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「週休2日」という名の「負担増」。シワ寄せはいつも技術者に…

施工の神様Posted 2018.08.06
施工の神様

週休2日工事のリアルな実態

東京都建設局の発注工事は今年度から、全て「週休2日工事」となった。一応、試行工事なので、やるかやらないかの選択は受注者にあるが、わが社でも練習がてら週休2日を実施している。

社内会議でも賛否両論あり、実際の現場運営も難しいが、今のところ、技術者のスキルとやり方次第では、出来なくはないかなという実感を抱いている。

そこで自社の技術者と職人、周囲の企業の意見を参考に、週休2日工事のリアルな実情について紹介したい。

週休2日工事は経験豊富な技術者ならカンタン?

まず、東京都の週休2日制の考え方だが、1週2休だけが週休2日として認定されるわけではない。対象期間において4週8休以上であればよい。また降雨、降雪等の予定外の閉所も、週休2日に含めることができる。

この考え方は非常に建設的な考え方だと感じている。やはり工程を組む際は、工期全体、月単位、週単位と考えるが、どうしても工種によっては遅れが出たり、品質管理上の基準にあてはめるとその日でなければいけなかったりと、週単位だけでの調整は非常に難しいからである。

月単位および降雨等の現場閉所も含まれるのであれば、週休2日の実現は、それなりの経験を持った技術者ならば、さほど難しくはないだろう。

しかし実態はそう簡単ではないのである…。

週休2日工事の問題点

週休2日工事には、大きくわけて2つの問題がある。

1つ目の問題は技術者の負担増だ。これは技術者であれば、容易に想像できるだろう。

現場閉所と言っても、ただ休めばいいということではない。まず月ごとに現場閉所計画書を提出し、次に、日毎および予定外の閉所日に現場閉所届を提出し、そして、工事完了時に現場閉所報告書を提出する必要がある。通常提出している工程管理とは別の様式で、書類を作成提出しなければならいということだ。

内容だけ見れば普段から行っている工程管理の延長線上なので、そこまで難しくないと感じるが、公共工事において技術者は、現場専任がほとんどである。

つまり、現場が終了した後、残業や土曜日、あるいは降雨等での閉所日に、様々な書類を作成している中で、さらに負担が増えることを意味する。ベテラン技術者にとっては難しいことではないが、精神的な部分で不満はないかと聞かれればウソになる。

結局のところ技術者だけは休めないのである。まして昨今は技術者の人手不足から、若手技術者が早期から現場を任せられるため、精神的に余裕のない若手にとっては間違いなく負担増である。

閉所日は他の現場や民間工事で施工

2つ目の問題は、週休2日工事の現場が閉所日になっても、他の現場や民間工事の仕事を施工していて、実際は休んでいないという点だ。企業と職人の意見が一致した上で、こうなっているので、簡単には解決しないだろう。

まず企業側としては、ゼネコンと中小零細で事情がやや異なる。

受注数の多いゼネコンは、他現場といくらでも休日の調整を出来るし、民間工事の現場ならそれこそ週休2日なんて関係ない。

一方、中小零細企業は、技術者の数が限られているうえに、受注数も閑散期と繁忙期で著しく偏りがあるため、創意工夫や休日を使って工期短縮し、一日でも早く次の受注準備をしたい。

対する職人に至っては、給料だけで考えれば「現場に出てなんぼ」の世界である。となれば、仕事の無い閑散期は仕事に出たくても出れず、繁忙期まで仕事数が減れば死活問題に直結するのである。

しかし、中小零細、特に地場コンの零細企業は、閑散期の受注数が圧倒的に少ない。というよりは無いと言ったほうが近い。

ゆえに、仕事を求めた職人たちのゼネコンへの流出という問題まで発生しうる。地場コンの最大のメリットは除雪や地震といった災害への緊急対応であるが、現実にそれが出来なくなりつつあるのだ。

最優先すべきは「工事発注の年平準化」

では建設現場における週休2日の普及に向けて、どういう解決策がありえるのか、現場目線で考えてみる。

昨年8月の「建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」でも意見が上がっていたが、おそらく次の3点が解決策の候補になるだろう。

  1. 工期算定の見直し
  2. 経費計算の見直し
  3. 工事発注の年平準化

「1.工期算定の見直し」については、創意工夫と工期のダンピングの見分け方が難しい。「2.経費計算の見直し」についても、本来は技術者を複数名つけられるようにするのが良いのだろうが、何名つけるかは受注者次第であるため適切な設定は難しい。

となると残るは「3.工事発注の年平準化」なのだが、早期に改革可能なのは、これしかないだろう。まず工事発注の平準化によって、受注の見通しがある程度改善されることで、長時間労働に繋がる工期のダンピングが減る。

次に年度を通して雇用が生まれるため、職人も繁忙期に無理に出る必要は無くなり、当時者の考え方が変わることで、週休2日の普及が加速する。また結果的に職人の流出防止にもつながる。

ただそのためには、発注者が、第1または第2四半期分の設計および予算を、前年度に行う必要がある。もちろん実現にあたって、官僚や役人はそれなりに苦労するのかもしれないが、技術者の私からすれば、さほど難しくないように感じる。

発注者が変われば、建設現場も週休2日になる

建設現場も週休2日になるべきであり、いずれはなるであろう。しかし、今のように、そのシワ寄せが技術者に来るのはよくない。

別に職人を悪く言うわけではないが、極端な話、100人の職人がいても、技術者が1人もいなければ現場は動かないのだ。

私は、もっと技術者に重きを置く仕組みにすべきだと感じている。

そして週休2日の早期実現のためにも、公共工事である以上は、やはり発注者から変わるべきである。


“「週休2日」という名の「負担増」。シワ寄せはいつも技術者に…” への2件のフィードバック

  1. マックロかんりしゃ より:

    けど、正直難しい話ですよね。
    受注者の対応も企業によって考え方が違うし、無理を承知でやれやれ言う管理者もいるのでは…
    自分もどうかといわれれば、無理を言わなければいけない現場もあるし…
    上請け、自社、下請け、全てが同じ考えでなければ意見は一致しないので…
    まぁしばらくは無理でしょう。工程に余裕がなければね❗

    • enta より:

      お疲れ様です。

      そうですね、ようは工期ですね。工期が延びれば工事費が上がりますからね。
      ただでさえ安く早くって言われているのにw

      難しいでしょうけど、そのうちそうなるんでしょうね~
      無理矢理にでもw

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