皆さんこんにちは。
エンタです。
グラウンドアンカー工や鉄筋挿入工の頭部処理で、キャップの中に防錆油を入れますよね?
あれって石油製品(鉱油)なんです。まぁ知っていると思いますがw
天然由来の原料ではあるんですが、土壌や水に漏れたら分解はされません。(常識!?)
頭部キャップの中に防錆油を入れるのは防食対策として業界では当然の処理で、コレ自体は誰もが知ってる常識。
ただ、その「防錆油=鉱油」がそもそも使えない現場って、実際にあるんです。

油が一滴も許されない現場、それが浄水場
以前、私が経験した現場でメチャクチャ大変なヤツがありましてw
浄水場!
ここ、油が一滴もダメな現場だったんです。
いやいや、機械使うのに油ダメって無理でしょう!?って話ですよ。
が、飲み水を作っている所なので分かります!
絶対ダメですよねw
しかし、そもそも削孔機、コンプレッサー、発電機もろもろ全て油使っています。
それが無きゃ動かない!
グリースアップしないと軸受け一発で焼き付きます。
調べてみると、特記仕様書にはたった一行
「油類使用厳禁」
コレだけw
設計の積算には何も上がっていない。
でも特記には厳禁とだけ書いてある。
メチャクチャや、と思いましたwww

調べたら「生分解性の油」って意外と有るんです
で、イロイロ調べていったら生分解性の潤滑油・グリースって意外と種類がある事が分かりました。
たとえば
・シェル ナチュラーレ S2(油圧作動油)
・NOKクリューバーの Kluberbio シリーズ
・協同油脂のバイオテンプシリーズ
このあたりが代表選手ですね。
海外製品もかなり有って、特に海外の方が一般的のようです。
基油が菜種油やひまわり油などの植物油、または植物油を化学合成した脂肪酸エステル系で、
土壌中のバクテリアによって最終的に二酸化炭素と水に分解。
植物油ベースのものは生分解率がほぼ100%というデータも出ています
(ジュンツウネット21/生分解性潤滑油剤の基礎知識より)。
さらにエコマーク認定にも「生分解性潤滑油剤」というカテゴリがあって、
・油圧作動油
・2サイクルエンジン油
・グリース
・その他の潤滑油
の4項目が対象。
ヨーロッパでは河川で動く建設機械の油圧作動油は生分解性のものを使うように行政指導で義務付けされているくらいで、
日本でも(社)日本建設機械化協会の油脂技術委員会が建設機械用の生分解性作動油の品質・性能基準を出しているようです。
調べて見ると、意外とコレ、一般的にあるっぽいんですよねー。(知っている人はしているw)

施工前に機械の全グリース打ち直し
で、どうしたかというと、施工に入る前に
機械を1度しっかり洗浄して、グリスニップル全箇所から植物性グリースに打ち直し
コレを全箇所やりました。
油圧作動油も生分解性のものに入替え。
ただし、削孔機のハンマー部(パーカッション機構の内部)だけは熱と打撃圧の問題でそのまま既存のグリースを使用しました。
ここを植物性に切り替えると、焼き付く可能性があるんじゃないかと判断したんです。
機械周りには吸着マットを全面敷き。
万が一垂れても、コンクリート・水に触れる前に止める二重対策ですね。
すっごく大変な現場でしたが、こんな経験なかなか出来ないので個人的にはかなり面白かったですw

とにかく高い、生分解性!設計変更まで
ただね、生分解性の油・グリースってとにかく高いんです。
ビックリする位高い!!
体感ですが通常の鉱油系の数倍はします。
コレが当初から設計に積算で上がっていれば何の問題も無いんですが、設計には特に指示なく、特記仕様書に「油厳禁」とだけですからw
結局、油の選定資料を作って、機械のグリース全部打ち直す施工費も含めて設計変更に持って行きました。
元請も、うちも、儲けとしては何やってるか分からない感じでしたが、結果的には勉強になった現場でしたね。
こういうのは黙ってやると会社の体力削るだけなので、
根拠(エコマーク・建設機械化協会の基準・浄水場というロケーション)を揃えて、
堂々と設計変更を申請するのが正解だと思います。
逆に役所やコンサル側も知っていても良い様に思います。
頭部処理キャップの中身も「植物性グリース」に
で、肝心の頭部処理ですが、
浄水場自体の浮止めのグラウンドアンカー(揚圧力対策ですね)の頭部キャップの中には、万が一漏れても影響が出ないように植物性グリースを充填しました。
さらにキャッピング部分はコーキングでガッチリ2重・3重に止水。
よっぽどの事が無ければ、油が漏れる可能性は低いんじゃないかと思います。
正直、頭部処理の防錆油1つでもこれだけ深い話があるんだなぁと、当時の私はかなり勉強になりました。
仕様書に「油厳禁」とだけ書く設計者の皆さん、生分解性の油・グリースは別物として積算に上げてあげて下さい。
現場が泣きますw
それではまた。



