足場屋はなぜ倒産するのか|独立しやすい業界ほど潰れやすい理由を建設業許可と足場リース代から考える

皆さんこんにちは。

エンタです。

最近メチャイロイロ追われてて、クッソ忙しいです。

特に見積・・・・

もーーーーーいや!って感じで・・・

年度末に向かって行ってますねー

閑話休題

先日、東京商工リサーチのTSRデータインサイトに、鳶工事業の倒産が過去最多ペースだという記事が出ていました。

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

うちは法面屋ですが、仮設足場はも施工します。
なぜかと言うと、ここ数年足場屋に頼んでもなかなか来てくれないので、自社施工になったんです。

足場屋がなぜ消えていくのか。
私の意見を先に言うと、簡単に独立できるからです。
これに尽きると思っています。

報道と建設業法の決まりと足場屋が潰れていく流れを現場で見てきた事、感じたこと合わせて書いていきます。


鳶工事業の倒産件数と東京商工リサーチの分析

東京商工リサーチによると、2026年1-8月の鳶工事業の倒産(負債1,000万円以上)は110件で、前年同期比26.4%増です。
1-8月で100件を超えたのは2010年以来、16年ぶりです。
このペースが続くと、年間で170件も視野に入るとされています。

鳶工事業には、足場だけでなく鉄骨や支柱の工事をする会社も我々法面屋も含まれます。

実際は足場屋のみの件数ではない事ということも承知しておいてください。

中身を見ると、もっと分かりやすいです。

  • 原因は売上不振が78件、赤字累積が24件で、業績不振が9割を超える
  • 資本金1,000万円未満が98件、従業員10人未満が101件
  • 人手不足倒産は19件で前年同期の約2倍、物価高倒産は9件で前年同期の3倍

潰れているのは、ほとんどが10人未満の小さな会社という事です。

一方で、業績を比較できる鳶工事業者1万5,941社の合計を見ると、売上高は4期連続の増収で、純利益も前期比24.4%増えています。
業界全体としてはアホほど仕事がある訳です。

それなのに、完工高1億円未満の会社は37.5%が赤字。
完工高10億〜50億円の会社の赤字率は7.0%なので、規模でハッキリ差が!!

人工数でも厳しいです。
同記事で、厚生労働省の7月の有効求人倍率は全業種で1.18倍ですが、鳶職人を含む建設躯体工事従事者は7.94倍です。
1人の求職者を8社近くが取り合っている計算です。
小さい足場屋が職人を1人辞めさせてしまうと、次の1人はまず見つかりません。

仕事はあるのに、小さい会社だけが潰れていく。
要は回せないんですよ。現場を。

鳶工事業の倒産件数推移と規模別の赤字率


足場屋の独立が簡単すぎる理由

ここからは、私が現場で見てきた足場屋さんの流れです。

足場屋の子達は、正直やんちゃな子が多いです(法面屋も結構多いですがwww)
かつてのヤンキー先輩の紹介や地元の仲間の誘いで、軽い気持ちで近所の足場屋に入ってきます。

仕事はしんどいです。
でも、同年代と比べればキツいなりにmそれなりにお金はもらえます。

5年もすると、同期の中で差が出てきます。

  • 図面を見て、材料の拾い出し(必要な部材の数量計算)ができる
  • お客さんからの評価が高く、名指しで呼ばれる

こうなると、だいたい次の気持ちが出てきます。

「俺でもできる!」
「なんでこんだけ頑張ってるのに、これだけしかもらえないんや!?」

ココで会社の看板をスッカリ忘れて自分だけの実力だと思ってしまうんです。

そして独立です。

足場屋は、独立のハードルが低い仕事です。
2tトラック1台と職人3〜4人のパーティーがいれば、とりあえず足場は組めます。
うちのような法面工事の仮設足場なら、そのくらいの人数で十分回ります。

大規模なマンションの改修になれば、もっと人手が要ります。
ただ、民間の小さな工事は個人事業主がツレの若い子集めてやっている方が多いイメージです。

会社を作る事自体は、誰でもいつでもできます。
問題は、作った後に必要になる知識を、それまで誰も教えてくれていない事です。

職人として5年間、材料の拾い出しと組立ては覚えました。現場は出来るんです。

でも、見積の作り方、原価の管理、社会保険の手続き、資金繰りは、現場では誰も教えてくれません。

独立した瞬間に、今まで勉強してこなかったツケが一気に回ってきます。

学校の勉強ってこう言う瞬間から発揮されます!国語、算数、理科、社会、図工!無駄だと思っているからこうなる。

材料の拾い出しができる事と、見積が作れる事も別物です。
拾い出しは「何を何本使うか」ですが、見積は「それをいくらで何日借りて、誰を何人工(にんく)使って、いくらで売るか」です。
親方の横で見積書を1回も作った事が無いまま独立する子は、結構多いです。

だから逆に大手ゼネコンや、地元ゼネコンの低単価で食い物にされている部分も十分に有ります。

足場屋の職人が独立を考える瞬間


建設業許可と社会保険が独立後の壁になる

独立してまずぶつかるのが、建設業許可です。

建設業法では、建設業許可が無くても請け負える工事を「軽微な建設工事」としていて、建築一式工事以外なら1件の請負代金が500万円未満です。
よく「月500万円まで」と勘違いされますが、月ではなく1件ごとの金額です。

しかもこの500万円は消費税込みで、注文者から支給される材料があれば、その材料の価格も含めて計算します。
税抜480万円の工事でも、税込にすると500万円を超えるので許可が必要になります。

たまに「600万円の現場なら300万円ずつ2本に分けて契約すればいい」と言う人がいますが、これはダメですwww
許可逃れのために1つの工事を分けて契約するのは脱法行為とされていて、分けても合計額で判断されます。
無許可で500万円以上の工事を請け負えば、建設業法違反で罰則の対象になり、その後5年間は許可が取れなくなる。
発注した元請側も違反になるので、まともな元請はそもそも発注してきません。

足場工

じゃあ許可を取ればいいじゃないか、となりますが、これが簡単ではありません。

法律上建設業許可を取るには主に次の要件が必須です。

  • 経営業務の管理を適正に行う能力がある事(建設業の経営経験など)
  • 営業所ごとに、資格か実務経験のある技術者を置く事
  • 自己資本500万円以上か、500万円以上の資金調達能力がある事
  • 適切な社会保険に加入している事

社会保険は、2020年10月から許可の要件に入りました。

法人なら、代表者1人でも健康保険と厚生年金の加入が必要です。
従業員を雇えば、その分の会社負担も毎月出ていきます。

そして工事入る際に、保険の有無の確認や、書類の提出を求められますよね?

あれって国土交通省の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」で、元請には下請の社会保険加入を指導する役割があるからなんです。

公共工事や大手の現場に入る下請は、社会保険の加入状況を100%確認されるのが今の常識です。

許可も社会保険も無い足場屋は、500万円未満の民間工事で食べていくしかない訳です。

しかも500万円未満の工事を、職人3〜4人で次々に回していく。

1本1本の金額が小さいので、1本赤字を出すと取り返すのは至難のワザ。

しかも材料込みとなると・・・

建設業許可と社会保険の書類に向き合う独立直後の社長


足場材リース代と人件費で利益が消える原価計算

倒産の最大の理由がお金です。

仮に建設業許可を取って、5人くらいで回している足場屋があったとします。

売上から出ていくお金は、ざっくり次の通りです。

  • 職人5人分の給料と、会社負担分の社会保険料
  • 足場材の費用
  • トラックの車両費、燃料代、運搬費

足場材は、独立したばかりの会社が全部買いそろえられる金額ではありません。
なので、ほとんどの会社はリースから始めます。

このリース代が、ホントにキツいんです。
リース料は借りている日数と数量で積み上がっていくので、工期が延びればそのまま原価が増えます。
うちも最初足場をはじめた頃は借りてたんです。

実際借りてみると最終的に受けた金額の半分近くをリース代に持っていかれましたw

それには理由があって、工事してると一部分に負荷が掛り単管曲がったり、足場板割れたりクランプ無くなったり。。。

くっそ請求されるんですよw

だからうちはもう買いまくりですw

足場材買いまくりましたよ!!

涙目で血反吐を吐きながらwww(私ひとりがw)

だから材料はホント大事にして欲しいです!(切に願ってる!)

 

それましたが、その辺まで考えて単価を決めて受けられればいいんですが、多くの場合そうなっていません。

「仕事をやれば儲かる」と思って、とにかく受けてしまう。

これが一番危ない。

私の案として、独立前にこれだけは計算できるようになってほしいという式があります。

粗利=請負金額-(人件費+社会保険の会社負担+足場材リース代+車両・燃料・運搬費)

これは最低限ですよw

具体的に、税込400万円の現場で考えてみます。
リース代が半分の200万円かかれば、残りは200万円です。
ここから5人分の人件費と社会保険料、トラック代を払って、まだ手元に残るかどうか。
残らなければ、その現場は受けた時点で赤字が決まっています。

赤字か黒字か?

もう一つ見落としがちなのが、お金が入ってくるタイミングです。
工事代金は、完成して請求を上げてから入金までに1〜2ヵ月かかるのが普通です。
その間も、職人の給料はその月に支払います。リース代次月でもイイと思いますが。

現場を増やせば増やすほど、先に出ていくお金が膨らみます。

計算していれば、黒字の現場ばかりなのに、手元の現金が足りなくて給料が払えない。

これが小さい会社の一番多い潰れ方。

さらに怖いのが、雨や他業種の遅れで工期が延びた時です。

組んだ足場は解体するまでリースの日数がかかり続けます。

法面の現場でも、吹付の段取り待ちで足場が1週間組っぱ、というのは普通にあります。

東京商工リサーチのデータで、倒産原因の7割が売上不振、2割が赤字累積でした。

推測ですが、その中身の多くは、自分の原価を知らないまま安く受け続けた結果だと思っています。

職人として腕を上げる事と、会社としてお金を残す事は、全くの別物です。

独立するなら、材料の拾い出しと同じくらい、原価の拾い出しもできるようになってからにしてほしいです。

法面屋も独立しやすい業界なのですが、法面屋の場合はあまり派手な人がいないんです!

だから逆に倒産しにくい傾向にもあるように思います。

足場屋は派手ですからね~(そんなイメージ強いw)

足場材リース代と人件費の原価計算

 


足場屋は、うちら法面の会社にとって無くてはならない存在です。
足場が無ければ、アンカーは1mmも進みません。

だからこそ、腕のいい職人が独立して、2〜3年で消えていくのを見るのはホントに悔しいです。

独立する事自体は悪い事じゃないと思います。
ただ、会社は腕だけでは回りません。
建設業許可、社員給与、社会保険、リース代、そして自分の原価。
ここを知らないまま独立すると、どれだけ頑張っても残るのは借金です。

もし今、独立を考えている若い職人さんがいたら、まず1現場分の原価を自分で計算してみて下さい。
それで利益が残る単価を言えるようになってからでも、遅くはない。

なんなら私が全て教えますよ!

お金の計算の仕方。

いくらで請け負えたら儲かるか?

単価がいくらを切ったら赤字になるか?

そして一番大事なことは、ちょっと上手く言っても調子に乗らない事!

先日も足場屋の事件ありました。

《つくば刺傷》「やっちまおうぜ」6人の若手従業員が“結託”し社長(28)を刺し殺人未遂で逮捕…背景に残業・給料めぐるトラブルか…過去には従業員と親しげにBBQも

やんちゃが抜けず、大人になれず、イライラを行動に移した結果です。

学校で道徳をしっかり学ばなかった結果なのか?

ホント残念な事件です。

こうならない為にもしっかり学んでからの独立でイイと思います!

建設業の足場屋の未来は結構明るいと思っていますが、自ら潰しに行くような事をして欲しくないです。

 

それではまた。

監督が言ってはいけない言葉|現場マネジメント

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。