施工の神様

派遣先の大手ゼネコンに「黒は黒」と言うべきか? 施工管理技士の正義とは何か?(施工の神様)

ゼネコン

派遣社員の施工管理技士に大切なのは技術と知識

施工管理技士が派遣社員として、国内、国外の建設現場で稼ぐためには、施工管理や図面作成などの基本的な技術力での勝負となるのは言うまでもない。

それ以外にも、現場での人間関係や、派遣先ゼネコンでの独自ルールもあるが、基本的な技術力がなければ、プロフェッショナルな派遣社員としては活躍できない。そうでなければ、ただの頭数合わせの派遣社員として、安くコキ使われるだけだ。

それぞれのゼネコンが持ってる個性に対応する必要もある。派遣先のゼネコンの現場にいる人間たちの常識や、技術に関する知識の差も結構大きいので、それに合わせてあげなければいけない。

しかも、大手ゼネコンの正社員たちは、その会社の中だけで自分のやり方が「絶対に正しい」「唯一無比だ」と思ってる。そういう「井の中の蛙」や「テング」になってる人たちが、うじゃうじゃ一杯いる中で一緒に働かなければいけない。

ゆえに、様々なゼネコンで働き、国内外の現場を見てきた、私のような外注の派遣技術者が、その組織に入った時、「明らかにオカシイ」「品質が低い」と首をひねる場面に遭遇することはかなり多い。

そんな時、どう行動すべきか?

派遣先のゼネコンに「黒は黒」と言うべきか?

言うまでもないが、建設現場では国内外を問わず、常に正論が採用されるわけではない。技術だけの話をしても、その前提が同じではない。

「世の中は理屈だけじゃない」と頭で分かっていても、「明らかに黒いモノを白とは言えない」のが、技術者としての正義だと思う。

そこでどうしようかと、ウジウジ悩むのではなく、本当に何が正しいのか、派遣先のゼネコンの人間が何と言おうと、自分なりに確かめる事を最優先とする。そこで正社員たちの言いなりになって雰囲気に流されるのではなく、自分の中であやふやな知識を確固たるものにしてく事が大切だ。

何が本当に正解なのか、を確信持てるまで突き詰めてほしい。

ただ、それを主張するのは臨機応変にすべきである。派遣先のゼネコンにとって「不都合な事実」を突っつきすぎると、すぐに契約を解除されることになる。

私も以前、海外のとある現場で、苦い経験をしたことがある。そのゼネコンの現場管理はかなりズサンで、日本ではないからと言って手抜き工事をやめようとしなかった。何度も注意したが、そういう指摘をする「正しい外部の人間」は悉くクビにされていった。この現場を施工したゼネコンは、いずれ社会的にも国際的にも問題になると思っている(その顛末は、いずれ詳細にお伝えし、世の中に問いたい)。

ズサンな派遣先ゼネコンの建築現場

そのゼネコンの現場は、鉄筋の曲げ、継ぎ手、定着などといった、ごく当たり前の事さえ守られていなかった。

私は何度も注意したが、元請けのゼネコンの人間たちは、「それでいい!」と主張して譲らなかった。

元請けの人間がそう言うなら、「ま、いいか!」と一度は黙認したが、鉄筋配筋図面が無く、私が描く段になってハタと困ってしまった。私が描く以上、いい加減な図面は描けないと思った訳だ。

結局、私は派遣社員とはいえども、技術者としてのプライドが許さず、今までの図面とは違う正規の図面を描いた。

それが元請けゼネコンの人間には面白くなかった。「派遣のせいで、現場が混乱してる!」と私は罵倒された。

結局、私の堪忍袋の緒も切れ、帰国させられた。

しかし、こうした現場でも、私はちゃんと技術者としての元を取った。

今まであやふやだった「鉄筋の細かい知識や情報」を仕入れる事ができたのだ。その現場にいたゼネコンの技術者たちよりも。

われわれ建設技術者は、正確な技術を身に着けることが何よりも最優先される。「転んでも、ただでは起きない!」そんな気持ちが常に必要だ。

現場管理者にとって建築技術の次に必要なモノ

現場を管理するには、正しく豊富な知識も必要だが、それだけでは役に立たない。

現場状況、作業員の技量や人数に合わせて、必要事項を作業員が理解できるように伝える能力が求められる。海外の工事現場では、それが一番難しい。

だから、日本で切れ者と呼ばれる技術者が、海外では全く役に立たないのは当たり前だ。

日本の法律規則に乗っかって、最高レベルの職人に指示する事に慣れてる人間が、昨日までクワを持って農作業やってたような連中に一体どういう指導が出来るのだろう?

正しい施工方法を伝えるのに、一体どのレベルまでさかのぼって教えなきゃいけないのか?

その探りを入れながら、まずは少なくとも平均レベルまで持って行く。それが第一段階だが、焦ってはいけない。何事も急激に変わるハズがない。

作業員の実力を把握し、彼らに信用してもらえるまで2〜3カ月は掛かる。日本の知識など全く役に立たない場面も珍しくない。根気よく続けられないと、海外での施工管理はおぼつかない。

海外の建設現場では、さらに言葉、習慣、食事、宗教等への対応が要求される。英語は必須だ。たまに英語をしゃべれない日本の大手ゼネコンの社員も見かけるが、話にならない、役立たずが多い。

結局、どこの国の現場でも、指示する相手は機械じゃなく人間だと言う事だ。建設技術者は現場にいる人間の感情も見なければいけないのは万国共通である。

施工の神様より転載


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