仕事には量、スピード、質の3つの要素があります。それぞれ大切なものではありますが、教わる側の若手と、教える側の上司とでは、実は求めるべきものが変わってきます。
この違いをきちんと理解しておかないと、指導のすれ違いや、本人の成長機会のロスにもつながってしまいます。
新人・若手が意識すべきこと
まず新人や若手は、「スピード」を重視して仕事をしましょう。まだ未熟なうちは、どんなに頑張っても完璧な仕事はできません。
当然、進め方も確立していませんので、効率の良い仕事も難しいですよね。でも、それは悪いことではありません。むしろ未完成だからこそ、早く動いてトライアンドエラーを繰り返すことが大事なんです。
若いうちに意識すべきは、とにかく早く仕事をこなすことを意識すべき。メールは早く返す。書類もためずにすぐ回す。1週間と言われた仕事は5日で終わらせる。
「早く動くことで、ミスにも早く気づける」これが、若手にとっての一番の成長のサイクルになります。未熟だからこそ、レスポンスを早くし、先輩にチェックを受ける時間を確保しましょう。
そうすれば先輩の安心にもつながり、教える余裕も生まれます。質も量も確保できない若いうちは、とにかくスピード重視で仕事をしていきましょう。
もちろん、遅刻をしないことだってスピード重視の一つです。「時間を守る」「反応を早くする」「行動に移すのが早い」この3つが揃えば、信頼される若手になります。
先輩・上司が意識すべきこと
先輩や上司が教育するという立場では話が変わります。重視すべき要素は「質」です。特に施工管理のような仕事では、質の低下が大きな事故や損失につながるリスクがあるからです。
よくやってしまう教育のミスにこういうものがあります。
時間になってしまったので「あとは俺がやっておくから」と言って、新人だけを帰らせた。
残業規制を進めなければいけないこの時代においては、仕方がない気もします。
もちろん、働き方改革の流れの中で「帰し方」を考えるのは大切です。ですが、それが本来の目的とズレてしまうと、本末転倒になってしまいます。
これは教育としてはアウトです。なぜなら、会社が若者たちに目線を合わせてしまっているからです。
若者は、完璧な仕事とはどういうものなのかを知る機会がなくなります。だって気が付いたら完成しているのですから。また、ある程度進めたら先輩が仕上げてくれるという、無責任さが育ってしまうこともあります。
「ここまでやれば、あとは大人が何とかしてくれる」そんな意識が根づいてしまったら、将来が心配です。若者にたくさんの仕事を与えた結果、物足りない仕事ばかりが返ってくるようになる。
そんな40点を量産されてしまうと、施工管理としては品質事故や労働災害を起こしかねないまずい事態になります。やるべきことは、仕事の幅や量を絞って「質」の確保された仕事を最後まで経験してもらうこと。同じ「早く帰す」でも、話が違います。
たとえば「今日はここまでの成果を出せたから、もう帰っていいよ」と言える日があるなら、それは素晴らしい成長の証です。これによって、若者側が先輩のレベルに合わせることになります。
そして何よりも、「役割に応じた意識の違い」を尊重し合える関係性こそが、組織の強さを作っていくものだと思います。