水抜きボーリング工の効果(民間工事)

皆さんこんにちは。

エンタです。

先日、以前設置した水抜きボーリング工の現場を見に行ったんです。

工事内容としては、民間工事で部分崩壊してて、これ以上崩壊させたくないという依頼でした。

石積み等も特に無く、ただ裸地になっている山です。

上部には竹林。

竹林

雨が降るたびに竹が揺れてコワイと。

そして、濁水が結構あるということでした。

大型の機械は入らない現場でしたが、工法としてはとりあえず鉄筋挿入工と水抜きボーリング工の組み合わせで対応しました。

水抜きボーリング工に関してはJRなどの鉄道各社も多用していますし、こういった小崩壊には一番適しているように思います。


なぜ水抜きボーリング工が小崩壊に効くのか

一般の方向けに少し理屈を。

斜面が崩れる主な原因のひとつが間隙水圧の上昇です。

土の中に水が溜まると、土が滑りやすくなる のは我々業者は常識。

雨水が地中に浸透すると、土の粒子の隙間に水圧がかかります。

この圧力が上がると、土粒子同士が踏ん張れなくなって水が土を浮かせてズルっと。

砂場をイメージしてもらうと分かりやすいですが、カラカラに乾いた砂より、水を含んで飽和した砂の方が崩れやすいですよね。

アレと同じ理屈です。

だから水を抜いてやれば土が踏ん張れる状態に戻る

それが水抜きボーリング工の本質です。

土質力学でいうと、せん断強度はτ=c’+(σ-u)tanφ’で表されます
「道路土工 切土工・斜面安定工指針」

 

水を抜けば有効応力が回復して、斜面が安定に向かう。

効果がテキメンなのは当たり前の話で、メカニズムが明快なんです。

鉄道系の法面防災対策でも水抜きボーリング工は標準的な工法として各社のマニュアルにもしっかり書かれています。

国土交通省の「地すべり防止技術指針」にも盛り込まれており、公共工事での実績も非常に豊富な工法です。


私の設計の傾向:鉄筋挿入工メイン、水抜きボーリング工サブ

水抜きボーリング工

最近の私の設計の傾向としては、まず鉄筋挿入工、そして補助的に水抜きボーリング工が主流です。

なぜかというと鉄筋挿入工が役所に説明しやすいんですよw

ぶっちゃけ言うと私が未熟なため、水抜きボーリング工を数値化して「こういう理論でこうだからこの本数が必要です」とキッチリ説明できない!

コレに尽きます。

鉄筋挿入工は従来工法として役所も理解しやすく、設計計算書もサクッと作って提出できるという強みがある。

民間工事においても、仮に説明を求められた場合に「公共工事での主流工法です」という説明で納得してもらいやすい。

なんなら設計も楽w(これじゃいけないと思いつつも……)

表層崩壊を鉄筋挿入工で地山の強度を上げつつ、

それ以上に土圧が掛からないように水抜きボーリング工で水を抜いてやればなお良いという考え方です。


実際に水がどれだけ出たか

この動画が現地のものです。(施主撮影)

少し見づらいですが、かなりの水が出るようになりました。

法面全面は植生マットで浸食防止を行いました。

植生マットは浸食対策の基本ですが、水が多い現場では表面の保護だけじゃ根本解決にならないので、やはり内部の水を抜いてやることが基本ですね。


水がここまで出るなら、主役は水抜きボーリング工だったのか?

ここまで常時水が出るとなると、感覚的にはメインが水抜きボーリング工、サブで鉄筋挿入工という感じがします。

水抜きボーリング工の効果が非常にテキメンであることは、皆さんもよく知っているはずです。

ただコレを数値で証明して説明するのが私のレベルでは難しい。

設計上の「見えにくさ」が、現場での「明らかな効果」と乖離している。

コレが水抜きボーリング工の歯がゆいところだと私は感じています。(未熟と怠慢なだけですが・・・)

コレを明確に説明出来るのは私が知っている限り太田ジオの太田さん位しか知らない!


民間小崩壊における水抜きボーリング工

民間小崩壊対策での水抜きボーリング工は、基本手堀です。。

公共の場合、削孔径は一般的にφ50mm~φ100mmでストレーナー管(SGP管・SUS管・塩ビ管)を挿入してます。

打込の水抜き工もあるのですが、出来る限り設計通りの施工と考えると削孔が確実だと思っています。

施工背面が狭くても、最低で50センチまでは施工出来ます。


水抜きボーリング工は工法として説明がしづらい部分があるとはいえ、大雨対策としての効果はバツグンです。

今回の現場のように常時水が出るような斜面では、コレを外す選択肢はないと思っています。

私もまだまだ勉強でが、とりあえず水抜きボーリング工は外せない工法だと思っています。

 

それではまた。

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