皆さんこんにちは。
エンタです。
今日は、モルタル吹付工の水抜きパイプにセットする「マットイン」という吸出し防止マットの話です。
地山は1度機械で切ると、もう元の岩盤には戻りません。
表面をモルタル吹付で覆っても、内部はジワジワ風化していきます。
その風化で発生した土砂が、水抜きパイプからチョロチョロ流れ出ている現場、結構あると思います。

山は1度切ると風化が止まらない
まず大前提として、岩盤の風化は「物理的風化」と「化学的風化」の2系統で進みます。
土木学会岩盤力学委員会の資料でも、温度変化・水の浸透・凍結融解などが主要因とされています。
岩盤の風化/土木学会岩盤力学委員会
切土を行うと、それまで上載圧で押さえられていた地山の応力が解放され、微小亀裂が広がります。
そこに水と空気が入り込むことで、深部にあった岩盤でも風化が進む状態に変わっていきます。
降雨が地山内部の土砂化を進める
風化を加速する1番の要素は降雨です。
岩盤の亀裂に雨水が浸み込むと、長石などの造岩鉱物が加水分解で粘土化し、最終的に砂状の土砂に変わっていきます。
花崗岩で言うところの「マサ化」がこれにあたり、土木の世界では常識的内容ですよね。(花崗岩は真砂土になります)
JOGMEC用語辞典「風化層」、堆積岩と地層/s-yamaga.jp
知らんかった!って方は絶対覚えておいて下さい!
凍結融解地域であれば、亀裂に入った水が凍るたびに体積が約9%膨張し、岩はさらに割れていきます。
凍結・融解/土木学会岩盤力学委員会

モルタル吹付は熱を吸収する
次が熱です。
吹付前の地山は、草木や転石で日射が一部遮られていますが、モルタル吹付を行うと表面のコンクリートが太陽熱を吸収します。
夏場の吹付面は、触れますが、結構な温度になって熱くなる事も珍しくありません。
岩石を構成する鉱物の熱膨張率は鉱物ごとに違うので、温度差が繰り返されると鉱物境界に微細な亀裂が入っていきます。
これは「熱風化(thermal weathering)」と呼ばれる現象で、日射風化として古くから研究されています
風化/Wikipedia
吹付による加熱が直接的にどこまで風化を加速させるかは現場条件によりますが、
モルタル吹付面は熱を抱え込みやすく、地山がむき出しだった頃よりも熱環境としては厳しくなる方向です。
なぜ土砂が出てはいけないのか
風化で発生した内部の土砂が、降雨の度に水抜きパイプから少しずつ流れ出てくる。それを放置していると、吹付の裏で内部空洞化が進みます。
モルタル吹付は良くも悪くも内部を覆い隠す工法なので、外側からは状態が見えません。
気付いた時には吹付背面に隙間がドサッと出来ていた、というケースも過去の実績でいくらでもあります。
法面協会の指針でも、吹付工には水抜き孔を「2〜4㎡に1箇所以上」設ける事になっていますが、
これはあくまで排水のための数量で、土砂の流出までは制御していません。
山が少しずつ風化して崩れていく事自体は、自然のサイクルとしては正常です。しかし、せっかくモルタル吹付を打っている以上、その内部劣化はなるべく抑えておきたい所ですよね。

マットイン付き水抜きパイプの構造と効果
そこで「マットイン」です。
塩ビの水抜きパイプの内側に、吸出し防止の不織布マットをセットした構造で、水は通すけれど、土砂は通さないという働きをします。
マットインは、これを法面のモルタル吹付水抜き向けに使えるようにした位置付けです。
効果は大きく3方向です。
- 岩盤部:風化した土砂の流出を抑え、背面空洞化を遅らせる
- 土砂部:表層の沈下や陥没を抑える
- 盛土:内部土砂の流出による陥没を抑える
- 使用感:簡単に取れたりズレたりせず、吹付までしっかりホールドで邪魔にならない!
特に、もともと土砂部だった切土法面や盛土法面は、水抜きパイプから土砂が出やすい条件が揃っています。
ここにマットインを入れるだけで、長期の変状リスクをそれなりに下げられる可能性があります。

うちの現場ではすでに標準的に
うちの現場では、すでにヤバそうな現場では標準で使っています。
設計に入っていなくても、私が「ここは入れておいた方が」と思った所には自主的に入れる場面が増えてきました。
意外とこういうちょっとした事が、創意工夫につながっています。
オススメです。
ちなみに設計価格は240円です!
それではまた。
販売は、小岩金網さんか木本ゴムさんです。



