技術者が言ってはいけないNGワード (施工の神様より)

施工の神様

絶対に使いたくない言葉

技術者として、絶対に使いたくない言葉があります。それは「無理です」という言葉です。

みなさんは理不尽な要求に対して、どのような対応をしていますか。こちら側にとっては理不尽と思える要求も、相手にとっては希望です。

無理な物は無理、そう答えたくなる気持ちはわかりますが、その理由を説明せずに「無理です」とだけ伝えるのは、相手に誤解を与え、自分の技術力を低く見せてしまう行為だと思います。

例えば、オーナーから「このドアをガラス製に変えられないか」と依頼されたとして、即座に「無理です」と答えるのは技術屋としていまいちだと思うのです。

きっと「無理」には理由があっての「無理」なはずですよね。理由がある上で「これらの条件をクリアすれば可能ですが、どうされますか?」と選択肢を提示する姿勢が、技術屋だと思うのです。

例えば「予算が大幅に増えます」、「構造的に補強が必要で壊す必要があります」、「工期が伸びます」など、無理だと思っていても明確に理由を提示し寄り添うべきでしょう。

このとき大事なのは、相手の要望の裏にある“意図”や“目的”をきちんと汲み取ることです。「ガラスにしたい」と言われた背景には、視認性やデザイン性の向上、安全性への配慮といった理由があるかもしれません。

それを無視して単に「できません」と突き放すのではなく、目的に合った別のアプローチが取れないかを考える姿勢が、信頼につながるのだと思います。

「この家具を5センチ空中に浮かせてほしい」という要望を例に考えてみましょう。家具を宙に浮かすなんて、魔法使いにしかできませんが、浮いているように見せるならできるかもしれません。「上から吊るす方法」や「透明な支えを使う」など、現実的な代替案を示すことで、前向きな印象を与えられるでしょう。

「どうしたらできるか」を考える

代替案を出すという行為自体が、相手に「この人は本気で考えてくれている」と思わせる力を持っています。実現できるかどうかにかかわらず、まずは一緒に考える姿勢を見せることで、信頼関係は深まりますし、自分自身も新たな発想や学びを得られることがあります。

もちろん、実現が非常に困難な場合もあります。その際は「現時点の技術では難しい」「専門家に確認が必要」といった表現で、相手に現実的な対応を伝えましょう。

やったことがない=「無理」ではないですし、自分だけの力ではどうしようもならないことも、他の専門家や技術を活用することで実現できる可能性があることもあります。

簡単に「無理です」と言ってしまうのは、議論を止めるだけでなく、相手の要望を否定し、自分の知識や技術力への信頼を損なう結果になりかねません。言葉一つで相手の印象や信頼感は大きく変わります。施工管理においては、コミュニケーション能力が重要であり、不安を取り除きながら話を進めることも、立派な技術なのです。

現場では、設計者や職人さん、発注者など、多くの立場の人と会話しながら進める必要があります。だからこそ、丁寧な言葉選びと、前向きな対応が不可欠です。

「どうしたらできるか」を考える姿勢が、チーム全体の士気を高めることにもつながっていくと感じています。技術者としての誇りを守っていきましょう。

 

施工の神様

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