【労災賠償の真実 その1】日本人の命の値段はいくら?世界Top20ランキングで見る安全管理の重み

皆さんこんにちは。エンタです。

今日は少しセンシティブな話を。

人の命の話、しかも「お金で換算するといくらか」という話なので、読んでいて気分が良くないかもしれません。

ですが私たち建設業に関わる人間が、安全管理の本当の重さを理解するには、避けて通れない話です。

日本人が事故で亡くなった場合、いくら賠償されるのか?
そして海外ではどうなのか?

その1とその2の2回に分けて書いていきます。

急斜面でロープ高所作業を行う作業員


日本人が事故で亡くなった場合、いくら賠償されるのか

日本で一般的なサラリーマンが事故や災害で亡くなった場合、遺族に支払われる金額はザックリ「2億〜3億」と言われる事もあります。
ただしこれは、若くて家計の支柱、年収もしっかりあって、相手方の過失が大きい上限ケースの話です。

実務上の裁判基準で見ると、もう少し冷静な数字が出てきます。

35歳・年収450万円・独身男性のケース

  • 死亡逸失利益:約4,587万円
  • 死亡慰謝料:2,000〜2,800万円(裁判基準)
  • 合計:おおよそ6,500万〜7,500万円

37歳・年収600万円で家計の支柱なら、死亡逸失利益だけで約8,232万円。
家族構成・年齢・年収によって1.5倍ほど振れる可能性があります。

「逸失利益」というのは、亡くなった方がこれから定年まで稼いでいたであろう金額。
それに精神的苦痛への慰謝料が乗る、という構造の様です。
(参考:アトム法律事務所 死亡慰謝料・逸失利益解説/2024年版)

家族写真の前に座って涙を流す妻と幼い子ども


世界の「命の値段」を比較する国際指標とは

では海外ではどうなのか?って思ったので調べて見ると!?

国際比較で使われる指標が VSL(Value of Statistical Life/統計的生命価値)です。(アンカー材の名前に似てる・・・)

これは各国政府が「人命1人を救う政策にいくらまで税金をかけるか」の基準値で、

OECDや世界銀行も採用している世界標準の指標らしく、初めて知りました!

我々土木屋からすると馴染みがかなり薄いですが、安全投資の費用対効果を考える時に世界中の政府が使っている数値、

と思えば少しだけ理解しやすいかもです。

OECDが2024年にまとめた277本の研究分析、Viscusi(2020)の所得弾性モデルをベースに、まずはTop20を見てみます。
(この辺はよくわからんので、まるっとコピペ)


世界の命の値段ランキング Top20

順位 VSL(百万USD) 円換算(150円/$)
1 アメリカ 11.8 約17.7億円
2 ルクセンブルク 10.5 約15.8億円
3 スイス 10.0 約15.0億円
4 ノルウェー 9.5 約14.3億円
5 アイルランド 9.0 約13.5億円
6 シンガポール 8.9 約13.4億円
7 デンマーク 8.5 約12.8億円
8 アイスランド 8.3 約12.5億円
9 オランダ 8.0 約12.0億円
10 スウェーデン 7.8 約11.7億円
11 オーストラリア 7.5 約11.3億円
12 ドイツ 7.3 約11.0億円
13 カナダ 7.0 約10.5億円
14 オーストリア 6.8 約10.2億円
15 ベルギー 6.5 約9.8億円
16 フィンランド 6.3 約9.5億円
17 イギリス 5.5 約8.3億円
18 フランス 5.0 約7.5億円
19 日本 4.5 約6.8億円
20 イタリア 4.0 約6.0億円

※ アメリカFEMAは2020年で750万ドル、米運輸省は2021年で1,180万ドルを採用。
出典:OECD(2024年メタ分析)/Viscusi & Masterman(2017)/米運輸省 2021。

日本は19位で約6.8億円。
「えっ日本ってこんなに低いの?」と感じるかもしれません。
ただこれはあくまで政策費用便益分析用の指標で、実際の裁判での賠償金額(先述の6,500万〜1億円規模)とはまた別の話です。

世界の統計的生命価値


日本の安全管理は、実は世界トップクラス

ここまでで、日本人の命の値段は「先進国の中では中位」という事が見えてきました。
しかし、現場の安全管理レベルで見ると、日本は世界トップクラスです。

フルハーネス義務化、新規入場者教育、KY活動、足場点検、有資格者による作業限定、特別教育、リスクアセスメント、職長会議。
海外の現場と比べると過剰と感じる部分すらあります。

特に法面工事は、急斜面でロープ高所作業をする業種です。
親綱を法尻まで垂らす、親綱の括り方なども管理する、親綱や、安全帯の使用開始年月日などなど、
こういった一つ一つの安全管理項目が積み重なって、日本の現場の安全レベルを支えています。

厚生労働省の労働災害統計を見ると、建設業の死亡災害は2014年の377人から2023年の223人へと大きく減少。

指差呼称をしている作業員

過剰と思える管理が、確実に命を救っているという事です。

過剰すぎて安全を重視するあまり仕事しない!って言いそうな勢いですもんねwww

 


では発展途上国ではどうなのか?

そして、なぜこの話が中小建設会社の経営に直結するのか?

世界188カ国全てのランキングと、発展途上国の労災補償の実態、さらに「労災事故で会社は簡単にふっ飛ぶ」という会社経営の話です。

 

それではまた。

「キツい、汚い、気づかれない。でも法面屋、やめらんねぇ!」そしてコッソリ命救ってます!

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