施工の神様

小太り現場監督の知られざる苦悩…。「それでも僕は瘦せません!」(施工の神様より)

小太り現場監督の知られざる苦悩…。「それでも僕は瘦せません!」

小太り現場監督Kの苦悩

現場監督は時折、便利屋さんのように扱われることがある。

特に、住宅を専門に手がける会社の現場監督は、雨漏りや不具合の修繕はもちろん、害虫の駆除から、クモの巣が張り巡らされた床下の点検まで、自分の手で行わなくてはならない状況に立たされることがある。

体を張った仕事だからこそ、プロポーションには気をつけなくてはいけないはず…だが、見回すと小太りな現場監督が多いのも事実だ。

全ての小太り監督に当てはまるわけではないが、特におっちょこちょいな小太り監督Kの仕事における苦悩を紹介しよう。

新築一戸建て住宅の引渡しで破壊

小太りの現場監督Kは30代。

入社12年目で身長165cm、体重80〜85kg、BMI値29.4(25が標準)、肥満度1の自他共に認める筋金入りの小太り監督だ。

おしゃべりで人当たりが良く、施主からも人気のある監督だが、少しおっちょこちょいな部分がある。

その日、小太り監督Kは、自分が担当していた新築一戸建て住宅の引渡しに立ち会う予定だった。きれい好きの小太り監督Kは、施主との待ち合わせ前に早めに現場入りし、最後の清掃を行っていた。

掃除をしていると、キッチンのガスコンロ上に設置された、デザインフードの上のホコリが異常に気になったという。

無性にデザインフードの上を掃除したくなった小太り監督Kは、その衝動を抑えきれず、キッチンの天板の上に乗り、掃除を開始した。

やはり、ホームクリーニング後でも少しホコリが積もっており、そのホコリを掃ったことでとてもスッキリした気持ちになったそうだ。

竣工物件のガラストップを破損

さて、スッキリしたところで、降りようと足の位置をずらした瞬間、

「パキッ!!」

足を置いた部分が嫌な音を立て、変形したことを感じた。しばらく足を動かせず、その場に固まる小太り監督K。

恐る恐る足をずらしてみると、ガスコンロのピカピカしたガラストップ部分が見事に割れていた…。

その後の引渡しでは、施主に平謝りしかできなかった小太り監督Kだが、幸い引越しまで余裕がある日程で、施主にも可愛がられていたため、少し苦言を言われる程度で済んだそうだ。

また、キッチンはコンロ部分のみを取り替えることが可能だったため、20万円程度の損害で済んだ。

小太り監督Kは、苦笑いしながら「俺が乗ったくらいで壊れるとは思わなかったよ!」と言っていたが、『いやいや、そのプロポーションなら壊れるのは当然だろ!(笑)』と、思わず心の中でツッコんでしまった。

それ以来、小太り監督Kは、絶対に住設機器に体重はかけないようにしているらしい。そして、高いところのホコリを落とす際には、お掃除グッズを活用しているそうだ。

床下点検での恐ろしい経験

小太り監督Kは人当たりが良いため、民間のリフォームや新築物件の定期点検にも関わる機会が多い。

しかし、リフォームの現地調査や定期点検で多々行うことになる床下点検は絶対に行わない。なぜなら、小太りだからだ。

だが、理由はそれだけではない。過去に恐ろしい経験をしたからである。

近年の新築物件の床下は、小太り監督Kでも何とか通れる広さに設計されているが、事が起こったのは築40年の古い物件の床下だった。小太り監督Kは、今よりもさらにふくよかだった。

耐震リフォームの依頼を受けた物件で、「現在の基礎の状況を把握するために床下の写真を撮ってこい」という上司からの指令を受けた、小太り監督K。

古く、ホコリ臭く、土むき出しの床下に単身で乗り込んだ。

床下の高さは45cmほど。床下点検用のつなぎを身につけ、ほふく前進の体勢でその場で回転しながら、四方の写真を撮り始めた小太り監督K。

すると、「ん?」。

2方向目を撮影するためのフラッシュで、“何かの存在”に気がついた…。

床下でアレとしばらく過ごす

少しの明りはあるものの、1m先は見えない床下。小太り監督Kは、その「何か」がいると思われる方向へ、恐る恐る懐中電灯を向けた。

懐中電灯で照らされた先には、目玉が2つ光っている。

ハクビシンだ…!(心の中では「ギャーッ」と叫んでいたに違いない)

全身の毛を逆立てたハクビシンが、今にも飛びかからん勢いでこちらを睨み付けていた。小太り監督Kは、本能で「やばい!」と感じたそうだ。

急いで床下から這い出ようとしたが、急旋回したあまり、ウエスト部分が床束に挟まり、身動きがとれなくなった。

パニックになった小太り監督Kは、懐中電灯の光でハクビシンをけん制しながら、上司の名前を叫び、必死に助けを求めた。

上司と施主は、小太り監督Kの異常な様子に慌てて救出を試みたが、引っ張ってもなかなか抜けない。

上司も床下にもぐりこみ、小太り監督Kのウエスト回りの付属品を外し、押し出すようにKを少しずつ動かすことで、やっとの思いで救出した。

時間では15分ほどの出来事だったが、小太り監督Kには3時間くらいに思えたという。懐中電灯のけん制の甲斐あってか、気がつくとハクビシンはいなくなっていた。

小太り監督Kの救出後、スマートな上司が床下の写真を撮影して、無事に調査は終了。施主に情けない姿を見せてしまった小太り監督Kだが、無事にこの物件は受注ができ、滞りなく耐震改修リフォームは完了した。

滴る汗で施主から苦言

読者の方はもうお気づきだろうが、小太り監督Kにとって、一番過酷な季節は夏である。夏場は尋常ではない量の汗をかく。

それは、暑い夏の日のことだった。

担当している新築の上棟式で、朝から張り切っていた小太り監督K。小さめの物件だったため、お昼過ぎには上棟ができ、野地板を張るまで工事を進めることができた。

工事の順調さに満足した小太り監督Kは、この日の工事が終わったところで軸組みの内部に施主を招待したが、暑さから噴き出す汗が止まらない。

汗を拭きながら、施主の質問に答えている時だった。ふと、施主が小太り監督Kに問いかけた。

「Kさんの汗がさっきから木材にたくさん落ちているんだけど、こういうのは構造的に悪い影響にならないよね?」

Kの頭には「塩害」の言葉が浮かんだが、笑いながら「すみません!この程度では問題ありませんよ!」と言い、その場は和やかに収まった。

小太り監督Kはこの時、心の中で泣いた。それ以来、夏場は必ず、額に手ぬぐいを巻くスタイルで現場に行くようになったそうだ。

ガラストップを割った時も、汗を大量に落としてしまった時も、すぐに改善策を打ち、今日も元気に現場に向かう小太り監督Kは、本当に素敵だ。

それでも一向に痩せない現場監督K

しかし、そもそもこのような事態に陥ったのは、全て小太りが原因だ。それは本人も気づいている。

もう少し痩せればいいと思うが、なぜか小太り監督Kは一向に痩せようとしない。それどころか、また全盛期の体重85kgに向かっている。

現場の仕事は夕食が遅くなりやすく、ストレスも溜まりやすいので、脂っこい食事になりがちなのだろう。

現場でのトラブルを減らすためにも、小太りでおっちょこちょいなKのような現場監督は、もう少し健康管理と減量にも目を向けるべきかもしれない。

 


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