建設現場ではコミュニケーションが必須だが、使うと確実に嫌われる言葉がある。今回は、現場で使うと嫌われる言葉をいくつかご紹介しよう。
「俺わかんないからあの人に聞いて」
現場でわからないことがあって質問したとする。質問した相手が、「俺はわからないからあの人に聞いて」の一点張りだとどう思うだろうか。
私はこの言葉で何回もムッとした経験がある。聞いている人間からすると、具体的なアドバイスを求めているときにこの発言をされると「頼りない」という印象を持つようになる。
部下や後輩を持つ人間は、聞かれたらしっかりと教えられるよう、自分でも勉強をしておかないと嫌われる原因になるので注意が必要だ。
「俺のやり方が正しい」
人によって教え方や考え方は違う。聞く人によって、教えることが違うというのは建設現場ではよくあることだ。
私の場合で言えば、土木現場で丁張をかけていると、人によってかけ方が違うことがあるのだが、最終的に丁張が合っていれば掛け方はどうでも良い。それを、教えている自分が絶対に正しいと言う人間がいるが、これは混乱を招くばかりでなく、教わっている人間からすれば不信感を覚える。
それに、他の教えてくれた人を侮辱することにもつながるので、やり方が何通りもある方法については、「あくまでもこういうやり方もある」くらいのニュアンスで教えることが大切だ。
「お前のために言ってるんだぞ」
一見聞こえは良いが、最悪な一言でもあることを肝に銘じたほうが良い。言われた側は、意見を押し付けられているように感じるだけでなく、窮屈さも覚える。
自分の意見が正しいと強制的に思い込ませようとする印象を強く受けるため、絶対に言ってはいけない言葉の一つだ。
相手の意見を聞き出す前にこれを言うと、相手は意見を言いづらくなってしまうため、「お前のため」という言葉は控えよう。
「お前じゃまだ早いから俺がやっとくよ」
これも思いやりのようで、相手を傷つける言葉だ。現場で挑戦して成長しようとしている人間の意欲を踏みにじることになる。
現場で失敗した経験は、成長につながる貴重な財産だ。その貴重な時間を奪っていることに気付かなければいけない。
特に若者が挑戦しているときは、時間が迫っている場合を除いてはやらせてあげるゆとりを持とう。
「お前にはまだ早い」
上記に似た言葉だが、これもよく現場で耳にする言葉だ。この言葉は本当に人を傷つける。
「お前にはまだ早い」と言われると、まだ?いつやらせてもらえるの?いつか本当にやらせてもらえるのだろうか?と疑問と不信感につながる。
重機に乗る練習を空き時間でしている若者に、「まだ早い。燃料が無駄になるからやめろ」という言葉をかける人間すらいる。これは若い頃に私が実際に言われた言葉だ。
重機の操作を上手くなりたくて練習しているのに、それを否定されると、一気にやる気がなくなるものだ。早いなんてことは現場ではないし、早いと思うのであれば上司が横で見守って挑戦させればいいだけの話だ。チャレンジしている若者をもっと応援しよう。
――このような言葉をあなたは現場で使っていないだろうか?
現場では乱暴な言葉が飛び交いがちだが、相手を傷つけている言葉はそういった言葉よりも、実はもっと気軽に使ってしまっている言葉の場合が多い。よく発言を考えて言動をするよう心掛けよう。