施工管理と職人が対立するのは必然か
本来、施工管理と職人は協力しながら工事を進めるべきだが、現場では対立することも多い。施工管理も職人も互いに品質の高いものを作ろうとする中で、元請けと下請けという立場があり、考え方も異なるからだろう。
元請けは、自分たちで予算を組んで、粗利をある程度想定しながら工事ができる。一方で、決まった金額で提示された中でやりくりしなければならない下請けにとっては、品質の担保ももちろん大事だが、工期短縮も重要になってくる。
互いの意見が食い違ったままの状態で、毎日一緒に作業をしていては、対立し、ぶつかりやすい関係になるのは必然とも言える。
「気まずさ」を断ち切る
そういった状況が続くと、徐々に気まずい雰囲気になり、やがてコミュニケーションを取ること自体が苦痛になってしまう。
ここで大切なことは、その自分の中にある「気まずさ」を断ち切ることだ。
もし意見が割れて対立してしまった場合には、施工管理の立場、職人の立場で譲れないラインをしっかりと話し合い、お互いが譲歩できるラインを設けて、そこで折り合いをつけることができれば気まずさはなくなるだろう。
一番避けたいのは、「気まずさ」から、どちらかが”YESマン”になってしまうことだ。
一見、工事が円滑に進みそうな気もするが、これはどちらか一方がコミュニケーションを取ることを諦めてしまっている状態。つまり、施工管理と職人がコミュニケーションを取れていない最悪の状態だと言える。
決断ができる施工管理になるべし
話すのが得意な人、不得意な人は確かにいる。しかし、コミュニケーションにおいて、実は話すのが得意かどうかは重要ではない。
私の経験上、職人さんたちは「白黒ハッキリしてほしい」「結論が早く知りたい」という性格の人が多いように思う。
なので、できないことはできない、やるならやるで決断を早くするということを意識するだけでも、コミュニケーションが取りやすくなるだろう。
職人は施工管理に決断を求めているのだ。いくら愛想が良くても決断ができない人間よりも、決断力のある人間のほうが確実に好かれる。決断ができる施工管理になれば、仕事上でのコミュニケーションに困ることは少なくなるだろう。
職人と仲良くなる必要はない
ここで勘違いしてほしくないのは、別に「職人と仲良くなろう」と言っているわけではない。暇さえあれば職人と一緒にタバコを吸って雑談する、それが良いコミュニケーションだと思っている人は非常に危険だ。
仲が良いに越したことはないが、仕事上、職人と仲良くなる必要はないと私は思う。仲良くなりすぎたことで、仕事の金銭面でも緩い関係になってしまう可能性もあるからだ。
大切なことは、職人さんが一刻も早く判断できるように、施工管理が早めに決断し、指示を出すこと。時にその決断を相手が飲めなかったとしたら、自分の中にある「気まずさ」を断ち切り、しっかりと話し合うこと。それができれば、コミュニケーションはきっとそんなに難しいことではない。
施工の神様