キックバックや過剰接待は実在するのか
「建設業界って、キックバックや過剰接待が日常茶飯事に行われているとよく耳にするけど、実際どうなの?」
業界で働いていない人間に、こんなことをよく尋ねられるようになった。そのたび、私は心の中で「建設業界ってそんなイメージなんだ・・・」と残念な気持ちになる。
そういった行為は実在するのか?
結論から言おう。余裕で実在している。
私自身が直接見たことはないが、そういった話はよく聞く。特に地方や田舎のほうが、仕事を取るためにいまだそういったことをしている人間が多いようだ。
過剰接待の実情
仕事を取るために、元請け会社の重役に過剰な接待を行い、下請けとして工事に参加させてもらうといった話はよく聞く。
実際に、つい先日もスーパーゼネコンの過剰接待が暴露され、建設業界では非常に話題になった。
接待の内容も、キャバクラや高級風俗といったかなり悪質な内容だったが、地方の過剰接待も似たようなものである。接待の内容は、キャバクラや風俗といった夜の遊びで接待するのが実情だ。
キックバックの実情
接待とは違い、現場監督や重役が直接的に金銭を懐に収めるキックバックは、実際どのようにして行われているのだろうか。
実際に業界人に聞いた話によると、現場請求書にキックバック分の経費を上乗せした金額を記載して提出するそうだ。他にも、田舎になれば、現場に直接現金の入った封筒を持参し、現場事務所で渡すといった取引もあったらしい。
結局、下請けが元請けの人間に現金をキックバックしたところで、使途不明金としてお金の行先を追及されそうなものだが、そういった大胆な取引もあったらしい。
キックバックの具体的な金額は、現場監督へのキックバックで大体50万円、元請けの重役へのキックバックとなると数百万単位の金額だそうだ。
まったく、映画やドラマのような話である・・・。
現在も業界に蔓延る不正行為
不正行為自体は、絶対に今も行われていると私は確信している。というのも、実際に話を持ち掛けられた経験があるからだ。
私は一応、元請け会社の現場監督だ。知り合いの土木会社から、「キックバックするから、うまいこと仕事を振ってもらえないか」と頼まれたことがある。
勿論、お断りさせていただいたが、それでも身近にこういった取引がされていることを改めて実感し、少し怖くなった。
その他にも、入札などの際に、市役所の担当者とつながって、裏金を使い、不正に工事を入札するといったことも聞いたことがあるが、これに関しては定かではない。
結局、共通して言えることは、不正に仕事をもらったところで、長くは続かないということだ。
キックバックを受け取れば、受け取った側も癖になり、続けてキックバックを要求し続けるようになる。下請け業者も、毎回キックバックや過剰接待を行っていては、当然経営も圧迫していくだろう。
また、なにかトラブルがあった時に、すぐに反感を買いやすい。何かの理由で、下請け工事に一回でも入ることが出来なかったら、「キックバックをしているのに」と反感を買い、最悪の場合は暴露という事態に発展する。実際に、大手ゼネコンの不正取引発覚もこういったことが原因だった。
一瞬の欲のために、人生を棒に振ることのないように、長い目で取引をしていくことが非常に重要だ。当然だが、周りでそういった取引が行われても、絶対に関与してはいけない。