斜面安定の常識では、降雨や地下水、間隙水圧の上昇が斜面安定に影響します。

間隙水圧の高い現場は、表面処理だけでなく排水計画まで見ないと危ないです。

なにせモルタル・コンクリートで密閉してしまうので、間隙水圧が上がる方向に向く可能性があります。

「透水マットか、密着か」ではなく、水抜きボーリング工等の処置でしっかり山の水をぬく!

水抜き

寒冷地は、最後に水を残さない

寒冷地の現場では、湧水処理の考え方が少し変わります。

夏に見れば「まあ流れてるから大丈夫」に見えても、冬はその水が凍ります。

水抜きパイプの出口が凍る。

マット下端が凍る。吹付背面に水が残る。そこへ凍結融解が来る。

これが繰り返されると、モルタル吹付コンクリート吹付工のクラック、浮き、端部からの剥離につながります。

なので、寒冷地では「水が流れる」だけではなく、冬でも出口がしっかり通っているか?を見ます。

下端の排水先が雪で埋まらないか。氷で閉塞しないか。導水した水が小段に滞水しないか。水抜きパイプの本数や位置が、実際のミズミチに沿っているか。

現場で水の音を聞いて、岩の割れ目を見て、雨の後にもう一回見る。

できれば施工前と施工中で写真を残す。

結局、湧水対策は「どう施工するか」、「どこに水を見たか」が大事です。

透水マットを張る時も、張らない時も、最後は水の出口です。

そこを曖昧にしたまま吹いてしまうと、きれいに仕上がった法面ほど、あとで原因が見えにくくなります。

全てを隠してしまう工法でもあるので・・・

最終的に処理した水はごまかせません。

吹付で押さえる場所、逃がす場所、触らない場所。

ここを現場で決められるかどうかが、湧水処理が数年後の仕上がりをかなり左右すると思っています。

 

それではまた。

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