施工の神様 BH

工事書類で特に重要な「工事打合せ簿」を書く7つのポイント

工事打合せ簿は「だれが見てもわかるように!」

「発注者に工事の変更をなかなか認めてもらえない・・・」「メールやASP(情報共有システム)で書類を送った後、必ずといってよいほど、その内容について質問がきてしまう・・・」――こんな経験はないだろうか?

私も初めて提出した工事打合せ簿から20年以上経ったが、未だに発注者から指摘をいただくことがある。その度に技術力不足を痛感してしまう。

「言葉で説明できても、書類で書かなきゃ認めません。工事打合せ簿は、誰が見てもわかるように!」――異存なしである。

初めて提出した工事打合せ簿は「意味不明」

私が初めて提出した工事打合せ簿は、「意味不明 ×(バツ)」とA4コピー用紙半分に硬質の赤鉛筆で大きく書かれた。工事担当の建設省(現:国土交通省)の建設監督官にはこう言われた。「何がいいたいの?誰がみてもわかるようにかいてきてよ。文章もっと勉強しなさい!」当然、認印はもらえない。

発議の内容は、新たに施工する擁壁に干渉する既設ブロック積の処置方法。旧ブロックの一部を壊して補修するのだが、その施工方法を文章や絵(図面)で伝える事ができなかった。

今、読み返すと笑える。何を伝えたいかさっぱりわからず、意味不明といわれても仕方がない。それは私の文章作成能力と技術力が乏しかったからだ。

工事の進捗や原価に影響する工事打合せ簿

工事打合せ簿の善し悪しは当然、工事の進捗や金額にも影響する。

発注者から承認をもらうことができなければ、次の施工ステップに進むことが困難になってしまう。さらには増工事分の費用を認めてもらえない事態も発生するかもしれない。

説得力のある書類を迅速に書くことに慣れることこそ、工事を順調に進める早道となるかもしれない。

そこで今回は、工事打合せ簿の中でも特に重要な「協議書類」の作成ポイントを7つ考えたい。

工事打合せ簿を書く7つのポイント

工事打合せ簿の作成ポイントを考えるにあたって、例として「軟弱なため、車両の通行が困難な工事用道路をなんとかしたい」という協議書類を構想する。国交省の河川工事で実際に私が提出したものだ。いつもどおり、数回の追記や手直し後にようやく承認された協議書である。

1. 題名をつける

協議書は発注者の工事担当職員だけが精査するとは限らない。監督員、主任監督員、その上司や検査員、さらには会計検査官も調べる場合もある。いきなり「工事用道路がぬかるんでます。砂利を敷きたいのでお願いします」とは書かない方がよい。工事用道路が工事のどの工種に属して、該当場所はどこか、くらいの情報は書きたい。「仮設工 工事用道路 起点付近についての協議」とツリー形式で題名をつければ理解しやすいと思う。

2. 課題を書く

この書類ではまず何を協議したいのか。先に要旨である課題を記述するとわかりやすい。「距離標右岸○○km付近側道。工事用道路のトラフィカビリティーを改善したい」このように書けばどうだろうか。「工事道路が軟弱なんだな」と想像できるのではないか。

3. 問題点を書く

次になぜ、工事用道路のトラフィカビリティーを改善したいのか、ここで論じたい。ボトルネックとなる問題点を述べて協議の理由を明確にする。「ダンプトラック走行に必要なトラフィカビリティーが得られない」等、可能な限り専門用語も交えて書く。協議場所の写真等も添付すれば、いっそうわかりやすいと思う。

4. 現況を数値で示す

次に監督員が知りたくなるのが現状の状態だと思う。現場は現在どのようなのか状況を詳細に示したい。簡易的な計測機械でもいいので、土の状態を数値で示す。例えば、「コーンペネトロメーターによる地盤強度の測定をした。ダンプトラックの走行に必要なコーン指数値は得られなかった。」と工学的な根拠を数値で示すとよいと思う。

5. 努力を見せる

現場で可能な対策は講じて、そしてその結果はどうか。技術的に体を動かして対策を講じていれば、さらに協議書の内容は増す。例えば「粒度分布のすぐれない土砂に対して、付近河床の土砂を混合して粒径を補いました。細粒分が多く大規模に土砂混合をしなければ、粒度分布は改善されないと判断されます」・・・実地対策が困難であれば推量案だけでもよいと思う。

6. 比較検討をする

現場で考えられる対策を数案、立案する。「1敷鉄板」「2添加材料による土質改良」「3河川内土砂の利用」「4砕石の敷設」など。代替案で作業性や工期、費用などをわかりやすく表で比較する。この星取表はぜひ、つけて欲しい。協議書のクオリティーが格段と上がり、説得力が増すからだ。

7. 対策の根拠を添付する

結論を「4砕石」の敷設に決定した場合は、必要な厚さをどう求めたかCBR計算等、根拠となる計算式も必要となる。使用した公式等があれば引用先、文献等のコピーを添付したい。立案した対策に係わる工事費も発注者の気になるところだ。積算データの内訳も合わせて提出したい。

工事打合せ簿を書くポイントをまとめると、次の7つになる。

  1. 題名をつける
  2. 趣旨(課題)を書く
  3. 問題点を書く
  4. 数値で示す
  5. 努力を見せる
  6. 比較検討をする
  7. 対策根拠を添付

工事打合せ簿の書式の例

次に、工事打合せ簿の書式の例を挙げておくので、参考にしてほしい。

1.  仮設工 工事用道路 起点付近についての協議

2. 趣旨(課題)
距離標右岸○○km付近側道。工事用道路のトラフィカビリティーを改善したい。

3. 問題点
工事車両の走行が困難で資材の搬入ができない。①高有機質土で含水比が高くトラフィカビリティーが得られない・・・。

4. 現況
コーンペネトロメーターによる地盤強度試験の結果・・・。

5. 現場での対応
粒度分布のすぐれない土砂に対して・・・。結果・・・。

6. 対策検討
施工性 ○
経済性 △
留意点 ・・・

7. 添付書類
7-1. 土質写真 作業状況写真・・・
7-2. コーンペネトロメーター試験結果・・・
7-3.コーン指数とCBRの関係式・・・ ○○文献 ○○設計要領・・・
7-4.積算資料・・・

いかがだろうか。工事打合せ簿を書く際の7つのポイントは、今までお世話になった建設監督官や担当技師から教示された、発注者目線からの工事打合せ簿を作成する要点なので参考になると思う。

工事打合せ簿に決まった書式や書き方はないので、もっと簡潔にしたりオリジナリティーをだして、技術力もアピールすれば工事評価点の向上も期待できるかもしれない。

施工の神様


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