法枠工の設置方法を徹底比較|地山なり配置と直線配置、メリット・デメリットとコストの違い

皆さんこんにちは。

エンタです。

先日、久しぶりに古い現場の写真を整理していたら、7年くらい前に自分が書いた記事が何本か出てきました。

読み返してみたら、書いてる事は今でも間違ってないなと思う反面、話がブツ切りで3本に分かれていて、正直今読むと分かりにくいw

法枠工

閑話休題

という訳で今回は、以前バラバラに書いていた「法枠の設置方法」の話を1本に整理し直します。

法枠を地山の形に合わせて曲げて設置するか、それとも直線で通すか。

これ、現場に入ったばかりの人ほど「見た目」だけで判断しがちなんですが、実はコストと施工性にモロに響く話し。

法枠を「曲げる」か「真っ直ぐ通す」か、永遠の悩み

まず大前提として、法枠工は山の形状に合わせて作るのがフリーフレームの原則です。

とはいえ、現場では見た目の問題や施工の都合で、あえて直線で通す選択をする事もよくあります。

法枠の設置

上の図は上からの断面図です。ニュアンスだけ掴んでもらえれば十分です。

地山に沿って設置するとこんな感じになります。

一般的に施工するのは□200~□300クラスの法枠で、鉄筋がD10~D13であればかなりフレキシブルに曲げて作れます。

しかし鉄筋径がD16以上になってくると、これがかなり厳しくなります。

地山の形状によって「曲げられる」「曲げられない」がハッキリ分かれてきます。

鉄筋径で決まる「曲げられる、曲げられない」

法枠設置

上の写真くらいの曲がり方であれば、ザックリこんな感じに収まると思ってもらえればOKです。

どちらが良い悪いという話ではないのですが、これを横断面で見るとまた印象が変わってきます。

法枠設置 地山

これが地山なりの設置です。

法枠設置 真っ直ぐ

こちらが法枠を直線で通した設置です。

私は結局、設置方法によっての一番大きな違いはコストだと思っています。

見た目の好みでどちらかに決めがちですが、そのコダワリが実行予算にどう反映するのかを、まず知っておいた方が良いという事です。

直線で通す場合のメリット・デメリット

法枠を通した場合のメリットは、私の感覚だと次の3つです。

  • とにかく見た目が良い
  • 鉄筋組立が若干早い(気がする)
  • グラウンドアンカーや鉄筋挿入工の足場・打設がしやすい

正直に言うと、思ったよりメリットは多くありません。

一方でデメリットはこちらです。

  • 鉄筋組立・吹付時の材料ロスが半端ない
  • ゲタ・伏せ網の設置手間が面倒
  • 材料費が2割以上上がる(感覚として)
  • 人工数が増える
項目 直線配置 地山なり配置
見た目 整って見える 正面からはそれほど変わらない
材料ロス 多い(法枠交点で調整が必要) 設計+ロス程度で収まりやすい
伏せ網・ゲタ 使用箇所が増え手間が増える 使用箇所が減り手間が減る
アンカー・鉄筋挿入工との相性 足場・打設がしやすい 枠の交点で角度が付くと施工しにくい場合がある
コスト 私の現場感覚で2割以上増える事もある 比較的抑えやすい

法枠工の配置比較図

地山なり配置のメリット・デメリット

逆に、山なりに設置する場合のメリットは私の経験上こうです。

  • モルタル量が設計+ロス程度で収まる
  • 伏せ網を使う場所が減り手間が減る
  • 掘り込みが浅く済み、施工の進捗が予定通り進みやすい
  • 正面から見た場合、直線配置とそこまで印象が変わらない
  • 施工延長は直線配置より伸びる傾向がある(増工側に振れやすい)

デメリットはこちらです。

  • 鉄筋を曲げられる太さに限りがある(前述のD13/D16問題)
  • 鉄筋を曲げる手間そのものが大変
  • コテが当てにくい場所が出てくる
  • 法枠の交点で曲がると、グラウンドアンカーや鉄筋挿入工が施工しにくい
  • ピッチの出来形が分かりにくくなる(投影面積で見ればOKですが)

なお法枠工そのものの設計・施工の考え方は、一般社団法人全国特定法面保護協会が「のり枠工の設計・施工指針」に則っています。

業界としてはこれが実務上の参照先になっているとされていますが、上記の事は書いていませんw

実際にどれくらいコスト差が出るのか

会議

私も昔、見た目にコダワって直線で通した事があります。

その時の予定人工・材料費は、実行予算よりも2割以上高く付いた経験があります。

現場条件によってこの2割という数字は上下しますが、それでもロスが多く出る方向に振れやすい、というのは間違いないです。

2割増しで施工しても、施工業者側の単価はそう変わりません。

つまり、施工側の意見としてはコストが低い方が良いのが本音です。

ただ監督・発注者側の意見として「見た目重視で直線に」となるケースも普通にあります。

なお、あと施工でグラウンドアンカー工や鉄筋挿入工が入る計画がある場合は、直線で通した方が多少施工性が上がる傾向があります。

逆にあと施工(アンカー等)が無い現場だと、直線にするメリットよりコスト増のデメリットの方が大きくなりがちです。

現場で意思決定する時に見ておきたいポイント

一部だけ岩が張り出している法面で、そこだけ曲げるのか、岩を削ってしまうのか、という判断が必要になる場合もあります。

フレーム工法は自由度が高い工法なので、やり方次第で元請・下請どちらも得をする事もあれば、逆に両方が損をする事もあります。

だからこそ、どう設置するかは元請・下請で早めに打合せしておいた方が良いですねー。

見た目のコダワリを持つ事自体は悪くないのですが、そのコダワリが利益にどう反映するのかを、着工前の打合せの段階で一度確認しておくべきですね。

私が確認している順番

着工前に次の順番で確認するようにしています。

  • あと施工でアンカー工・鉄筋挿入工が入る計画があるか
  • 鉄筋径がD13かD16以上か(曲げの可否に直結)
  • 発注者・設計者が見た目(直線)にこだわりがあるか(ここはたぶんないw)
  • 実行予算にどれくらいの余裕があるか(周囲の状況とコストのバランスも考えて)

この4つを押さえておくと、着工後に「思ったよりコストが掛かった」という展開はかなり減らせます。

現場に応じて答えは変わりますが、何が大事で、何が必要で、何を削れるのか。

そこを毎回きちんと考えることは法枠を施工する上で大事かなーと感じます。

 

それではまた。

鉄筋挿入工の割り付けの基本|東名集中工事の渋滞回避

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください