煙たがられる発注者支援業務
以前、『発注者支援業務の裏側』という記事を投稿した際、たくさんのコメントをいただき、施工者側から私たちがどう思われているのか知ることができて非常に勉強になりました。
『黒板持って写真に写ってるだけ』とか『しょせん「虎の威を借る狐」。ろくな知識や経験、資格もないのにつたない経験則だけでごり押し』など、辛辣なコメントをたくさんありがとうございました(笑)。
そんな煙たがられる(むしろ嫌われてる?)発注者支援業務ですが、中でも、今回は工事監督支援業務について、実際にどういった仕事をしているのかを紹介したいと思います。
※あくまでも私が勤める会社の話なので、発注者によってもちろん違いはあります。予めご容赦ください。
発注者支援業務(工事監督支援業務)の業務内容
発注者支援業務共通仕様書、第4編工事監督支援業務より主な業務内容を記載します。(各項目の詳細説明は割愛します)
- 業務対象工事の契約の履行に必要な資料作成等
- 業務対象工事の施工状況の照合等
- 地元及び関係機関との協議・調整に必要な資料の作成
- 工事検査等への臨場
- その他〈緊急事項、臨機の措置等〉
1人当たりの担当工事件数は1件ではない
工事監督支援業務は、大体1人で4~5件の工事を受け持つことが多いです。その中で正副はありますが、メインで仕事を回している場合が多く、1人4~5件担当するので、毎日が目まぐるしい忙しさです。
例えば、変更した箇所の図面データを施工者にもらい、変更図、完成図の作成、数量計算書の確認をしたり、協議資料の作成、発注者からの依頼で施工に関しての調査をしたりと、業務内容は多岐にわたります。
それに加え、別紙として業務報告書、施工状況の把握シート、安全管理シートなど様々なシートを作成して管理技術者に提出・報告し、管理技術者が確認後、提出した業務報告書等を主任調査員(発注者)との打合せ時に報告します。そして、受理されれば出来高になり、部分払い(お金をいただける)となる流れになります。
これだけの業務をこなさなくてはいけないため、全てを完璧にできている人は少ないのではないかと思っています。
他にも、実はこんなことまでやっています
上記で記載した業務以外にも、まだ仕事はあります。それは、地元対応と災害対応です。
地元対応とは、例えば、道路に覆いかぶさるほどの草が生えていて事故を起こしかねない、舗装がボコボコでポットホールができていて自動車が故障してしまう、歩行者が転倒する恐れがある場合などに対応することです。維持工事でも、指示書を出してお願いをすることもありますが、時間外の対応は支援業務で対応することも多々あります。
特に草刈りは厄介です。草刈機を使用してほんの数分で終わらせることもありますが、支援業務なので基本は手鎌で数時間かけて、事故を起こさない程度まで草刈りをしたうえで、維持工事を請け負っている施工者に引継ぎをしています。舗装のポットホールについては、補修材をストックしているので、タンパー(手動転圧)で一時的に補修をして、施工者に引継ぎを行います。
また、災害対応では、震度3以上の地震発生時や台風時に、受け持っている工事の安全確認(現地での点検)を行い、発注者へ報告をします。積雪時は、道路を実際に走り、道路状況の現地点検や凍結防止剤を散布、故障車の移動などをしています。
ただ、地元対応や災害対応はいつ起こるか分からないため、昼夜問わず、常に天気予報と携帯電話を確認しながら待機していることもあります。数年前の台風や大雪の時には、発注者に夜中3時に呼び出され、道路や河川の点検をした思い出もあります。
施工者側からすれば、「こんなのしたうちに入らないだろ」と言われそうですが、実は裏側ではこういった細かな対応もやっています。発注者支援の私たちは、日々こういう些細な対応含め、自分たちの業務を一生懸命やっていることを知っていただきたく記事にしました。
――きっと、施工者の大半が「発注者支援業務は不必要だ」と思っていると思います。変更図面を書かされた、仕様書にないことまでやらされたなど様々な批判的な意見があることを、恥ずかしながら『発注者支援業務の裏側』のコメント欄で知りました。
今回の記事でも、ぜひそういったコメントやご意見をお伺いしたいです。ドシドシお待ちしています。