鉄筋挿入工(ロックボルト)でよく聞かれる事をQ&Aにしてみました。
その他ご質問やご意見承ります。
※随時増えてく予定です。
順不同
ぶっちゃけ、以前の旧エンタの法面管理塾から移行ですw
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削孔位置からの足場の高さは?
削孔角度にもよりますが、大体この位が目安です。
スキッドタイプ 1.5tクラスの削孔機=30~50cm
スキッドタイプ 2.5tクラスの削孔機=30~60cm
スプリングドリル等軽量削孔機=20~30cm
クローラータイプ 削孔機=マイナス20~30cm(土足場)
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頭部処理のコーキングは必要か?
必要です。
コレには理由がありまして、
最近は硬質の防錆油が使用されていますので結構大丈夫ですが、
夏場の炎天下に晒される頭部。
内部の防錆油が溶けて受圧プレートの裏などから染み出る場合があります。
その対策として、受圧プレート、キャップ周りのコーキングが必要です。
コーキングは耐候性の物をご使用下さい。
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「荷重はどこを見るんだ?」
設計計算書の各補強材による抵抗力一覧表のTdを見てください。
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「グラウトとセメントミルクは一緒か?」
グラウトの場合は薬注注入の懸濁や溶液もグラウトです。
水ガラスとかCB注入もグラウトです。
と言う事は、空洞、空隙、隙間などを埋めるために注入する流動性の液体の事です。(wiki)
その中のセメントミルクと言う事になります。
ちなみにセメントミルクとはセメント+水で練り混ぜた物です。
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「各段違うんだから各荷重をかけるべきではないか!?」
好きにして下さい。各段違う荷重をかけても良いし、すべての荷重を一括した荷重でも管理方法は変わりません。
そして結果も変わりません。
書類を増やし手間を増やすだけだと私は思っています。
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「結局、緊張管理図表作って何がわかるんだ!?」
鉄筋が抜けたか抜けてないかだけです。
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「そもそも鉄筋挿入工(ロックボルト)はなぜ抜けない!?」
穴掘って鉄筋入れてセメントミルクを入れています。
セメントミルクが硬化してセメントミルクと地山、
地山と鉄筋との摩擦力で抜けないようになっています。
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「セメントミルクの強度がバラつくんだが?」
セメントミルク供試体の圧縮強度試験では安心してください!確実にばらつきます!!!!!
また断面(φ5-100mm)が小さく、高強度(24N以上)なので
割れ方によまちまちの結果になります。
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「そもそもダイヤルゲージ等の計測具が必要なのか!?」
考え方からするとミリ単位で測定する事によって付着切れが発生している事がわかりやすいかもしれません。
しかし、鉄筋挿入工(ロックボルト工)は全面定着であり付着切れが発生した場合、
ズルズルと抜けますので測定具の必要性はあまり感じません。
私個人の意見としては要らないように思えます。
(緊張管理図を否定してしまいますが。。。)
荷重掛けて抜けた?抜けない?っでいいじゃないか!!!って思います。が
地山補強土工法設計施工マニュアルか、ネクスコの指針において施工管理してください。
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「ばらつきを少なく出来ないのか!?」
出来ない事もありません。
を見て頂くとわかると思いますが、ファイバーのおかげで粘りが出ます!
比較的安定した強度になった経験があります。
(データは5日分のしかありませんので信憑性が薄い。)
もう少し多くの実験データが欲しいところです。
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「自穿孔ロックボルトの資料!」
最近、全特の積算資料が改訂されました。
現在積算等で使う資料は以下のみです
「社団法人 全国特定の法面保護協会 ロックボルト 積算資料(参考) H17年度」「社団法人 全国特定の法面保護協会 ロックボルト 積算例(参考) H17年度」「岡部株式会社 土木事業部 OSDPロックボルト工法 積算参考資料 H17年度」
「社団法人 全国特定の法面保護協会 ロックボルト 積算資料(参考) H27年度」
「社団法人 全国特定の法面保護協会 ロックボルト 積算例(参考) H27年度」
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「自穿孔はやった事無いが、ホントにあるのか!?」
昔(15年位前)は結構主流で、孔壁の自立しない所は自穿孔ばかりでした。
しかし、実際孔壁が崩れると鉄筋は入っても注入が不十分な所も多く、仮設でしか使われなくなりました。
現在では2重管削孔が主流なので自穿孔は減りました。
国交省では最近また使われるようになって来ています。
理由は定かではありませんが、
やはり機械の入らない所での削孔には有利だからでしょう。
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「人力自穿孔では何m削孔出来るんだ!?」
積算上はロープ足場で削孔径(45-50mm)で2.0m
単管足場が入って3.0m
経験的にロープ足場で自穿孔での施工は3mが限界です!!
これ以上は引き上げられませんし、クリコ(削孔時の粉)も上げられません。
持ってる手もビリビリです!
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「自穿孔の注入はどうやってやるんだ!?」
鉄筋(自穿孔綱材)の真ん中に孔があいているんです!!
そこに注入アダプターを付けて注入すると
先端ビットのエアー用の穴からミルクが出ます。
それが上まで上がればOK!!
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「先端キャップは必要か!?」
必要有りません。
昔は無かったが、気がつけば付いていた。
(ホントの理由を知っているが言っちゃうと困る人いるから言えないwww)
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「山が悪すぎて孔壁が自立しない場合は2重管しか無いのか!?」
2重管施工でお願いします。
最近、コンサルの方でN値が10以上あるから自立すると仰る方がいます。
その気持ちはわかりますが、
孔壁の自立はN値では測れません。
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「書籍の挿絵の様に削孔して注入したら削孔径が大きくなっているのか?」
全くなりません。
削孔径がφ65の場合穴径は65mmです。
注入して加圧したとしても径は変わりません。
径が膨張する様な圧で加圧出来た場合、山は崩壊するでしょう。
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「シースって材料があるがアレは必要か?」
結論からすれば必要ない!
今でこそセメントミルクが水平になっている所をモルタルで埋めるので、
水が入る事が無い。
しかし昔は、鉄筋+注入打設後の背面処理はやらなかったも時代がありました。
そこで考えられたのがシースです。
コレで保護すれば直接水も当たらないと言う止水目的。
ですが、今では付着不足の可能性もあります。
付着長が足らないって事にならないように。
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「頭部締め付けにトルクレンチがいるのか!?」
いりません!
昔は設計値をトルク換算してやっていましたが、
今はパイレンでキュッと緩まないように締め付けるだけです。
ヘタにテンション掛けると抜けの原因になったり法枠や吹付面へ影響する可能性があります。
が、積算上の都合で積上げ積算した場合、計上されている場合があります。
お気を付け下さい。
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「受入試験時の設計荷重を1.2倍にしたりする必要があるのか!?」
必要ありません!設計荷重で引き抜けなければOKです。
あくまでも抜けていないかの確認でしかないものに、
必要以上に荷重をかけて付着切れのリスクを負ってまでする事とは思えません。
設計荷重で十分です。
抜けていない、しっかり全面定着している事が大事です。
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「鉄筋挿入工に設計角度が書いており法面直角ではないんだが変更出来るか!?」
出来る可能性があります。
鉄筋挿入工(ロックボルト)は施工性の事を考えると法面直角がベターです。
法枠の箱抜き時も何も考えずに施工出来るので施工ミスも少なくなります。
まして、法面はデコボコな地形が多いので角度がビッシっと決まっていると
法枠の施工や鉄筋挿入工の施工に無駄が出ます。
角度が付きすぎるとテーパープレート(角度調整台座)等が
必要になりコストもあがります。
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「法面の面積が設計より大きい。ロックボルト打てるがどうするんだ!?」
鉄筋挿入工(ロックボルト)は設計断面に10本有った場合、
設計断面は10本割り振っています。それを横に展開させています。
なので面積が大きくなったらその分打って良いと判断出来ますが、
役所と協議しておいて下さい。
検討断面が2断面3断面有る場合も同様で、近い断面を参考にして下さい。
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「自穿孔ロックボルトで自立しない山は全て施工は出来るのか?」
削孔までは確実に出来ます。ただし、注入においてかなりの不安要素があります。
注入に関しては全く保証出来ません。
もう一つ、鉄ビットでは削孔出来ない硬い岩盤場合が有り、
チップ付きビットなら削孔出来ます。
地山が硬くチップビットを使用し、
削孔する場合自穿孔ロッドが折れる事が多々有ります。
なぜロッドが折れるかというと、ネジ部分が超荒目なんです。
ガタツキが凄いです。そこのガタツキで折れます。
折れにくい方法もありますが、説明しにくいです。
ザックリ言うとガタツキを無くせば折れにくくなります。
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「自穿孔がOKな自治体もあるぞ!」
有ります!国交省でもOKです。
鉄筋挿入工(ロックボルト工)におけるパイオニア的な存在のネクスコでは仮設扱いです。
ほぼ使っていません。なぜなら注入が不安定で確実ではないからです。
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「法枠の端にロックボルトを配置して良いのか?」
問題ありません。
鉄筋挿入工(ロックボルト工)では張り出しは無くて良いとされています。
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「自穿孔ロックボルトにおいてなぜ注入が不安定なんだ?」
削孔壁が自立出来ないと言う事は、削孔スライムが出にくい状態です。
そこに注入しても、その崩壊部分はグラウトが回らない事になります。
そして、何より自立しないと言う事は注入孔が閉塞する可能性も非常に高いです。
注入孔が閉塞した場合注入は出来ません。
過去において、私の知っている中で自穿孔の半分くらいはまとも注入出来ていません。
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「2重管削孔でなら注入は確実か?」
確実です。
実は、アウターケーシングを回しながら削孔していくと
削孔完了した時には地山が自立しています。
崩れやすい孔壁がアウターケーシングの回転と打撃振動により周りだけを
締め固めるので、最終的に自立します。
注入して土砂とセメントミルクを置き換えますので崩れにくいと思われます。
(当然ですが、崩れる場合も有ります。)
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「破砕帯にロックボルトを打つとどうなるんだ?」
セメントミルクが上がって来ませんので、袋パッカーを使用して下さい。
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「吊り式削孔機の重さはどの位だ?」
大体700kg~1100kgです。
小さい物はやはり打撃力が小さいので削孔能力は低めです。
機種にもよりますが、大体190馬力のコンプレサーを使用します。
エアー量が多い程削孔がスムーズになります。
高圧コンプレッサーの使用は駄目です。
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「グリス入りキャップは必要か?」
昔は生材だったので頭部の保護は必要でしたが、現在はALLメッキが標準なので
必要ないと思われますが、そこまでデータがありません。
実際はネクスコの方でデータがありますが、公には公表されていません。
最近のネクスコではキャップしていません。
それがそのデータに基づく結果です。
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「メッキは何年保つんだ?」
大体、頭部で25年~50年程度 定着部で50年~ と、昔何かで見ました。
(他社の資料で言えません)
最近では、 耐用年数=亜鉛付着量(g/m2)÷ 腐食速度(g/m2年)× 0.9
と言う計算式が出ています。
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「配置誤差はボルトスケール®で大丈夫か?」
大丈夫です。
あとはしっかり説明が出来ればなんの問題も有りません。
管理していない方がマズいです。
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「角座金のコーキングは必要か?」
実際は必要有りません。
特にグリス入りキャップが無ければ必要有りません。
グリス入りキャップがあると夏場に溶けて、角座金の下から漏れ出てくるので
コーキングが必要です。
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「角座金のシールはコーキングとモルタルペーストどっちが良いのか?」
モルタルペーストは厚みが取れないので、そのうち割れて無くなります。
コーキングは耐候性の透明・灰色を使用すれば結構保ちます。
(10年前にやった所はまだ残っていました。)
ただ、黒のコーキングは鳥が食べているのを見た事があります。
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「クリップスペーサー®って実際どうよ?」
法枠やモルタル吹付が施工してある場所においては非常に便利ですが、
何も無い土砂部に施工すると、沈みがでます。
シースがあると取り付けられません。(シースを後付けなら出来ます。)
職人いわく、1度使用したらヤミツキになるそうです。
最近役所の指摘を受けました。
「今までの施工は大丈夫なの?下に付いているんじゃ無いの?」
今までは、下に石とかをカマして、やっていましたっと言っておきましたw
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「鉄筋は何mまでなら1本物で注文して良いか?」
吊り式シングル削孔なら6mまでOK(それ以上は重い)
2重管スキッド式削孔なら5mまでOK(それ以上は重い)
出来るだけ1本物が好ましいです。
何故かと言うと、
その後の調査で切断していないかなどの調査がしやすいからです。
超音波検査においてはカップラーがあると、そこまでの距離しか測れません。
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「接続カップラーは使っても良いか?」
使うのは自由ですが、無い方がイイです。
設計が5mの場合それを3mと2mで分けた場合、カップラーで接続するのが面倒です。
また、接続するとパイレンでしっかり締めてもネジ山が細目でないので簡単に外れます。
それと一番は、もしも調査があって切ったとかの疑いが有った場合、
1本物であれば調査が出来ます。
いつでも第三者が確認しても問題ない様にしておくのも仕事です。
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「調査はどうやってやるんだ?」
最近では非破壊試験器で行っています。
超音波検査が主です。
なので、出来る限り1本モノで施工するべきです。
カップラーがあるとそこの長さまでしか測れません。
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「セメントミルクと鉄筋をしっかり付着させる方法があるか?」
注入後すぐに鉄筋をしっかり上下に出し入れして下さい。(シャクル)
そうする事で地山と鉄筋とセメントミルクがしっかりなじみます。
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「どうしても設計角度(規格値以内)で打てない場合はどうするつもりだ?」
だいたいは鉄筋を長くすれば問題ありません。
実際50cm程度長くすれば解決出来ます。
そこだけの計算も出来ませんし、長くする事で根入れ(不動土塊)長は長くなります。
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「断面に5本打設だが、法面の形状で4本しか打てない、どーすんだ?」
5本打って下さい。設計では法面の方向は考えられていません。
平面では5本打てるので、5本で計算されています。
実際の法面は向いている方向があり、法枠が右なり左なり向いていると思われます。
計算は5本で保つ様に設計されているので、再計算しない意外は5本入る様に配置して下さい。
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機械操作の難易度が低い機械は?
ロックボルトの削孔時、機械操作の難易度が低い順番に機械並べてみます。
1,インバーターチゼル(ダウンザホールハンマー)
この機械は軽量マシーンで電気式です。
とにかく簡単に出来ており、素人でも取りあえず削孔出来ます。
削孔をコレだけ簡単にしたマシーンは他にありません。
回転・推進力共に電気なので力強いです。
シングル削孔がメインです。
2,エアー系削孔機
スキッドタイプ(定置)で軽量マシーンのエアー系は
動きが結構タイトで速い動きです。
若干の慣れが必要です。
回転は早いのですが、トルクがあまり無いので噛まれた時に苦労します。
打撃に関しては素晴らしい力です。
吊り式削孔機も同じと思って良いでしょう。
シングル削孔がメインです。
3,ロータリーパーカッション
最近の2重管工法で言えば、だいたいロータリーパーカッションになります。
とにかく慣れなければ非常にキケンです。
簡単に腕折れます。
2重管においてはこれ以外には今のところ考えにくいです。
土質に差ほど影響なく削孔は出来ますが、オペの腕1つです。
その他削孔機ありますが、怒られそうな物はやめておきますw
とにかく削孔と呼ばれる物は土質の変化、回転圧、フィード圧などを常に見て、
エアー量、水量、圧を調整して削孔します。
削孔は簡単には出来ないと言う事だけは覚えておいてください。
職人の技術があってこそです。
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「法枠が垂直だ、法面直角のロックボルトをどうやって打つんだ?」
ゼロ度は打てません。
設計で法面直角の場合で、法面の一部が直角の場合は
-10度で施工して下さい。
ロックボルトの最低角度マイナス10度です。
それ以上はミルクを注入出来ません。
パッカーを使用すれば出来ない事はありませんが、
基本はマイナス10度です。
出来ればマイナス15度以上の方が頭部処理もしやすいので、
役所に説明して、一部の設計を変更して下さい。
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注入は上から?下から?
グラウトの注入は
必ず底面から行います。必ずです。
ケーシング内に水も何も無くても底面から行います。
底面からが基本です。例外はありません。
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アンカー材料の変更は可能か?
可能です。
最近では、どこのアンカー材料メーカーを使用して問題ありません。
使用したいメーカーに直接電話して、
使用したいから設計変更してくれって言えば、
大概のメーカーは対応してくれます。
ただし、価格に関して言えば協会員の価格には追いつきません。
また、会員のハードルも意外に高いので、なかなか入れません。
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削孔機のグリスアップの頻度は?
毎朝行います。
入れすぎは駄目ですが、
毎日グリスニップル1箇所に付き2~3ポンプでOKです。
スイベルのクリーニングアダプターパッキン周りは
一杯になるまで入れて下さい。
回転部・打撃部は特に毎日行った方が問題が起きません。
機械が壊れなければ、コストダウンにつながります。