廃れ続ける建設業界
最近の建設業を取り巻く環境は、非常にネガティブなものです。それは、土地に固着して物理的な仕事をしていかなければいけないという特殊な業態が原因です。
どんなにインターネットが発達しようと、ITが整備されようと、土を掘って基礎をつくらなければ成立しないという構造が、進化のスピードを鈍化させているのだと感じます。
つまり、現状はどうしてもマンパワーの業界であり、ロボットが進化してこない限り、圧倒的な進化は遂げづらい環境なのです。
とはいえ、少子高齢化のこの現代と、ITにシフトしてしまっている現状を踏まえると、人手がなかなか寄り付かないというのも言えますよね。でも、まだまだ職人の腕を活かして、建設業は成り立っている現状は変わりません。
「人が入ってこない」「入ってきてもすぐに辞めてしまう」
業界の中にいると、そんな声があちこちから聞こえてきます。ですが、ただ嘆くだけでは何も変わらないということは、この10年以上でわかってきたのではないでしょうか。
ちょっと難しい感じで書いてきましたが、それでも「衣食住」の一角を担う業界として、廃れてはいけないのも事実です。つまり、技術をきちんと継承していかなければ、人々の安心と安全は守られないのです。
建設業が生き残る方法は「たった2つ」
では、どうすればいいのでしょうか。結局のところ、答えは2つしかありません。
- どうにかして人手を増やす
- 人手が少なくても問題ないシステムを作る
わかりますよね。何をどう頑張っても、この2つの方法以外にはあり得ないのです。
1の方法は、今までずっとやってきました。僕が建設業界に入社した18年前、多くの職人さんは僕に言いました。
「お前らの時代は大変だな。職人が減っていくから」
それから18年たった今も、職人さんはこう言います。
「お前らの時代は大変だな。職人が減っていくから」
要するに、状況は何も変わっていないということです。年数が経っている分、むしろ悪化しているのです。
結局のところ、わかってはいたが何もしていなかった。もしくは、動いているつもりではいたが、有効な手を打てなかったということになるのです。
時代遅れの会社に若者は寄り付かない
1の施策として、どんなことをやっているのでしょうか。多くの先進的な企業はSNSを活用して認知を広げ、新しい取り組みをアピールし、待遇を改善して人材を獲得しています。
そんな中、ハローワークに募集を出し、誰も見ない看板を設置し、新聞に公告を出している会社も少なくないわけです。そして一言。「ほら、誰も来ない」と嘆く。
2の施策については、先進的な会社は現場以外の業務を自動化してコストを削減し、多能工によって仕事の安定化を目指し、クラウドツールの整備によって移動時間などを削減しています。
そんな中、最近ようやくガラケーからスマホに切り替えたというレベルのIT化をし、FAXと電話が主流な会社も少なくないわけです。書類は全て郵送によって送られてきます。
今までやってきたことを否定するつもりはありません。ただ、時代が進んでいるにもかかわらず新たな取り組みをしないでいる会社を見て、若者が「入りたい!」と思えるかが重要です。僕なら入りたくないです。
そもそも、「建設業に入りたい」と思ってもらえる人数自体が減っているということも受け入れ、少しでも効率的に働ける環境を模索し、生産性を高める努力をしていかなければ、遅れていってしまうのは当然の話なのです。
「建設業は土地に根差す業界。IT化なんて無理だ」と、本気でそう思っている人も少なくありません。それじゃあ廃れちゃいますよ!?そこに危惧を感じます。もちろん、できないこともあるでしょう。でも、できることもありませんか?
少なくとも、若者にとって魅力的な会社でなければ、今は良くても未来はありません。なぜなら、未来を作るのは若者だからです。そんな若者の目線に立つことができない会社は、発展もないと知るべきだと考えます。