皆さんこんにちは。
エンタです。
今回は本設のグラウンドアンカーが抜けた時の対処方を書いてみます。
緊張工においてグラウンドアンカーが抜けたとします。
この抜けたという表現は専門的に言うと付着切れと言う事です。
どの部分の付着が切れたかによって考え方が変わります。
この話も何回も書いていますので、グラウンドアンカーのベテランの方には飽き飽きした内容かも知れませんが、そこは知らない方のためにスルーでw
グラウンドアンカーの緊張の仕組みとしてPC鋼線とグラウト、グラウトと地山(定着部)の摩擦によって緊張することが出来ます。
抜けたのは、グラウトとPC鋼線の付着が切れたのか?、地山とグラウトの付着が切れたのか?
この辺が重要になって来ます。
問題の切り分けですね。
1,PC鋼線とグラウトの場合=PC鋼線に油付いてた?、グラウトの強度が低い?
2,地山とグラウトの場合=グラウトの強度が低い?、地山の摩擦強度が低い?(周面摩擦抵抗が低い)
1の場合だと施工ミスが濃厚になってきます。ただし、検証や確認がしにくい部分でもあります。(グラウト供試体は強度出てるw)
2の場合の周面摩擦抵抗(τ)が低くて定着長を長くしないと定着出来ない場合は設計変更の対象になります。(何本抜けたかによって)
この周面摩擦抵抗(τ)、タウと言いますが基本試験を行ってタウを求め設計計算に載せるわけですが、そんな現場ばかりでもないので机上で決定する場合も有ります。
また、地山が互層(いろいろな層が重なってる)になっている事により判定が難しかったりする為に一概に言えないところもあります。
余談ですが、「一概に言えない」って非常に便利な言葉で曖昧の最上級だと思っていますw
と、まぁ抜けた場合上記の様な事も考えつつ施工はどーするよ?ってなるわけですが、ゼッタイそこにしか打てない場合そのアンカーを抜きます。
ジャッキで少しずつ抜くしか有りません。
抜ければの話しですが、だいたいが途中で引っかかり抜けなくなりますねw(仮設は抜けます)
なので私の経験としては、とりあえず同じ穴に鉄切りビットでPC鋼線を切りながら角度を変えて削孔します。
角度を変えて削孔する際は位置と長さを考えて定着層に影響しない(抜けたアンカーと重ならない)ように打設すれば問題ありません。
だいたい3度程度上げるか下げるか左右に振るかですね。
あまり角度を付けすぎると頭部処理時の角度が5度を超えてしまうためダメです。(5度以内であればOK)書籍に書いてありますw
本来であれば上下どちらかに角度を振ると荷重が変わってしまいますが、再施工という事で同じ荷重という認識で行きましょう。
いやいや、そんなのダメだろ!?って思われる方は、そこだけ荷重を再計算し定着荷重を再検討する事も可能です。(ただし、そうなると受圧構造物の計算、全体の荷重も含め計算する必要になってくるため私はそこまでこだわり無いですw)
この際に、どの状況で抜けた?によって定着長を長くするのか?の検討も出てくるので気を付けて下さい。
ちなみにイメージですが、「パンッ」と弾ける様に抜けた場合はPC鋼線の付着切れで、ジャッキで荷重を掛けてもヌルヌルと荷重が下がったり、圧力を上げても荷重が上がらない場合は地山との付着切れかと思っています。一概には言えないですがw(あとは経験?)
下にYOUTUBEがあります。その抜けた瞬間のアンカーは「パンッ」ですw
どの様に抜けたかで対応や報告の仕方が変わりますが、基本は再施工!
施工ミスの場合施工者責任、地山の摩擦強度不足であれば設計時の推定(机上)ミスなので役所と協議になります。
ただし、設計の差し戻しは基本的にあまり無いので難しい所ではあります。
それではまた。
グラウンドアンカー工が抜けた時の対処方は経験値だけで誰も教えてくれない。