CADという武器を身につけ、ポンコツ人間から脱却した話(施工の神様より)

施工管理の業務範囲は多岐にわたる。原価管理、工程管理、安全管理、品質管理、新人が入ってきた場合には新人教育など、業務量は膨大だ。

それゆえ、「施工管理者ならば自分一人で全てできるようにならないといけない」と思いがちだ。しかし、それは間違いだと断言しよう。

ミス連発のダメ人間だった私

私は今、億を超える現場を回している。

土木工事の現場で、公共工事の膨大な書類を作成し、それなりに職人をまとめ上げ、工事評点も85点以上を3回連続で獲得するといった実績も出している。

しかし、新人時代の私は、今の姿からは想像もできないくらいダメ人間だった。当時は、PCもろくに使えない、エクセルもほとんど分からないという悲惨な状態だった。

現場では毎日怒られ、ミスも連発。自信を失い、「自分には施工管理は無理だ」と思っていた。

唯一好きだったCAD

そんな私にも、唯一好きな業務があった。それがCADだった。

パソコンは嫌いだったが、なぜかCADだけは何時間触っていても苦痛ではなかった。時間があればひたすらCADを操作し勉強していたことで、気がつけば、CADは他の誰よりも操作できるようになっていた。

すると次第に、現場で怒られてばっかりだった私が、CADで褒められるようになっていった。普段褒められ慣れていない私はそれはもう心が躍った(笑)。建設の世界でCADという自分の居場所を見つけた感覚だった。

そこから私は、「CADで図面を制作することだけに特化しよう。これを自分の武器にしよう!」と考えた。

すると、今まで仕事すら頼まれなかった私のもとに、図面を描いてくれと依頼が来るようになった。私に図面を頼めば業務効率が上がる、そういうイメージが社内で徐々に浸透していった。

1つのことしかできなかったのに…

「いやいや、CADだけ極めても施工管理はできないでしょ」と思われるかもしれないが、CADを極めた結果、なぜか他の仕事も少しずつできるようになっていった。

例えば、CAD図面を描けるので、現場で構造物の寸法等を聞かれたときに、すぐに答えられるようになった。すると、自然と職人さんとのコミュニケーションも増え、やがて苦手だった「誰かになにかを頼む」という能力が身についていった。

たった1つの武器を身につけたことで、すべてがうまく回り出したのだ。

――仕事をはじめたばかりの頃は、なんでも1人でできるようになることが大切だと思われがちだが、決してそうではない。とにかくなにか1つでも、自分の特技や長所を見つけることが重要だ。

例えば、安全書類の整理や作成がうまい、現場でムードメーカー的存在である、書類作成のスピードが早い、CADが描ける、現場で誰よりも体力がある等、とにかくなんでもいい。長所を見つけることで自分の進むべき道が見えてくる。全てが優秀じゃなくていい、1つでいいのだ。

自分は「これができる!」ということを会社や周りの人に伝えられれば、そこから仕事をもらえたり、新たなコミュニケーションが生まれる。そして、その仕事をこなしていくうちに、他の能力も徐々に身についていくだろう。

私も以前は本当にポンコツだった。なにをしてもうまくいかず、面白くなかった日々を、身につけた武器が救ってくれたと思っている。

とにかく尖る、そして磨いていくこと。若手はぜひこれを意識してほしい。

 

施工の神様

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