建設コンサル会社の人材の問題点
前回、『建設コンサルから見た、建設コンサル会社の問題点』の記事を書かせていただきました。
思いのほか掲示板が盛り上がっていたので、今回は建設コンサルタント会社、特に弊社に関する人材の問題点をつらつらと書かせていただきます。
皆さまの忌憚のないご意見やご批判をいただけましたら幸いです。なお、一部表現が不適切な点もございますが、軽く流して読んでいただければと思います。
担当者の能力とやる気に左右される
業務を受注したら当然、業務の主担当が誰かしらに割り当てられると思います。私の会社は上下水道をメインとした建設コンサルなので、技術士(上・下水道)もしくはRCCM(上水道及び工業用水道・下水道)資格を保有している方が必然的に管理技術者となります。
しかしながら、実際に業務を主体的に行うのは、資格を持っていないがある程度経験を積んだ社員、もしくはそのような社員の手が空いていなければ、管理技術者が自ら業務を行う流れとなっています。当然、経験値や能力、やる気によって成果品の出来が変わってくるのは、皆さまの想像のとおりです。
私の所属している会社は、曲がりなりにもISO9001の認証を取得しておりますので、成果品の品質にバラツキがあってはいけないのですが、担当者の裁量でどうしても品質にバラツキが出ているように見受けられます。
発注者側の監督官や検査官が、建設に対して知識・技能を保有していれば指摘されそうな点も見逃されていることが多く、そのツケは工事受注者に回されていることが多いです。なぜなら、一部の担当者に対して工事開始後に発注者から問い合わせが多いことこの上ないからです。
結局、業務を担当する人間の能力とやる気によって左右されるのではないか、と思わざるを得ません。
弊社の困った管理技術者たち
上記で述べた弊社の管理技術者は、以下のような人たちです。
- 資格は持っているものの、仕事に対するやる気はない状況で管理技術者に充てられ、仕事は下に丸投げ、できたものをチェックせずに受注者に成果品としておさめる困ったオッサン
- やる気もあり、最近資格を取得したものの指示が細かく、逐一自分でチェックしないと気が済まない。ただし、業務量と能力が追いつかないので日に日にストレスがたまり、部下の作成した資料の間違いを見つけるとネチネチと執拗に責め続けるオッサン(そんなことしている暇があったら、修正の指示をして仕事を進めたほうが効率的…)。また、細部にまでこだわりを追及するあまり、資料の文書が長く非常に読みにくい。
ともに管理職の社員ではありますが、どっちもどっちなような気がします。
私は、1のオッサンの系列の部下なのですが、基本的に自分からは一切動かず、かといって一切指示も出さないし、自分から仕事をするわけでもないため、自分で考えて分からないことはメーカーに電話をして聞くようにしています。また、逐一、進捗状況をこの上司にメールもしくは書面で渡しています。
それにも関わらず、上司のオッサンは私のメールや書面を読んでいないらしく(嘘か誠か分かりませんが、本人曰く、確認しているとのこと)、週1回の管理職会議では、進捗状況を報告できていないようです。
自分で直接取り組んでいる業務ですら、管理できていないので当然ですが…。最近の会議では、なぜかヒラの私が呼ばれ、説明するという面倒くさい状況となっています(怒)。
いずれは、周りの社員のモチベーションを下げる要因となることは間違いないでしょうし、中小企業となると配置転換も難しいので、結局、全般的なクオリティーが下がってくるのは自明です。現に弊社では、人間関係が理由で退職した人が多いようです。
組織や仕事の弊害となる人材
ここで私は、自衛官となって何年か経った際に上司から出された、とあるクイズを思い出しました。人材育成関係の本などをお読みの方は、ご存じかもしれません。
「組織を潰す、もしくは仕事の弊害となる人材は次のうちどれか分かるか?
- やる気があって能力がある人間
- やる気があって能力がない人間
- やる気がなくて能力がある人間
- やる気がなくて能力がない人間
さて、どれだ?」
当時の私は、質問の意図が理解できなかったため、答えが分かりませんでした。単純に考えたら、4の人間が一番仕事をしないだろうと考え、「4です」と答えました。上司からの答えはこうでした。
「残念!正解は2だよ。やる気があって能力がない人間は、簡単に言うと、周りから認めてもらいたいという欲求を持っている。しかし、能力がないからなかなか上司も含め周りの人間から褒めてもらえない。すると、嫉妬心に近いものを自分より評価の高い同僚に持ち始める。
そこで、仕事をたくさんこなすことが評価につながるという、短絡的な発想にたどり着く。確かに、仕事をたくさんこなせれば評価は上がるだろう。しかし、能力のない人間は、仕事をたくさん抱えたままで処理しきれなくなり、その責任を周りに押し付けてくる傾向が強い。特に、締め切り間近に爆発されると被害は大きい。
君の言うとおり、4の人間も組織にとっては不要な人間だろう。ただし、やる気がないから仕事をしないので2の人間ほど周りに迷惑も掛からないし、同僚に対しても嫉妬心もないから無害な人間となる。仕事をしないことは確かに問題だが、組織を壊すようなところまでは至らないんだ。」
当時の上司の話を、今の勤務先で改めて考えてみました。
自衛隊や大手の建設会社のような大きな組織であれば、4に該当する人間について多少は許容できるかもしれませんが、うちの会社は技術者が15名程度の会社です。
そこに、2と4に該当する管理技術者が1名ずつ存在する時点で、職場の雰囲気や仕事の分担具合等がどうなっているか、皆さまなら容易に想像できるでしょう…。
皆さまの会社はどうですか?
完全に内輪話となってしまい恐縮ですが、似たような会社は他にも多いのではないかと、個人的に日々の業務の付き合いで感じるところがあります。
どのような仕事でも、結局は人間関係という要素が仕事の質や量を左右することは間違いないと思います。このような困った人たちをどうにかするには、経営者の姿勢にかかっているのではないでしょうか。
建設コンサルタントに勤務されている方や、事務所中心で業務をされている方々、皆さまの会社ではいかがでしょうか?
施工の神様より