皆さんこんにちは。
エンタです。
仮設アンカーの撤去について書きます。
本体工事が終わったあとに必ずやってくる工程で、地味ですが工程上のクリティカルパスに乗りやすい作業です。
先に書いておきますが、この除荷から切断、引抜までの一連の流れは、慣れさえすれば元請の直営でも出来る作業です。
我々のような専門業者を呼ぶと相応の費用が掛かりますから、自前で片付ける選択肢もあるんじゃないかと思います。

サンダーで背面を切る理由
除荷はサンダー(ディスクグラインダ)で鋼製受圧板の背面、つまりアンカーヘッドの下側を切ります。
PC鋼より線は基本的にUターン式なので必ず偶数本入っており、理屈の上では半分切った時点で除荷は完了している状態です。
ただ次工程の段取りを考えて、私は全本切ってから鋼製受圧板を撤去します。
人数がいれば後ろから撤去もありです!
ガス切断ではなくサンダーを選ぶ最大の理由は、切断面が綺麗だからです。
PC鋼より線はサンダーの刃が素線1本の半分まで入った時点で、残りが緊張力で自ら引きちぎれる感覚があります。
切断面が綺麗だと、このあとの引抜工程でクサビ型やクランプ型の引抜冶具が素直に咬むのがメリットです。
ガスで切ると断面が溶けて団子状になり、結局そこをサンダーで再カットすることになりがちで、二度手間が発生します。

ガス切断との比較と引火リスク
「ガスじゃないと危ない」と言われる方もいます。ですが私は、現場によってはサンダーの方が安全側だと考えています。
仮設アンカー頭部の周辺にはグリス、削孔油、シース内の防錆油が残っているケースがあり、
酸素アセチレン炎の温度は約3,000℃前後に達するため、油分が一気に発火する可能性があります。
サンダーでも火花が油に当たれば引火する可能性はゼロではありません。
ただし点火源としてのエネルギーはガス炎より小さく、火花の飛散方向もある程度コントロールできます。
切断方法の選択は、頭部周りの油分残量と周囲の養生状況で判断するのが現実的です。
実際アセチレンガスで切断すると90%以上の確率で引火します。
水や消火設備は必須になります。
そして無駄に有毒ガス出ます。
破片が飛ぶ・PC鋼線が弾けるという話
「PC鋼線がサンダーで弾けて破片が飛ぶから危ない」とよく言われます。私自身の30年の経験では、これまで素線が割れて破片として飛んだことはありません。
ただし、PC鋼線は緊張下にあるため、切れた瞬間に「バンッ」と大きな音が出ます。
これは緊張力が一気に解放されて素線が跳ねる音で、慣れていない方は驚かれると思いますw(ガス切断でも切れた瞬間の音は同様です)
音が派手なだけで、素線そのものが破片になって飛散したケースは私の現場では確認していません。
しかし、その上で保護メガネ・保護帽・革手袋の3点は外さないようにしています。
万が一って事もありますから、ここは絶対です!
そして、労働安全衛生規則第117条で研削といしの覆い(砥石カバー)、同第118条で作業前1分以上の試運転(取替時は3分以上)が義務付けられているため、
切断砥石も沢山使用するので現場判断ではなく法令で動かせない部分ですw

切断後の引抜工程と二度手間の回避
切断と除荷が終わったら、あとは抜くだけです。
PC鋼より線を1本ずつ、クサビ型またはクランプ型の引抜冶具で頭部を咬ませて、クレーンまたはバックホウで上方向に引き抜きます。
ここで切断面が綺麗なほど冶具への対応が早く作業時間が明確に短くなります。
サンダーを選ぶ本当のメリットは、切断単体の話ではなく、この引抜工程まで含めた総作業時間の短縮にあります。
もし途中でPC鋼より線が抜けない場合、シース破れによりセメントミルクが付着しているケースが考えられます。
経験的には最大7t(約68.6kN)程度の引張で抜けることが多いのですが、これを超えるとクレーンやバックホウでは反動による転倒リスクが出てきます。
その場合は無理せず、別の引抜冶具や引抜方法を検討する方が安全です。(ジャッキしかないが、BHで荒技も・・・)

元請の直営化を検討しても良い作業
冒頭にも書いた通り、この撤去作業は手順自体は単純です。
鋼製受圧板の裏でサンダーを当てて、半分切れば除荷完了。
あとは引抜冶具で1本ずつ抜く。
専門技術というよりは段取りと安全管理の話なので、元請の直営でも十分に対応できる範囲だと思います。
我々アンカー専門業者を呼ぶより明らかに費用は下がるので、コスト圧縮を考えている元請は一度社内で検討してみる価値があるんじゃないかと感じます。
それではまた。



