施工員の給料アップと週休二日を実現するのは簡単だ!
給料が思ったように上がらないのは、現在活況が報じられている建設業界でも例外ではない。これまでも建設現場では工事単価が落ち込むと同時に、施工員たちの給料も削られてきた経緯がある。
しかし、施工員の給料が上がらないのは、単に工事単価だけの問題ではない。はっきり言って、もっと発注者や工事に関わる担当者、コンサルたちの理解があれば、施工員の給料を上げる事はそんなに難しい話ではないのである。
施工員の考える施工方法を少しでも取り入れろ!
私は施工管理技士として現場に着手し、施工員たちと仕事を進めていると「なんでここはこういう施工方法なんだろうね。もっとこうした方が早くて安く済むのに」といった施工員からの愚痴をよく聞く。そして施工員の発言はだいたい的をえている。
例えば、法面のフェンス基礎の施工だ。私が現場監督を担当している地域では現在、法面工のフェンス基礎設置工は一個の設置で@500円だが、フェンス基礎設置に人工を3人も4人もかけていたら、この工種だけでは当然赤字である。
施工員の方々はいつも決まって「ボイドにしてくれれば良いのに」と言う。確かにそうだ。ボイドでフェンスを据えるための穴を確保できれば、何の問題もない。設計上ボイドでも問題のない現場は非常に多い。
実際、私はこの案を県の発注者にも相談したことがあるが、あまりいい顔をされず、結局、フェンス基礎の設置に至った。
工種でのコスト削減なくして、施工員の給与アップなし!
結局、工種での小さなコストを削減していくことこそ、施工員の給与アップにつながるのではないか?
むろんコスト削減を提唱しすぎて、構造物の品質管理に問題が起きてはいけないが、従来の施工方法による構造物の強度を、別の施工方法で実施することは十分可能である。
上述したフェンス基礎に関してもそうだが、私が特に最近疑問に思っているのが、水路のU字工の製品についてである。私が好んで注文していたベンチフリュームについて最近、小さな現場でも角フリュームに変更して施工しなさいという指示があった。大きな設計の現場なら分かるが、小さな排水路の設計でベンチフリュームを使用してはいけない理由が私には理解できない。
ベンチフリュームで施工しておけば、後のメチ塗と呼ばれる作業がなくなるため、施工員のコストを考えても確実に利益も上がる。そうでないのであれば、メチ塗に掛かる人件費と工事費を補填してほしいと言いたくなる。
施工員のアイディアで所得を増やすことは悪い事か?
こういった小さな積み重ねは、いわば企業努力だ。品質管理に問題があるような施工方法は決してして許されないが、コストが安くなり、強度も変わらないのであれば、その施工方法や材料を選定するのがビジネスならば当然だ。それが難しいというのなら、私たち建設現場で携わっている人間からすると、明確な理由を説明していただかないと納得できない。
建設業は儲かってはいけないとでも言うのか?単純に役所から「決まりなので仕方ない」と一点張りの説明をされて、どうして納得しろというのか?施工員の給与を上げるためには、こういった考え方はこれからますます必要になるはずだ。
今後も私たち現場の声を発信していかなければ、工事単価もどんどん削られることは間違いない。工事単価の見直しをじっと待っているのではなく、私たち自身が現場で考え行動し、工事関係者や国に訴えていく必要がある。利益を出すために必要な素晴らしい施工員のアイディアが、問答無用で全て却下されるのは絶対におかしい。
施工員の所得が増えれば「週休二日」も実現できる
今、建設業界の各団体は「週休二日」を現場に根付かせようと必死だが、多くの施工員は「休みが増えても給料が減るから賛成できない」という意見だ。国土交通省も明確な解答を見出せていない。
しかし、現場のアイディアで利益を出し、給与所得が増えれば、その意識も変わってくる。週休二日になってほしいという願いは決しておかしい事ではない。むしろ建設業界に従事する技術者、技能者の人生をより豊かにしていくためには、プライベートの充実も課題だ。そうしなければ若手の確保も難しい。
週休二日の実現、そして所得アップのためには、お上の言いなりになるのではなく、現場で自ら考え行動する時代が来たのではないだろうか?そして週休二日の実現を標榜しつつ、それを阻止しているのは「決まりなので仕方ない」と一点張りの説明を繰り返す発注者側なのではなかろうか?