皆さんこんにちは。
エンタです。
セメントミルクの配合とは|W/C比50%が法面工事の標準
そもそもセメントミルクとは、セメント粉末と水を練り混ぜたペースト状の注入材のことです。法面工事では、グラウンドアンカー工・ロックボルト工・鉄筋挿入工で、削孔した穴の中に注入してアンカー体や鉄筋を地山に定着させるのに使います。
配合のキモになるのがW/C比(水セメント比)。これは「水の質量 ÷ セメントの質量」で表します。
- W/C比が小さいほど水が少なく、硬めで高強度のセメントミルクになる
- W/C比が大きいほど水が多く、流動性が良いが強度は下がる
法面工事のグラウンドアンカー工・ロックボルト工では、W/C=50%が標準的な配合値として広く使われています(NEXCO設計要領、地盤工学会「グラウンドアンカー設計・施工基準」など)。これより硬くする場合はW/C=40〜45%、軟らかめにする場合はW/C=55〜60%の幅で調整します。
先日質問を頂いて、セメントミルクの1m3あたり1230kgの根拠って?

昔からこれだったので何にも考えていませんでしたw
吹付の砂はしっかり根拠がありますけど、セメントミルクは見た事無いですよね。
1m³=1,230kgの算出根拠|セメントの比重3.15から導く
「セメントミルクは1m³あたり1,230kg」という値、業界の積算でも普通に出てくる数字なんですが、根拠を聞かれると意外と答えられない人多いんですよw
カラクリは普通ポルトランドセメントの比重(密度)が約3.15という事実から来ています。比重3.15というのは、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)でも基準として扱われる代表値です。
1m³(=1,000L)のセメントミルクを作るのに必要なセメント量を、W/C=50%で逆算するとこうなります。
| 計算ステップ | 式 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 目標体積 | セメント体積+水体積 = 1,000L | — |
| ② W/C=50% | 水質量 = 0.5 × セメント質量(C) | — |
| ③ セメント体積 | C ÷ 3.15 | L |
| ④ 水体積 | 0.5C ÷ 1.0 | L |
| ⑤ 連立 | C/3.15 + 0.5C = 1,000 | C(0.3175+0.5) = 1,000 |
| ⑥ C を解く | C = 1,000 ÷ 0.8175 | 約1,223kg |
| ⑦ 切り上げ | 積算用の値に丸め | 1,230kg |
つまり「正確には1,223kg〜1,225kgあたりだけど、積算で使いやすいように1,230kgに切り上げた」というのが1,230kgの正体。昔は配合表や設計書にこの導出が普通に載っていたんですが、いつの間にか「1,230kgっていうもの」として数字だけが残ってる、というやつです。
そこで一度計算してみると
条件として、普通セメント、W/C=50%
とした時に
普通セメント 比重3.15
普通セメント:1230kg÷3.15=390.5L
水:1230kg×50%=615L
390.5+615=1005.5L / 1m3
正確には1225kgですが、切り上げて1230kg?
実際これくらいしか思いつかなくて、これについてご存知の方はいますか?
教えて頂けると幸いです。
昔は根拠ってたくさん書籍に載っていたんです。
それがいつの間にか簡素化、簡素化で無くなっています。
昔はロス率とかで紐解いて行ったりして面倒でしたけど、今となっては欲しいところですよねw
デジタル化も良し悪しですね。。。
配合計算の実務|W/C比別の早見表
実際の現場では、W/C=50%だけで済まないことも多いです。地山の状況、注入圧、定着体の長さ、季節(気温)で微調整が入ります。よく使うW/C比で1m³あたりに必要なセメント量と水量を早見表にしておきます。
| W/C比 | セメント量(1m³あたり) | 水量(1m³あたり) | 合計質量(比重) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 40% | 約 1,398kg | 約 559kg | 約 1,957kg/m³ | 高強度を狙いたい場合、定着体の硬めの設定 |
| 45% | 約 1,313kg | 約 591kg | 約 1,904kg/m³ | 標準より少し硬め、寒冷期の対応など |
| 50%(標準) | 約1,230kg | 約615kg | 約 1,845kg/m³ | グラウンドアンカー・ロックボルトの標準配合 |
| 55% | 約 1,159kg | 約 637kg | 約 1,796kg/m³ | 注入性を上げたい場合、長尺ロッドなど |
| 60% | 約 1,094kg | 約 656kg | 約 1,750kg/m³ | 軟らかめ、注入材として地盤改良などに |
※上記は普通ポルトランドセメント(比重3.15)使用、ロス率は加味せず、1m³あたりの理論値で算出。実際の積算ではここにロス率(5〜10%程度)を上乗せします。
ロス率を加味した実務的なセメントミルク算出は、別記事セメントミルクの算出方法とロス率にまとめています。
うちの現場で配合を変える時は、設計図書の指定値(W/C比)が大前提ですが、その範囲内で「注入圧の上がり方」「定着体の硬化状況」「気温による硬化速度」の3点を見ながら微調整します。経験則の世界ですが、これが「ガッチリ効くアンカー」と「ちょっと不安が残るアンカー」を分ける部分だったりするので、配合は侮れません。
👉 関連記事:配合計算の総合ガイドは セメントミルクの配合計算|W/C比別の早見表と現場での決め方を法面屋が解説 にW/C比40〜60%の早見表まで含めてまとめています。
それではまた。



