施工の神様

発注者だからって気を使いすぎて、むしろ現場に支障がでてない?(施工の神様より)

発注者に気を使いすぎていないか?

土木工事の場合、工事を受注すると、発注者は高い確率で公共であろう。担当者が決まり、基本的に工事期間中はその担当者とやりとりをしながら工事を進めていくことになる。

そんな中、発注者に対して気を使いすぎではないか?と思うことが多々ある。

言うまでもないが、発注者はお客様である。発注者の求める品質を確保して、工事を納品することが我々施工管理技士の大きな目標である。その中で、発注者をお客様と意識するあまり、気を使いすぎて逆効果になっているなと感じることが多い。

まず、発注者=お客様というのは少し考え方としてズレているとも感じている。建築などで言えば、住宅を購入したお客様が存在して、そのお客様の満足いく品質を確保することが求められる。

しかし、土木の場合、確かに発注者はお客様ではあるが、発注者の目的は、設計書通りの施工を行うことだろう。つまり、気を使うとはいってもどこに気を遣うのかが重要だと感じる。

気を使いすぎて失敗する例

では、具体的にどのような失敗例があるのか見ていこう。

多いのは、打ち合わせや書類関係ではないだろうか。工事が始まると、発注者とは基本的に工事打合せ簿を通じてやり取りを行なっていく。工事打合せ簿の提出は、事前に書類の整合を確認して行うことも多い。

一度確認してもらい、その回答の対応によって最終的な提出を行うわけだが、発注者の中には、回答が遅い人も当然存在する。

そういった時、本来であれば催促電話やメールをすると思うのだが、相手を急かすことに気が引けてしまいあまり催促できず、1日中待っていたが回答が来ず、結局次の日に電話した、などという経験はないだろうか。

これこそ、気を使いすぎて失敗している代表例ではないだろうか。その日に電話して回答がもらえれば済んだ仕事が、結局次の日に先延ばしになってしまっている。

発注者も複数の工事を掛け持ちしている場合も多く、頭から飛んでしまっている場合もある。催促をしても回答をすぐにもらえるとは限らないが、気を使いすぎず催促していかなければ工事が進まなくなることもある。

回答待ちで現場を止めない

なぜ私が、”発注者に対して気を使わずにある程度催促すべき”と言っているのかというと、それは「現場に支障がでる」からだ。

回答待ちで仕事を先延ばしにしていると、忙しいタイミングで逆に発注者からの催促が来ることもある。これは最悪の例だ。回答待ちにしておいた書類を逆に催促されるようでは、施工管理技士として問題ありだ。

確かに、何回も電話するのは気が引けるかもしれない。でも、そこは工夫をして2時間空けて電話する、別の用事で電話したように見せかけて催促する、回答が返ってきそうにない雰囲気ならば率直に今日中に回答が欲しい旨を伝えるなど、方法は色々ある。

発注者に嫌われたらどうしようと考えてしまうかもしれないが、そこは言い方を工夫すれば良い。私が催促電話の時に意識したのは、名前を呼ぶことだ。

「○○さん、例の書類の確認はどうですかね?」「○○さん、今日中に回答していただければすぐに書類提出できると思います」といった具合に、とにかく名前を呼ぶことを意識した。これだけでだいぶ印象が変わる。現場を止めないために、些細なことから始めると良いだろう。

――発注者との信頼関係は確かに重要だ。しかし、信頼関係は、気を使いすぎることで生まれるものではない。お互いの意思疎通が大事である。最適な方法を提案し合い、良い仕事ができた時、信頼関係が生まれるのだ。

自分の我を通しすぎるのは良くないが、何も言わないのはもっと危険だ。施工管理技士として、どんな相手に対してでも、しっかりと催促できる人間になろう。

 


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