皆さんこんにちは。
エンタです。
機械播種施工による植生工の種類と特徴
| 項目 | 種子散布工 | 客土吹付工 | 植生基材吹付工 |
|---|---|---|---|
| 施工方法 | ポンプを用いて基盤材を1cm未満に散布 | ポンプまたはガンで客土を厚さ1~3cmに吹付 | ポンプまたはモルタルガンで植生基材を厚さ1~10cmに吹付 |
| 使用材料 | 基盤材 | 木質繊維、黒ボク土など | 人工土壌または有機基材(土・木質繊維・バーク堆肥・ピートモス等) |
| 浸食防止剤・接合材 | 粘着剤、被膜剤 | 粘着剤、被膜剤、合成樹脂、繊維 | 高分子系樹脂、セメント、繊維 |
| 植物種子 | 外来草本・在来草本・木本(先駆植物) | 外来草本・在来草本・木本 | 外来草本・在来草本 |
| 肥料 | 高度化成 | 緩効性(山型)、PK化成、高度化成(草本適用) | 緩効性(山型)、PK化成、高度化成(草本適用) |
| 補助材料 | 繊維網・金網・むしろ・編柵 | 繊維網・金網・むしろ | 繊維網・金網・むしろ |
| 耐降雨強度 | 約10mm/hr | 約10mm/hr | 10~100mm/hr(使用接合材による) |
| 効果持続期間 | 1~2ヶ月程度 | 1~2ヶ月程度 | 1年~10年程度(基材・接合材による) |
| 適用地質 | 土砂(土壌硬度23mm以下) | 左記+礫質土 | 左記+岩盤・モルタル吹付面 |
| 適用勾配 | 1:1.0より緩勾配 | 1:0.8より緩勾配 | 1:0.8より緩勾配 |
| 備考 | ・肥料分の少ない土質では追肥管理が必要 | ・草本導入時は追肥管理が必要な場合が多い | ・草本導入時は追肥管理を要する場合あり ・滑落しない工法・基材・接合材を使用 |
出典::contentReference[oaicite:0]{index=0}(H11.3 p.223)
植生工の種類と特徴をだしましたw
今回のこの中の種子散布工です。
種子散布工(種子吹付工)って今後、発注工種として必要なのか?ってずっと思ってるんですよねw
結論から言うと、単体発注としての種子散布工は、正直もう役割を終えつつあると私は感じています。
そもそも種子散布工ってどんな工法?
種子散布工(客土吹付工含む)は、ハイドロシーダーと呼ばれる専用機械に種子・肥料・ファイバー・保水材などを混ぜて水と一緒に法面に吹き付ける工法です。
道路公団系の設計書ではA吹付・B吹付という区分で呼ばれることもあります。
基本的な考え方は「種を飛ばして緑化する」。
コレだけです。
単価は㎡当たりで計上されますが、実態は業者レベルで現在1㎡あたり100円〜200円台というレベル。
4tトラックが必要で、材料積んで現場入って、ホース引いて吹いて・・・
安い、早い、うまい・・・・(牛丼か!?)
やってられるか!って話ですわw

まぁ頼まれればやるんですけどねw
ハイドロシーダーを買うとどうなるか
まず機械代から整理します。
ハイドロシーダー本体:1,000万円
5年ローン・年間稼働日数30日(ざっくり月2〜3日稼働の現実感)で割ると、
1,000万 ÷ 5年 ÷ 30日 = 約66,700円/日
これがハイドロシーダーを動かすだけでかかる資本コストです。
毎日稼働するわけじゃないし、年30日って少ないように見えて、専業でない限りコレくらいが現実です。
ここに人件費と車両・材料を乗せます。
【1日のコスト試算】
・ハイドロシーダー(資本回収):66,700円
・人件費:35,000円 × 3人 = 105,000円
・4tトラック:20,000円
・材料費(4,000m²まで一律):100,000円
合計:291,700円/日
あくまでも最大コストだと考えて下さい。
コレが現場に出るだけでかかるお金です。

愛知県単価で計算してみる
愛知県の種子散布工の設計単価は250円/m²(基準)。
設計数量による割増率がありまして、(積算上)
・1,000m²以上:割増なし(0%)
・500m²以上1,000m²未満:15%割増 → 287.5円/m²
・250m²以上500m²未満:25%割増 → 312.5円/m²
・100m²以上250m²未満:45%割増 → 362.5円/m²
・100m²未満:60%割増 → 400円/m²
小さい数量ほど単価が上がる仕組みです。
ただ現実には少量案件ほど儲かりそうに見えて、実は一番ダメってことが分かります。
仮に500m²(500m²以上帯:287.5円/m²)を施工したとすると、
287.5円 × 500m² = 143,750円の売上
対してコストは291,700円。
差し引き▲147,950円の赤字ですw
出動しただけで15万近く飛ぶという悲惨な現実。
なので見積が当然高くなるのは必須ですね。

損益分岐点は何m²か
コストは数量に関わらず基本固定です(材料費は4,000m²まで一律10万の条件)。
なので計算はシンプル。
291,700円 ÷ 250円/m²(割増なし単価)= 約1,167m²
つまり1日に1,167m²以上施工しないと、機械を動かしても赤字ということです。
ポイントは1,000m²以上帯は割増がゼロになることw
売上単価は最低の250円/m²で固定されるわけです。
各施工数量別に整理するとこうなります。
| 施工数量 | 設計単価 | 売上 | コスト | 損益 |
|---|---|---|---|---|
| 500m² | 287.5円 | 143,750円 | 291,700円 | ▲147,950円 |
| 1,000m² | 250円 | 250,000円 | 291,700円 | ▲41,700円 |
| 1,167m² | 250円 | 291,750円 | 291,700円 | ≒±0(損益分岐) |
| 2,000m² | 250円 | 500,000円 | 291,700円 | +208,300円 |
| 4,000m² | 250円 | 1,000,000円 | 291,700円 | +708,300円 |
4,000m²を1日で施工できれば約70万円の粗利。
コレが理想の姿です。

じゃあ現実はどうなのか
問題は、1日1,167m²以上を安定的に確保できるかという話です。
法面工事の種子散布って、大量施工が発生するのは新設の大型道路や宅地造成の末期フェーズ、砂防や治山の大規模工事あたりです。
小規模な補修工事や維持工事ではまず出てこない。
しかも近年の傾向として、
・大型工事は減少傾向
・発注単位が小口化している
・市場単価での叩き合いが続いている
こんな環境の中で月30日分のフル稼働を確保するのは、正直かなりしんどいです(専業じゃない限り)。
仮に月10日しか稼働できなければ、
1,000万 ÷ 5年 ÷ 10日 = 200,000円/日
の資本コストになる。
人件費・材料・車両を加えると1日のコストは425,000円を超えます。
こうなったら損益分岐点は1,700m²/日まで跳ね上がる。
メチャクソ現実が厳しくなるw

種子散布工の役割が終わりつつある理由
技術的な話をすると、種子散布工(ハイドロシーディング)はコスト最安の緑化工法として長年使われてきた。
でも現実問題、
・緑化よりもモルタル吹付で防草対策(JR等の予算で草刈りに50億とか!!?)
・少量施工での採算性が年々悪化している
こういった要因が重なって、種子散布工の出番が確実に減っています。
現場で実感してる人も多いと思いますが、
「あの現場の緑化、種子散布じゃなくて植生マットになってたな」
コレが増えてきてる。
材料費の観点から言っても、ハイドロシーダーに投入するスラリー(種子・肥料・繊維資材)の単価は上がってますし、
材料価格の高騰が採算をさらに圧迫している状況。
1,000万の機械を買って採算に乗せるのに必要な施工量の確保が、年々難しくなっているというのが実態です。(これはどの工種も同じ)

数字は嘘をつかない
感覚ではなく数字で判断する。
コレ、土木の現場で一番大事なことだと思います。
「なんとなく種子散布工をやってきたから」「機械があるから受注する」ではなく、
1日何m²施工すれば元が取れるかを把握した上で動けるかどうか。
今回の条件で言えば答えは明快で、1日1,167m²以上を安定確保できるか?
コレができないなら、正直ハイドロシーダーを持つ意義は薄くなりますよね。
種子散布工の市場が縮小している中で、工法の役割を冷静に見直す時期に来ていると私は思っています。
種子散布工の役割は終わったのではないか?って
植生シート・マットに変更して(最初から選択しない方向)行っても良い様に思います。
その方が下請としても、元請に残せるし下請も儲かると思います!?
皆さんの現場ではどうですか?
それではまた。



