失敗をして気付いたこと
土木施工管理技士として働き始めて、早いもので5年が経った。忙しい毎日の中で、様々なことを経験させてもらった。5年もこの仕事をしていれば、当然、嫌なことや失敗もたくさん経験した。
恥ずかしながら、自分の段取り不足で仕事が止まってしまった・・・なんてこともあった。そういった失敗をしていく中で、私は「見えない努力」の重要性に気が付いた。
そもそも、「見えない努力」とは一体何か。私は、施工管理技士における見えない努力は、大きく分けて2つ存在すると考えている。
1つ目は、段取りだ。例えば、図面を書くときに職人さんに分かりやすく色分けをする、説明をするときに直感的に理解しやすいように3D図面にするなど、こういったことは見えない努力ではあるが、この努力によって現場がスムーズにいく。
しかし、残念ながらこういった努力は、職人さんには気付かれないことが多い。3D図面など作成するために徹夜したとしても、職人さんに見せたところで「分かりやすくていいね」と、そのくらいの感想で終わってしまう。材料の発注や事前測量なども、施工管理技士の業務ではあるが、そういった業務の中にいくつもの見えない努力が隠れているのだ。
2つ目は、環境づくりである。職人さんが仕事をしやすいように、時には設計変更を提案して施工方法を変えたり、施工のしやすい材料に変更するなど、これらを当たり前に行っている現場監督は多いが、こういうことこそ立派な「見えない努力」だ。
見えない努力=感謝されない
ここまで、「見えない努力」の重要性について話をしてきたが、その重要性を忘れないためにも、心掛けておくべきことがある。それは、見えない努力=感謝されないということだ。
上記で述べた通り、施工管理技士の業務の特性上、いくら段取りや環境づくりを頑張っていたとしても、それは当たり前といった見られ方をする。図面を作るためにいくら残業しようが、変更の書類作成のためにいくら徹夜しようが、次の日に図面を眺める職人さんたちはそんなことは知らないし、関係ない。
だからこそ、”感謝されない”ということは理解しておいたほうが良い。そうすることで、「こんなにやったのに」「なんで感謝してくれないんだ」といった無駄な感情に踊らされることもなくなる。
実は、以前の私はこれが理解できていなかった。毎日、徹夜してまで考えた変更案を「無理」と一蹴され、かなり壮絶な言い合いをしたことがある。しかし、今ならその時の相手のことも理解できる。結局は、相手もプロなのだ。
いくら自分自身が頑張ったと思っても、最終的に良い結果が出せなければ、何の意味もない。機能がまったく良くない商品を、100万円で買ってくださいと言っているようなものだ。自分では頑張ったつもりだったが、結局は、私の考えた施工案がクソだったのだ。
私もそうだったように、多くの人が、感謝をされないからという理由で「見えない努力」を怠っていく。ベテランになればなるほどだ。施工管理技士としてスキルを磨く、独立する、フリーランスとして活躍したいと思っている人ならば、見えない努力を継続することは避けては通れない。
感謝はされないかもしれないが、小さなことの積み重ねが自分の経験値になる。3D図面を作って、仮になんとも思われなかったとしても、3D図面を作るスキルは確実に身に付く。
私のように、施工方法を変更して一蹴されたとしても、自分で工法を模索し、結果的にもっと良い施工方法を知ることで、より一層理解が深まる。無駄な努力は無いとは言わないが、建設業界では「見えない努力」をすることで自分の経験値が上がっていくことは間違いない。
「見えない努力」の重要性を、是非理解していただきたい。
施工の神様より