皆さんこんにちは。
エンタです。
グラウンドアンカー工における緊張管理の手順を書いてみようと思います。
■ 緊張管理の目的
グラウンドアンカーの緊張(引張り)作業は、設置したPC鋼線に緊張力を与え定着部を通して地盤に力を伝達できているかを確認。
必要な引張力(設計荷重)を正確に地盤に導入するために行われます。
設計で要求される性能に対して、実際に造成されたアンカーがこれを満足する品質を有するかどうかを判定するために行う。
設計で要求される性能とは、設計アンカー力に対して十分で安全であり、具体的には設計アンカー力以上の大きさの力に耐えられること、
適性な荷重-変位量関係を有すること。
試験は、使用した材料の品質、施工の品質、造成されたアンカーの品質を確認し、当該アンカーを供用して良いかどうかを判定するために行われます。
■ 手順(施工管理上の流れ)
手順 | 内容 |
---|---|
① 仮設および準備 | アンカー設置後、緊張用設備(緊張足場、ジャッキ一式、ダイヤルゲージ等)をセット |
② 初期緊張(予備緊張) | 設計荷重の10〜20%程度でジャッキアップし、PC鋼線の弛みを取る。伸び計測開始。ココでゼロセット(ココの読値を基準) |
③ 緊張段階 | 初期荷重から5段階程度載荷する。荷重に応じて最大10段階で載荷していく(例:初期→20%→40%→60%→80%→100%) |
④ 所定荷重への緊張 | 設計荷重までジャッキで緊張し、荷重保持時間(1〜10分)載荷中に荷重減少がないか確認 |
⑤ 荷重・変位測定 | 所定荷重時に荷重、変位計から伸びを読み取る(変位量はジャッキヘッド) |
⑥ 許容値との照合 | 以下の確認を実施: ・変位が適切(過剰な伸びがない)(段階最大荷重ー初期荷重)の時の伸びを知っておく ・伸びすぎる→抜けている可能性 ・伸びない→自由長にグラウトが!?(この場合1度設計荷重まで一発で引張るとグラウトが壊れ正常に戻る可能性) |
⑦ 定着 | 緊張荷重を保持したまま、定着用ナット等で固定し、ジャッキを外す(セットロスをどうするか?を考えておく) |
⑧ 記録 | 記録表に荷重・伸び・変位量などを記入。 |
■ 土質別の荷重保持時間一覧表(参考)
土質区分 | 代表例 | 保持時間の目安(設計荷重時) | 理由・注意点 |
---|---|---|---|
硬質岩(硬岩) | 花崗岩、安山岩、硬い砂岩など | 5分程度 | 変位はほぼ無いと思われる |
中硬岩 | 泥岩、頁岩など | 5〜10分 | 一定時間の保持で変位特性が判断可能 |
軟岩 | 風化花崗岩、凝灰岩など | 10分程度 | この辺の土質からややクリープ傾向 |
締まりの良い土 | 砂質土、砂礫混じり土など | 10〜15分 | 受圧板の変位にも注意、沈下や変形 |
締まりの悪い土 | 粘性土、シルト、腐植土など | 15〜20分以上(変位量をよく見て) | 地耐力に注意 時間と共に沈下・変形が出やすいため圧力計・変位量に注視 |
盛土・埋戻し土 | 埋戻し地盤・造成地盤 | 20分以上(変位量をよく見て) | 不均一・変形リスクが高く長めに保持 圧力計・変位量に注視 |
※実際の保持時間は施工要領書やグラウンドアンカー施工士の指示従ってください。
実際は、変位量がほぼ無ければドンドン時間は巻いていきましょう!
ココでこそグラウンドアンカー施工士の資格を生かして!!!(生かす所はここだけか!?)
この保持時間は各技術者によって考えが異なります。
なぜなら、頑なに保持時間にコダワル方がいます。
しかし、グラウンドアンカー工の書籍にはしっかり書いてあります。
「変位0.5㎜以下だと安定しているとして良い」とこの辺はしっかり対応しないといつまでも試験する事になるので気をつけましょうw
基本的に、地山の状況に寄っても設計の基準値に入らない場合がたまにあります。
この入らない場合の原因としてはほとんどが、
ダイヤルゲージの設置ミスです。
ハッキリ言って外で1/100のレベルで測定する方が難しいのかなり誤差が出ます。
そのため、取りあえず試験値が入らなくても抜けていなければ問題はありません。
が、取りあえずしっかりデータを立会で知りたい場合は、設計最大荷重まで緊張します。(ココで頭部の油圧シリンダーをノギスで測定)
そして初期荷重に戻します。(ココでまた油圧シリンダーをノギスで測定)
最大値から初期荷重の伸び値を引いて、適正値(上限ー下限内)に入っていれば問題ありません。
詳しいコツはまたそのうち動画でw
それではまた。