建設業界における独立起業の真実
インターネットで「独立」とか「起業」と検索したら役に立つ情報や、気になる話の記事がでてきますが、ほとんどはホワイトカラーの人達の記事です。
好きな時間に好きな物が食べられて幸せだとか、好きな時間に仕事ができるだとか、建設業界では全く参考にならないことばかり書いています。
建設業界は、他業界よりも自ら起業して独立する率が高いにも関わらず、独立された方々の情報は意外と少ないと思います。
そこで設備屋として独立した私が実際どうなのか意見を述べさせてもらいます。
収入は増えたが、前よりケチになった
まず、気になるお金ですが、会社勤めの時よりは上がりました。
当然少ない時もありますが、仕事をやったらやるだけ収入が増えるのはモチベーションアップになります。
この辺は他業種と同じです。
ただ、建設業界は下請けで仕事を頂くことが他業種よりも多いと思います。そのため、仕事がないリスクは低いかもしれませんが、利益率も低いかもしれません。
特に自分の専門外の仕事を受けて他の業者や職人に仕事をお願いする場合、責任や手間の割に利益は少なくなります。
確実に言えるのは、モノを大事に扱ったり、経費の管理に気をつけるようになります。
例えば、1万円の仕事で1千円の利益ならば、1千円の経費削減は1万円の仕事と同じ価値ですからね。
ケチな会社の社長の気持ちが理解できるようになりました。
それと、独立してから簿記2級を取得したのですが、個人的にはあまり意味なかったなと思います。
起業後、時給は3倍になった
次に時間ですが、当然、会社勤めの頃よりずいぶんと自由に使える時間が増えました。
会社勤めでとにかく辛かったのが、直行直帰できなかったことです。
何の意味もない朝礼や日報の作成、その他苦痛以外の何者でもない不必要な事務作業のために会社に出社して会社から退社しなければなりませんでした。
ガソリンを入れるとリッター数と距離数を用紙に記入して、確認のハンコをもらわなければなりませんでしたが、一体何の意図があったのか未だにわかりません。
現場に行かず海に泳ぎに行くとでも思っていたのでしょうか?
色んな思い出がありますが、どれも懐かしくなく苦い思い出ばかりです。
私は年末の30日に大掃除で社長のBMWを洗車している時に退社を決意しました。
すいません。ただの愚痴になりました。
とにかく拘束時間は大幅に少なくなったので、収入の変化も考慮して時給で考えると3倍以上になったかもしれません。
ただ、領収書の整理や請求書の作成、保険や資格更新のための書類の提出、銀行振込など会社員の時にはなかった仕事がたくさんあります。
どれも怠れば大変なことになりますので、結構気を使います。
独立起業しても仕事は選べない
マイナス面ですが、よく他業種で独立したら仕事を選べるとか聞きますが、少なくとも私は選べていないです。
というのも下請けの場合、間に入ってくれている方の顔があるので断り辛いです。
また、いつ仕事がなくなるかもしれないという不安があるので、どんな仕事でも受けてしまいます。
実際、2011年の震災後、しばらく住宅設備機器関係の仕事はありませんでした。
東北に部品工場を持つメーカーが生産をストップしたからです。
自分の技術で仕事をしているといっても、建設業の仕事はつながりで成り立っている事を実感すると、結局、自分の我は捨てざるを得ません。
公的年金だけでは生活できない
会社勤めなら収入に応じて厚生年金はそこそこあると思いますが、個人事業主なら国民年金だけですし、法人形態でもほとんどの方は給料を少なく設定していると思いますので、厚生年金もそれに合わせ少なくなります。
ですので、個人型確定拠出年金などで積み立てていかないと、将来の生活が不安定になります。
もし独立されるなら、この辺りは税金関係を任せる税理士さんや会計士さんに相談したり、ファイナンシャルプランナーに相談したりするといいかと思います。
転職という選択肢もある
会社勤めが楽しいのであれば収入が安定しているサラリーマン職人もいいかと思いますが、他業種と違って建設業界は独立の参入障壁が低いと思います。
また、独立する勇気がなかったとしても、勤めている会社がブラックな会社であったり、無駄なことばかりしている会社であるならば、今の技術を活かして転職するのもいいかもしれません。
昔と違い、今は転職サイトやマッチングアプリが助けてくれます。