某渋滞対策工事の現場で見た現実
先日、私(セキサンシロート)が投稿した記事(工程表に用いる”1日あたり作業量”って、どう設定していますか?)に、多くのコメントをいただき、感謝申し上げる。すべて目を通させていただき、ありがたいことこの上ない。まだまだ青二才、というかど素人に近い土木技術者には、すべて貴重な教材である。改めて感謝申し上げる。
この文を投稿しようと考えたきっかけとなった現場があり、それは某基幹道路の渋滞対策工事の現場であった。派遣社員として某ゼネコンの工務・CADオペ担当として私は現場で働いていた。もちろんだが設計成果があり、道路や橋など概ね全体を網羅する設計成果をもとに工事を進めていた。
ところが、現場ではどうしていたかというと、現場で設計をやり直していた。設計成果が全く活用できなかったのだ。すべてが使えなかったというわけではないが、土工にしても構造物にしても、設計図面を活用できなかった。
設計図に描いてあっても、現場に行ってみるとどうしても重機が入らない場所がある、設計図通りに工事を進めると、どうしても目標としている供用時期に間に合わない、といったことがたくさんあった。コンサルからすると、現場の状況などから頻繁に現場を見に行けなかったのだろうと思われる。
コンサルの立場もわからなくはない。ただ、ここまで設計図が使えないのか・・・、と私にとっては衝撃だったのだ。おそらく、コンサルは現場でどんな作業が行われるか、工程はどうなるのか、を全く考えていなかったのではないだろうか。
コンサルも現場に入るべきか?
コンサルの設計成果は現場で使えない、という声を聞く。前述した投稿記事を見ても、積算基準は使わない、ということを書かれておられる方もいる。
コンサルにしてみれば、積算基準くらいしか根拠として説明がつかないという理由で積算基準を活用しているのだが、それは言い換えると「現場を知らないから積算基準しか根拠として活用できない・説明できない」とも表せるのかもしれない。
実際のところ、建設コンサルタント技術者の多くは現場を知らない。建設コンサルタント会社にお勤めの方々とお話を伺ったことがあるが、皆さん口をそろえて「現場のことを知らない」とおっしゃっていた。全くわからないというわけではないだろうが、「現場経験がない」という意味だろうと私はとらえている。
現場経験がないから、実際に現場でどんな作業が行われているのか(行われるのか)のイメージがわかないのではないか。私がそうで、現場で働く前までは現場でどんな作業が行われているかどうか全くイメージがわかなかった。作業手順なんて考えたことなかったし、重機が作業ヤードに入る・入らないなんて思いもしなかった(現場の皆様、申し訳ございません・・・)。
なので、建設コンサルタント技術者も現場に入ったほうがいいんじゃないか、と勝手に考えている(余計なお世話かもしれないが)。
もちろん、施工管理として入るわけではなく、設計支援として入るのはどうだろうか。経験ある方であれば施工管理として入るのはOKだと思うが、経験がない人のほうが多い。であれば、設計支援とか設計係という立場であれば現場に入れるのではないか。
現場に想いを馳せた設計&計画を
せっかく時間をかけ手間をかけ、苦しみを味わいながら設計成果を取りまとめたのに、活用されない(活用できない)のでは、いったい何のためにやってんだか・・・と思ってしまう。それは現場の方や発注者の責ではなく、コンサル技術者が自ら招いていることである。
自分たちで「思い思い」の計画をまとめて「仕事したゾ!(キリッ)」とまではないだろう
他ならぬ私(セキサンシロート)がそうだった。苦労してまとめたものなら、使われないより使ってもらったほうがありがたいし、使われないものを作っていたのならそれは申し訳ないプラス情けないことこの上ない。
どうせなら、少しでも現場に想いを馳せた設計や計画を心掛けたい(簡単ではないが、やっていきたい)。