午前10時にはすでにシャツが汗でびしょ濡れ――そんな経験をしている人といえば、建設作業員がその代表でしょう。
炎天下で、熱い機械やコンクリート、鋼材に囲まれて働くのは、決して冗談では済みません。
だからこそ、**毎年7月に実施される「猛暑対策月間(Extreme Heat Awareness Month)」**があるのです。
高温下での作業がもたらす危険についての意識を高め、皆さんのような作業員が安全に働くための知識とツールを広めることを目的としています。
猛暑対策月間とは?
猛暑対策月間は、高温環境での作業や活動がもたらす実際の危険性に光を当てる全国的な啓発キャンペーンです。
目的は、熱中症による病気や死亡を減らすこと。そのために、熱中症の予防策や安全な働き方に関する情報を広く伝えることに取り組んでいます。
長時間屋外で働く建設作業員にとっては、特に重要な取り組みです。
暑さは「不快」ではなく「危険」
暑さはただ不快なだけではなく、命に関わる危険です。
アメリカでは毎年、数十人の作業員が熱中症で命を落とし、数千人が体調を崩しています。
しかし、そのほとんどは100%予防可能なものです。
なぜ建設作業員は熱中症リスクが高いのか?
建設現場での作業は、暑さの中で体を酷使する環境です。
次のような条件が重なります:
-
自身の作業による体温上昇
-
PPE(個人用保護具)による熱のこもり
-
日陰や冷房、冷たい水にすぐアクセスできないことも
このような要因により、熱疲労、熱射病、筋肉のけいれん、皮膚炎、さらには脱水による腎障害など、様々な健康リスクにさらされます。
熱中症の兆候を知ろう
症状は突然現れることがあります。自分や仲間の異変にすぐ気づけるように、次の兆候を覚えておきましょう:
◆ 熱疲労の症状
-
めまい、吐き気、頭痛
-
大量の汗
-
肌が冷たく湿って鳥肌が立つ
-
脈が速く弱い
-
筋肉のけいれん
◆ 熱射病(命に関わる緊急事態)
-
肌が熱く乾いている、あるいは異常な発汗
-
意識がもうろう、ろれつが回らない、昏倒
-
高体温
-
強く速い脈拍
誰かが熱射病の疑いを見せたら、直ちに119番通報!
そして日陰に移し、水や濡れタオルで体を冷やしましょう。
作業現場で身を守るための6つの実践ポイント
1. 本気で水分補給
作業前に水を飲み、15〜20分ごとに少量ずつ飲み続けましょう(のどが渇く前に飲む)。
エナジードリンクやカフェインの取りすぎはNG。
電解質を含むスポーツドリンクや補給タブレットも有効です。取りすぎはNG。
2. 暑さに体を慣らす
長期の休暇明けや、シーズン初の猛暑日には無理をしないで徐々に作業を始めること。
完全に順応するには1〜2週間かかります。
3. 服装に工夫を
軽くて通気性のある、明るい色の服を着ましょう。
長袖や長ズボンは直射日光から肌を守る場合もあります。
帽子とUVカットのサングラスは必須!
4. 日陰を最大限活用する
休憩は必ず日陰で。自然の木陰がなければ、テントや車両、仮設のシェードを活用。
体を冷やす時間を意識的に取ってください。
5. 声を上げる・仲間を守る
体調に異変を感じたら無理をせず上司に報告を。
そして仲間にも「大丈夫?」と気軽に声をかけてください。その一言が命を救うこともあります。
6. 自分の権利を知る
OSHA(米国労働安全衛生庁)によると、雇用主は以下の提供が義務です:
-
飲料水の提供
-
日陰や休憩場所
-
熱中症対策に関する教育・訓練
これらが提供されていない場合、声を上げることは当然であり、大切な権利です。
7月は安全を考える月に
7月といえばバーベキューや花火、海を連想するかもしれません。
でも、太陽の下で働く人々にとっては、「自分と仲間の命を守る」大事な月でもあります。
「猛暑対策月間」は、その意識を高める絶好のタイミングです。
✅ 熱中症対策チェックリスト(建設作業員向け)
このチェックリストを印刷・共有し、仲間と一緒に安全を確認しましょう!
● シフト開始前
-
作業30分前にコップ2杯(約500ml)の水を飲んだか
-
天気予報で猛暑の有無を確認したか
-
熱中症対策の作業手順をチームで確認したか
-
日陰や休憩所の準備はできているか(テント、パラソル、AC付き車両など)
-
水・電解質ドリンクの備蓄はあるか
-
仲間とペアを組んで「安全バディ制度」を実施するか
● 服装
-
通気性があり明るい色の軽い服装か
-
帽子または庇付きヘルメットを着用しているか
-
UVカットサングラスをしているか
-
SPF30以上の日焼け止めを2時間おきに塗っているか
● 作業中
-
15〜20分おきに水を飲んでいるか(のどが渇く前に)
-
日陰で休憩をとっているか
-
重作業をローテーションで回しているか
-
仲間や自分の体調異変を観察しているか
-
冷却タオル、扇風機、ミストなどを活用しているか
-
体調が悪い時は無理をせず報告する文化があるか
● 要注意の症状
-
めまい、吐き気、疲労感
-
筋肉のけいれんや異常な発汗
-
意識の混濁、ろれつが回らない、皮膚が赤く熱い
-
脈が速く浅い
※これらの症状が見られた場合はすぐに作業を中止し、医療機関へ。必要に応じて119番。
● 作業終了後
-
十分に水分補給し、ゆっくり体を冷やしたか
-
チーム内で体調の確認をしたか
-
ヒヤリ・ハットや事故の記録を残したか
-
翌日の準備(氷・水・日陰の確保)をしたか
Association of Equipment Manufacturers (AEM)
全米建設機械製造業協会(AEM)の許可取得済。